エピソード05 迷子
俺は、皆口良太。
最近、結婚したんだ。
嫁の名前は吉乃。
そんな俺の可愛い嫁なんだが、ちょっと天然入ってるんだ。
聞いてくれ。
吉乃は今、コンビニに行くと言ってでかけている。
なんでも、月刊雑誌の発売日らしい。
吉乃が毎月購入している女性誌だ。
ついでに俺のお使いも頼んでおいた。
俺のお使いの内容は、『新発売のジュースがあったら買ってきて』だ。
そういえば、吉乃はよく迷子になる。
あれは、結婚前に同棲を始めたばかりの頃だ。
駅から家まで徒歩で約10分、吉乃は毎日迷子になっていた。
俺はその都度(つまり毎日)、吉乃の拙いナビに従って車で迎えにいったものだ。
俺は、帰りの車の中でもちろんなんで迷ったのか聞いたんだけどさ・・・・・
曰く、駅員さんがいなかった。
家には、北口から出ればいいんだけど、南口から出てた。
曰く、黒猫がいなかった。
最初に案内したときに曲がり角の塀の上に黒猫がいたらしい。
曰く、カラスが3匹だった。
猫の時と同じく最初は4匹だったらしい。
曰く、右に曲がって右に曲がって右に曲がって右に曲がる。
それ、1週してるよね。
曰く、左に曲がって、右に曲がる。
いや、最初の角は直進だから。
もちろん、翌週から一緒に帰るようにして道を覚えさせたけどね。
あ、ちなみに、一番近いコンビニはマンションをでて、左に曲がって右に曲がって、右に曲がればあるんだ。
徒歩3分で到着する。
それにしても・・・・・遅いなぁ。
また、迷子になってるのかな?
ま、まさかね・・・・。
一応、車の鍵を持って駐車場まで移動しよう。
プルルルル
お?吉乃からだどうしたんだろう?
「もしもし?良ちゃん、どうしよう!迷子になっちゃった!」
はい?
「いま、どこにいるか・・・あ、GPS情報を送信して、迎えにいくから」
「うん、わかった。待ってる」
「ちなみに、雑誌とジュースは買えた?」
「うん、コンビニをでてちゃ~~んと、左に曲がって、右に曲がったんだけど、マンションの入り口がみつからないの」
うん、コンビニからだと、左に曲がって、左に曲がらないとね。
それに、1回足りないし・・。
ま、いっか。
ついでに、ドライブにいこう。