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第二話 光と彼等

眩しい光に包まれた後、瑠璃は目を覚ました


見知らぬ天井をジーと眺めていた瑠璃は瞬きをした


「目が…覚めたんだね。おねえさん」


突然降ってきた声にビクついた瑠璃だが、冷静を保ちながら声のした方へとむいた


「おはよう…おねえさん…」


「キミは…」


「わたしはサクラ。おねえさん…何で壬生寺の門の前で寝ていたの?」


「私は…」


瑠璃は額に手をあてながら黙ってしまった


心配になったサクラは瑠璃を上からジッと見下ろしていた


その事には気づいているが一向に口を開かない


(この事を…子供に話していいのだろうか…)


瑠璃は頭の中で考えていた


「目が覚めたの?」


「…」


せっかく考えていた瑠璃は不機嫌なまま起き上がって、声がした方を睨み付けた


「総司、夜桜さんは?」


サクラは総司に話しかけた


すると、総司は


「夜桜ならあと少しで来るよ。」


と言って部屋に入ってきた


瑠璃は睨むのをやめ、庭に目をやった


「…あの木は、桜の木?」


枝だけになった木が気になったのか、瑠璃は総司に聞いた


静かに頷いた総司を見て、瑠璃は立ち上がろうとした。


でも…


(立て…ない…!?どうして…)


足に力が入らないのか、立とうにも立てない


どうしようかと考え始めたとき。


「たく…ここにいたのかよ…心配させんな」


そんな声が何処からともなく聞こえてきた


瑠璃は一度府いた顔を声の聞こえた方へと向けた


「げっ…こう…?」


瑠璃は驚いた顔をして、桜の木の枝に座っている人物の名を呟いた


「お前、どれだけ探したと思ってんだよ。さっさと帰るぞ」


「…バカ?」


「あ"?」


「私、立てないんだけど」


「あんだと!?」


瑠璃が冷静に言うと月光と呼ばれた男が不愉快そうな顔をして言った


苦笑した瑠璃は何とか分かってもらおうと腕に力を入れ、立てれないことを主張した


あからさまに溜め息をついた月光は指を鳴らした


すると今まで感じるはずもなかった気配が塀の上からした


「姫様、ここにおいででしたか。さぁ、私達の家に帰りましょう?」


瑠璃と同い年くらいの少女が言った


その少女を見るなり瑠璃は驚きの目で少女を凝視した


「こ…はく…」


琥珀と呼ばれた少女は瑠璃の傍まで来ると瑠璃を軽々と持ち上げた


それに驚いたのは部屋に居る二人と、偶然にも通り掛かった瑠璃を押さえつけた男二人と、餓鬼っぽい人、この中では最年長だと思う人、眼鏡をかけていて優しそうな人、眉間にしわを寄せていて怖い人、その隣には甘そうな人が居た


「貴方達ここに集まって何をして…」


お盆にお粥を乗せてやって来た人が途中まで言って言葉を止めた


それに気づいた琥珀は


「お久しぶりです。夜桜様。すみませんが姫様を連れて帰っていいでしょうか?」


そう言うと瑠璃を一旦縁側に座らせた


だが…


「何勝手なことしてやがる。まだ何もそいつから聞いてねぇんだ。勝手に連れて行かれちゃあ困る」


眉間にしわを寄せている人が言った


「土方、口を出すな。」


夜桜は土方に言うと琥珀に目をやった


「久しぶりだね琥珀に月光、それと…おはよう、瑠璃

よく眠れたようだけど、ってどうしたの?瑠璃?瑠璃!?」


「あ"〜なんか目が…霞んで…」


夜桜が瑠璃の肩を持って揺らしながら聞いたが瑠璃はガクンガクンとなりながらも言葉を繋いだ


勿論お粥は縁側に置いて…だが…


「……ねぇ、夜桜。どうして人間は私たちのことを利用するのかな…」


「瑠璃?」


「っ!?なんでもない!!」


夜桜が揺さぶるのをやめて府いた瑠璃は無意識からなのか突然そう言った


夜桜から名前を呼ばれた瑠璃はハッとしたように顔を上げると微苦笑気味で言った


「瑠璃…?」


「ごめん、夜桜…立てるようになったらまた来るから。だから、今日は帰らせて」


「…分かった。それじゃ、気をつけて。もう、あそこには関わりはないんでしょう?」


「でも、狙われる。私を亡き者にしようとしてるから」


瑠璃はそう言うと琥珀に抱えられ、「またね」と言って帰った





「…瑠璃」


瑠璃たちが今さっきまで居た所をぼんやりと夜桜は見ていた


(あの時瑠璃の前から自分から消えたのに瑠璃を見ただけでこんなにも嬉しく思うなんて…)


顔には出さなかったが瑠璃たちが帰る前居た所を見て心の中では少し落ち込んでいた

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