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LOST  作者: 深水 紺
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序章 ロスト ユグドラシル - lost Yggdrasil

「ユグドラシルは、失われたものを甦らせる」

 小さいころに一度は聞いた御伽噺(おとぎばなし)

 人々はいつしかこの伝承を捨ててしまった。

 なぜなら、失ったものを忘れるくらい、新たなものを手に入れたから。


  △ △ △


 それは「ギフト」と名づけられた。

 およそ300年前、突如として「特異な能力」を持つ新生児が誕生し始めた。

 例えば、電球に触れるだけで灯りをつけるといったものから、物体を空中に浮遊させるといったものまで、多種多様な能力。

 当然、それまでに築き上げられた科学体系は瓦解し、「ギフト」の研究・分類・管理に、人類の知が全て注がれることとなった。

 しかし、現在に至っても、そのメカニズムを論理的に説明できていない。

 幾度かの大戦を経て、国境線を引きなおした各国は、「ギフト」により新たに生み出された技術を用い、思い思いの方向へ進化を遂げた。

 全ての人間が何らかのギフトを手にした今、何かを失ったものは「ロスト」と呼ばれ、大いに忌み嫌われた。

 せっかく手に入れたギフトを、ロストすることは、想像を絶する恐怖であったから。


 こんな時代に、ユグドラシルは不要だ。

 失ったものなど、甦らせなくていい。

 ただ、手に入れたものを、失わなければそれでいい。

 ユグドラシルを忘れることで、人々は失う恐怖を封印した。

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