エピソード03 長話
俺は、皆口良太。
最近、結婚したんだ。
嫁の名前は吉乃。
そんな俺の可愛い嫁なんだが、ちょっと天然入ってるんだ。
聞いてくれ。
ある日曜日の事。
俺たち2人は、この町最大のショッピングモール、ガガタウンに来てたんだ。
そこは、家電、家具、衣類、おもちゃや食料品、ゲームセンターまである、この町のデートスポットにもなっているショッピングモールなんだ。
俺たち2人は買い物をすませ、出口を出たところで九重瞳さんと出会った。
瞳さんは、吉乃の親友で2人が出会うと長話が始まる。
だから俺は、吉乃にスマホだけ持たせて荷物を車へと持っていった。
生鮮食品は保冷バックに氷と一緒に詰めて、常温で保存できるやつと一緒に崩れない様にトランクへ。
吉乃のバックとサイフは助手席へ。
俺は、自分のスマホでYouTubeでも見ることにしよう。
****30分後****
プルルルルル
俺のスマホから着信音がなる。
吉乃からだ。
「もしもし?」
「良ちゃん!どうしよう!ケータイがないの!!」
今、どうやって電話してるの?
「うん。わかった。一緒に探そう。んで、いま、どこにいるの?」
「えっと、お外!」
それは知ってる。
「そこから、何がみえる?」
「木が見えるよ」
街路樹くらいはあるからね。
「後ろには何がある?」
「え?後ろ?マックだよ」
ごめん。ここにはマックはないんだ。ロッテリアならあるけど。
「わかった。そこから動くなよ?今から迎えにいくからね」
「うん。わかった」
どうやら、別れたところから動いていないらしい。
車で迎えにいくと、今にも泣き出しそうな吉乃がおとなしく待っていた。
「良ちゃん!どうしよう!ケータイがないの!」
ドアを開けた吉乃の一言に、俺は黙って助手席にある彼女のバックを指差した。
「え?あれ?」
自分のバックを見て混乱してるようだ。
「ちなみに、荷物はトランクに積んであるよ」
「え?そうなの?いつの間に?」
「瞳さんと、おしゃべりしてるときだよ」
「ふーん、そっか。アリガトウ」
「さ、帰るよ」
「はーい」
この時は、うっかりしてたんだ。アレの存在を。