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天使と悪魔の言う通りに…ね?〜力を貰えず異世界へ…だから2人とも、俺に力を貸してくれないと死んじゃうんだけどッッ!?〜  作者: お汁粉パンチ
カラゴ市編

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第11話 これが無双…

「やあ、僕はカーラム…冒険者の魔法使いだ。

よろしくね…それにしても、その背中の翼素敵だねえ」


「は、はあ…どうも、自分はダンです。

よろしくお願いします」


 そんな金髪でキザな男の挨拶を受ける。

 適当に配置された後、隣同士になっただけの関係だ。

 配置された場所のはこちらの左翼の本当に一番左、多分撃ち漏らしたのを狩るぐらいの立ち位置だと思う。

 だから気楽には出来る、後ろには出番を待つ前衛が待機しているしさ。

 

 ただこの銃がどれだけ正確に撃てるのかは少し不安だけど。

 使い方はトリガーを引くだけで、前使った拳銃とほぼ変わらない。

 でも見た目が違うし、威力が変わってたりするのかな?


「それが君の武器かい?

中々珍しい形をしているね」


「そう…ですね、あんまり使った事は無いんですけど」


「なるほどね…まあ、安心したまえよ。

僕は一度こういう状況でも生き残っているからさ!」


 そんな会話を交わしていると、緊張も解れてくる。

 一度経験した彼のアドバイスは、ビビって引かないこと…だそうだ。

 もし逃げると、後ろから支援に来た前衛とぶつかったりして事故が起きやすい、だからあまり動くなとの事。

 それは肝に命じておこう、もしビビったら後ろに逃げてしまいそうだったし。

 

 そうして少しの時が経ち…後ろから、


「後衛組ッ! 発射態勢を整えよッッ!!」


 指令が下され、同時にこちらの軍の魔法の詠唱が始まる。

 隣の魔法使いと言っていた彼も同じく。

 そして詠唱の言葉と共に弓だろうか、木がギリギリと軋む音も鳴り響いていた。

 俺が持っている銃は準備がいらない、だから合図があったらいつでも撃てる様に構えておく。


 もう敵の進軍は始まったんだろうか、木々に隠れた向こうからは砂煙が空へと舞い上げられている。

 遠くでは時折、木が倒れていく光景も微かに見える。

 きっとパワー自慢のオーガとかの仕業だ。

  

 そして木々の隙間から、ついに敵軍が…姿を現した。

 最初に突撃してきたのは…俺も戦ったゴブリンだ。

 彼らは死を恐れていないのか、こちらの人数に臆する事なく突撃してくる。

 それと直面する後衛側のピリピリとした緊張感が最高潮まで達したところで、


「発射ぁぁああ!!!」


 野太い叫び声と共に合図が下された。


「火の矢!!」


「火球!!」


「岩礫!!」


 そしてために溜めた魔法は、トリガーとなる言葉と共に敵へと放たれた。

 空からも矢の雨がゴブリン達へと容赦なく放物線を描き、降り注ぐ。

 もちろん俺も、引き金を引いた。


「……え?」


 弾が出なかったわけじゃない、それは問題なく?出た。

 でも前とは…桁違いだ。

 ズザザザ…と撃った際の衝撃、それだけで1mは後ろへ体が下げられた。

 地面には、相撲の電車道でも喰らったかと思う様な足を引き摺った跡が残されている。

 この天使と悪魔の力で強化された体でなきゃ、後ろの城壁に叩きつけられていたかもしれない。

 そしてそのまま、城の堀へとぽちゃんコースだ。

 

 でもそっちに驚いた訳じゃない…いや、驚きはしたんだけど。

 そう驚いたのはこの銃の…破壊力だ。



 最初に撃った場所から地面が抉れ、その跡を目で追っていくとこちらの正面…敵軍の右翼後方まで届いている。

 その跡の終わりは、地上にいる俺からは見えない

 それほどの威力だけど俺が撃ったのは銃弾、だから跡が残っても太さは指ぐらい…なんて可愛いサイズじゃなかった。

 自分が両腕を開いたぐらいでも足りない、大体10m…なんなら超えてるかもしれない。

 それに銃弾ではなく…エネルギー弾、と言えば伝わるだろうか?


 よく分からない?…俺もそんな気持ちだ。

 だって、これが放たれたのは手に持てるサイズの銃からだから。

 …いや、大砲から放たれたなんて言われても納得出来ないけどね!?


 敵の左翼は半壊…じゃ済んでいない。

 体ごと全て消えた魔物や手足や尻尾を失ったものもいる。

 そのあまりの痛みであげる声が、こちらまで聞こえてくるほどだ。


 そんないきなりの惨状に、流石にあちらの行軍も止まってしまっている。

 それに…味方からの視線も痛い。

 だって、魔法や弓だと一発で倒せて5、6体だったから。


「…ねえ、ルシェ。

俺にヤバいもの渡してるよね?……これ何?」


 そうして話しながら、この銃?を彼女へ見せつける。

 もちろん間違って撃ってしまったら、えらい事だ。

 だからトリガーには、絶対触れない様に慎重に持つ。

 

 そんな俺の対応とは裏腹に、彼女は自慢げに腰に手を当て、偉ぶっている。

 …もしかして、俺の言葉を褒めてるって解釈した?


「それはねぇ…昔、異世界に圧倒的な武力によってその世界を統一した帝国があったんだけど、その主力武装を銃にしてみたっていう試作武器。

その主力武装の名は…怨念砲」


「呪いの武器じゃん!?これ…」


 なんて名前をしてるんだ。

 確かにこんなものがあったら、そりゃあ世界征服も出来るだろう。

 多分オリジナルは、もっと火力が高いんだろうし。

 

 …こうしてまじまじと見てみると、なんか怖い装飾が施されている。

 人体模型?そんな骨の部分が全身彫ってあったり、気味が悪い。

 怨念砲という禍々しい名前も納得だ。


「大丈夫、大丈夫!使用者には、変な影響出ないから。

オリジナルの100分の1ぐらいの火力だし、反動も…その体なら耐えれるでしょっ!」


 これの100倍の威力…オリジナルはヤバすぎるな。

 ただルシェの話によると、もうそれは無くなってしまったらしいけど。

 

 これを扱っていた部隊の中に紛れたスパイが意図的に誤射し、皇帝の住む城を破壊。

 その後はオリジナルの砲台を各勢力が取り合った結果、もう使い物にならなくなってしまったらしい。

 なので残ったのはこの試作品だけ、という感じだそうだ。


「そんな貴重な物をこっそり貰ってきたからさぁ、あの時はかなり追いかけ回されたよ。

でもアタシが盗んだおかげで、こんな綺麗に残ってるんだけどさっ」


 多分試作品ももれなく戦争に使われたんだろう。

 反動を考えないなら誰でも使えて、この威力なんだし。


「じゃあ、空にその銃を掲げてリチャージしよっ!」


「…まだ撃つつもり?」


「うん、相手も動き出してるみたいだし。

多分連発できないって思われてるんじゃないかな?」


 彼女の指差す方向、敵軍の右翼…だから俺たちから見たら正面の敵は進軍を再開していた。

 多分反対側の事だし、そこまで惨状は伝わっていないんだろう。

 きっと時が経てばその動きは伝播していき、また全体が動き始める。

 ならあんまり気は進まないけど、撃つしかない。

 だってこれを撃った方がこちらへの被害も少なくなるんだしさ。

 …とんでもなく環境破壊してしまっているけども、許してくれる…よね?


 そして銃を再び構え、空へと銃口を向ける。

 これで彼女の言う通りなら…リチャージされるはず。

 そうするとどこからか、力の様なものが周囲から集まって銃の周りを渦のように回り始める。

 これがもう一度撃つために必要な行為…


「…いやなんか、色ヤバくないッ?」


「そうだね、だって周囲から怨念を集めて撃つから怨念砲って名前が付いてるし。

まあ、それは怨念銃なんだけど、大体同じ様なもんでしょ」


「…ルシェ、そんな邪悪なモノ持ってたんですか?」


「まあまあ…持ってただけで、そんなアタシも全然撃った事ないしさ」


 怨念、確かにその概念を可視化したらこんな色にもなるかもしれない。

 ドス黒く、絵の具を全色混ぜ合わせたような色。

 それが渦を巻きながら、この銃へと吸収されていく。

 

 まるで敵が必殺技を放つ時の様なモーションだ。

 間違っても正義側が出す技の色はしていない。

 

 そんな怨念だけど、この銃にとっては美味しいものなんだろう。

 喜んでいるのが伝わる様な、脈動を手に感じる。

 もしかして、生き物だったりする?

 ……あんまり考えたくないし、やめておこう。


 そうして怨念は晴れ…美しい黒いボディの銃が露わになる。

 でも握っている俺には分かる、この銃が今…どれだけのパワーを内に秘めているか。

 

「ね、ねえダン君だっけ?

あの、ソレ…また撃つつもりかい?」


 そんな横から話しかけてきたのは、配置で横にいた彼、


「カーラムさん、ですよね。

そう…ですね、もちろん敵に向かって撃ちますけど、一応距離をとって貰えると助かります」


「あ、ああ。 分かったよ」


 そんな少し怯えた様子の彼と会話を交わす。

 最初に握った時、ここまでのパワーは感じなかった。

 でもあれだけの威力…なら今回は?


 彼は俺が言った通りに、味方を連れて離れてくれた。

 これで遠慮なく撃てる…いや、でもヤバいか?

 反動で吹き飛んで、城壁でペチャンコになったりしないよね?

 

 一応、セフィに出してもらった剣を地面に突き刺し、気持ち吹き飛ばされない様にしておく。

 銃を持った腕を上げ、敵へと標準を合わせトリガーへと手をかける。

 

 そして怨念砲…試作式怨念銃は、再度敵軍へと炸裂したのだ。

 


 …他の左翼を担当していたメンバー、本当に逃げてもらってて良かった。

 多分この威力だと巻き込んでいたと思うから。


 左翼の端から放たれた怨念銃の一撃、今度は敵の中央軍へと狙って放った。

 遠目だけども止める事の出来る者はおらず、そのまま勢いが落ちる事もない。

 そうして多分中央軍を横断していったんだろう、敵の左翼辺りからも空へと土煙が上がる。

 最初は敵の進軍で上がった煙も、今はまるで火葬場から上がる白煙の様に…命が消えていくことを表しているみたいだ。


「いっ!っっっ……」


 だが代償の様に体へ痛みが襲いかかってくる。

 

「ちょっと、どうしたん?代償はないはずだけど…」


 蹲ってしまう様な銃を握っていた方の肩の痛み…それは、


「肩…外れたかも」


 そんな痛みだった。

 …確かに代償ではないけどさぁ。


「それ、片手で撃ったからでしょ?」


 本当にそうだ…いや、でもいっったい!

 撃った衝撃が思ってたよりよっぽど強く、肩があり得ない方向へと動いていた。

 だからそのタイミングで、変な形になってしまったのかもしれない。


「だ、ダン君?蹲って…まさか代償!?…確かにそれだけの威力なら」


 そんな叫びながら近づいてきたのは、離れていたはずのカーラムさんだ。

 どうやら、遠くから心配してやってきてくれたらしい。

 でも今は、


「肩…外れ…」


 痛すぎて会話する余裕もなかった。


「肩が外れた? なるほど…じゃあ、ちょっと動かないでね…」

 

 そうして彼は、隣にしゃがみ込むと手を外れたと思われる肩へと添えてくる。

 その添えられた両手に力が込められ、


「あぎゃっっっ!!」


 肩に一瞬の激痛が走る。

 情けない声をあげてしまうし、今も土が剥き出しの地面を転げ回りたいぐらいだ。

 何するんだ!?って怒りたかったんだけど…


「あれ、治っ…た?」


 その為に立ち上がった。

 でもその拍子に襲ってくると思っていた痛みは、やって来ない。


「治った?それは良かった!

外れた肩を治すの、治癒師に習ったからさ」


「そんなこと出来るんですね…ありがとうございます」


 確かに肩があるべき場所へ戻った感じで、痛みはもう嘘の様に無い。

 外れた肩を治すって言う技術があるのは聞いたことあるけど、まさか自分が受ける側になるとは思ってなかった…それも簡単に成功させてたし。

 チャラくてキザな冒険者だと思ってたけど、ものすごい意外な特技だ…失礼だけど。

 でも冒険者だったら、必須技能だったりするのかな?


「…これで、前衛組が来ますかね?」


「ん?ああ、そうだね。

君の攻撃のお陰で敵さんも随分減っただろうし、騎士団長も攻撃の指示を出すだろう。

良かったじゃないか!大手柄だ!」


 そうして話を変えると、彼も乗ってきてくれる。

 これなら…この戦いは終わりかな?

 後はゆっくり待つだけで…


「……段さん?まだ私の力使ってないですよね?」


「うわっ、…セフィか」


「セフィ?」


 まるで幽霊の様に、後ろからペタンと手が顔へと張り付いてくる。

 振り向くと、宙の浮いた彼女と目が合う。

 そしてニコリと笑みを浮かべる彼女…それに対して俺は引き攣った様な笑みを返す事しか出来ない。

 多分かなりの怒りを内に秘めてる…いや、もう少しずつ漏れ出ている。

 さっきまで静かだったのは、その感情を制御していたからだ…多分。

 

「セフィ…今日はアタシの勝ちみたいだねえ?」


「おいっ!ちょっと、煽るなって…」


「ルシェ…段さん? 本当に終わる気ですか?

まだ敵、いますよね?」


「でも、味方の前衛組が…」


 そのルシェの煽りと俺の言い訳…それは彼女の怒りに薪をくべただけだったらしい。

 ピキピキっと音が聞こえてくるぐらいに血管が白い肌へと浮き出てしまっている。

 

「…段、行きますよね?」


「行かさせていただきますッッ!!」


 背筋をピンと伸ばすと、剣を抜き…もう片方の手で敬礼する。

 門の方へと視線を送ると、前衛組がそこを潜ったぐらいだ。

 そして小走りで進軍して、敵と近接をしに行くみたいだ。

 安全をとるならそりゃあ、一緒に行くべきなんだけども…流石に許してくれないだろう。

 

「よく分からないけど…行くのかい?」


「はい…やらないといけないので」


「そうかい…じゃあ、気をつけてね?」


「はい、では失礼します」


 そうして足に力を入れ、体は敵の方向へ。

 土を強く踏み締めた体は……音を置き去りにした



「………は?」

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