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キスしたら巫女さんと結婚  作者: パセリ
2.許嫁は何かの間違いではないようです
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土の巫女さんは隠れ巨乳でした

「……あのさ、優衣さん」

「はい、清継様。何でしょうか」

「ちょっとくっつき過ぎじゃないか?」

「そうでしょうか?」


 今は俺の家に向かう途中。迎えに来てくれた巫女――優衣さんが用意していてくれた馬車の中。

 暫く1本道ということで、真が御者を買って出てくれた。


 俺はその間に優衣さんから情報収集しようとしたのだが、馬車に乗ってからずっと、俺の隣で腕に絡みついて離れてくれない。

「あー、何だ。その、ずっと腕に……胸が当たっているんですけど」


 優衣さんの着物――巫女装束と呼ばれるそれは、見た目と異なって意外と生地が薄く、服を通じて彼女の胸の大きさと柔らかさ、そして暖かさが伝わって来る。

 あと、俺が知っている巫女装束と違うのは、色が淡い黄色ということと、生地が膝上までしかないこと。

 昨日現れた2人同様に、白く細い足が露わになっている。


 ガタッ


 馬車が石でも踏んだのか、大きく揺れる。その拍子に、俺の左腕が優衣さんの胸の谷間に挟まれる。

「あ、ごめん」

「どうされました?」

「いや、さっきも言ったけど、胸がさ……」


 優衣さんは俺の左腕を胸に挟みながら、何事もないように笑顔を向けてくる。

「お言葉ですが、清継様。私は清継様の許嫁。つまり、将来の妻ですので何をなさっても構わないんですよ」


 いやいやいやいや。

 昨日の2人と比べて、会話ができる分だけ十分ありがたいが、この人の考え方も基本的には同じようだ。

 とか考えていると、急に馬車が停止する。

「清継! 妖魔が居るよ」

「わかった。退治するぞ」


 絡みつく優衣さんを振りほどき、荷物から魔力の杖を取り出す。

「あ、清継様お待ちください」


 優衣さんの呼びかけをスルーし、真に続いて馬車から飛び出す。



 前を見ると、俺の腰くらいの身長しかない、緑色の小人が2体。ゴブリンだ。

 西大陸で修行していた時、初級の戦闘訓練として数えきれないくらい倒してきた。

 2体居るが、俺と真で1体ずつ。一撃で終わるだろう。

「先手必勝! 真、左を頼む。俺は右だ!」

「了解っ」


 真がフルーレを構え、左のゴブリンへ走り出す。ゴブリンが真に気付き、手にしていた棍棒を構える。

 が、所詮ゴブリン。スピードに乗った真の敵ではなく、フルーレがゴブリンの胸を貫く。


「サンダーボルト!」


 俺は、風の精霊の力を借りた電撃魔法を解き放つ。右手の杖から放たれた雷の矢が、右のゴブリンに直撃。

 これでゴブリンが倒れるはず。


「――っ?!」


 俺の魔法が直撃したはずのゴブリンが、真っ直ぐ俺に向かって走ってくる。

 おかしい、ゴブリンが今の一撃に耐えられるわけがないのに……。


 ただ、事実としてゴブリンは迫ってくる。近接戦闘になると、こっちはとにかく不利だ。次の魔法の準備をしつつ、ゴブリンから距離を取るように走る。


「サンダーボルトッ!」


 2度目の電撃魔法。またも直撃したので、もう動けないはず。

 が、たいしてダメージを受けていない様子のゴブリンが、また迫ってくる。


 まずい。もう距離がない。ゴブリンの持つ棍棒が、俺に向かって振り下ろされる。


「土槍術」


 ゴブリンの足元、大地が大きな槍のように上空へ向かって伸びる。

 その槍に体を貫かれ、俺の目前にまで迫っていたゴブリンが消滅する。


「もう清継様ったら、だからお待ちいただきたかったのに」


 いつの間にか、優衣さんが馬車から降りていた。

 どうやら、優衣さんの能力で助けられてしまったようだ。

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