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第1話 井上奈央です

はじめまして。

完結させることを目指しています。

拙い文章ですが、よろしくお願い致します。

私は井上奈央いのうえなお、15才だ。

この春から高校生活を送る私は、アドレス帳を新調し名刺カードを買った。パソコンで打ち込み、名刺カードに印刷していく。裏面も見やすく作った。


「奈央、図書室寄ってく?」


仲良しの片桐玲奈かたぎりれいなが声を掛けてきた。


「うん、行くよ。新刊読みたいのがあるんだ」

「じゃあ、先に行ってー。日直の仕事終えたら行くからさ」

「分かった。また後でね」


軽く手をあげて図書室へ向かう。渡り廊下を歩いていると呼び止められた。


「井上さん、今いい?」


同じクラスの内田健人うちだけんとくんだ。そこそこ格好いいので強気な女子達が声を掛けているが、彼は苦手らしく、男友達の元へ逃げて行く姿を度々目にする。


「少しなら。あ、図書室に行く所だけど、一緒に行く?」

「すぐ済むから、今ここでいい?」

「うん」

「井上さんと友達になりたいんだ。連絡先交換して下さい」


そう言ってポケットから携帯を出してきた。私は「いいよ、番号言うね」と


「0△○8‐2×‐……」

「えっ、家電いえでん?俺と友達って迷惑?」


困り顔をしている内田くんが私を見つめる。


「携帯持って来れないから…」

「学校じゃ禁止だもんね。守っているなんて真面目だね。電話もメールもしたいから番号もアドレスも知りたいんだけど、駄目かなぁ」

「そういう理由じゃなくて」


と付け足す。

すごくがっかりしているというのが分かった。情けない程眉が下がっている。そこそこ格好いい顔が台無しだ。

私はポケットからアドレス帳を出すと名刺カードをとり出した。


「これどうぞ」


内田くんがキョトンとしている。


「それがうちの番号です。電話の時は一般的なマナーを守って、メールの時は、必ず件名の最初に私宛てだとわかるように『奈央へ』とお願いします」

「うん、ありがとう。今夜必ず連絡するよっ」


そう言って内田くんは風のように走って居なくなった。足早いなぁーと呑気に見送った。

渡り廊下を渡り終えるとすぐに図書室だ。廊下の窓から見える図書室は、いつも通り空いているようで安心する。

この高校の図書室は本屋が開けるのではないかと思う位、多種多様な本がある。そのおかげで、私のお小遣いはあまり減らないですんでいるので感謝の気持ちでいっぱいだ。


目当ての本を手に取ると定位置に着いた。前号の続きが気になっていたので、すぐに読み始める。

しばらくすると玲奈がやって来た。二人で黙々と読む。お互い、ただ本を読むだけなので、二人で来る必要もない気もするが、気が乗らないと勉強するので、そんな時は教えっこすることもあるので、やっぱり良いのかな。




「奈央、時間だよ。帰ろっか」

「そうだね」


本を返すと帰路についた。


私達は二人共クラスの中心グループになるようなタイプではないし、目立たない。かなりおとなしく見えているはずだ。多分。


「今日ね、内田くんに連絡先きかれたんだ」

「ついでに告られたの?」

「ううん、友達になりたいんだって。家電教えようとしたら『がびちょーん』って背景が見えたから携帯教えたんだけど」

「だけど?」

「今夜必ず連絡するんだって」

「へぇ。来るといいね」

「そうだね。後は明日かな」


玲奈はヒヒヒと笑いながら私の肩を叩いた。

全く、可愛い顔が台無しだ。




夕飯を済ませ、お風呂に入っている。

今日読んだ本の内容を思い返しながらニヤニヤしている。主人公の恋模様は大荒れで、それがようやく落ち着いて甘あまになってきたからだ。

今現在恋愛はしていないが、いつかしたいなぁ位には思う。まだ、妄想や友達と遊ぶ方が楽しい。

好きなアニメの歌を口ずさみ、ゆるんだ表情のまま入浴時間を過ごした。


リビングに入ると、笑っているお父さんとカップ片手ににこやかに電話で話すお母さんがいた。


「お父さん、お帰りなさい」

「ああ、ただいま。じゃ、父さんも入ってこようかな」


私はそのまま自室へ向かおうとする……と。


「で、内田くんは奈央に用があるの?」


渡された携帯を耳にあてると切れていた。一応メールの着信履歴を確認する。


「部屋行くね。おやすみなさい」と携帯を返す。


「内田くんによろしく言っておいて。おやすみー。勉強も程ほどにね」


そして、今日の勉強をして眠った。

明日ちゃんと話を聞いてもらえるのかなぁと思いながら。

逆ハーにはなりません。

次回は内田くんの話です。


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