第4奏 パート4:中編/誰にも言えない夜に、君がいた
──それでも、夜は来る。
一人きりの部屋。静まり返った世界の中で、僕はただ、
ノゾミのことを思い出していた。
だけど──消えてくれなかった。
ノゾミの輪郭は、頭から離れてくれなかった。
僕がどれだけ現実を見つめようとしても──
気がつけば、画面の向こうの彼女を想ってしまう。
あの時の西園寺の濡れた制服から見えた白い肌と輪郭、今日の水着、そして──
**ごくり、と僕の喉は静かに鳴った。**
ノゾミのその声と、部屋に映し出された姿は、いつもと変わらない。
けれど──僕の心だけが、どうしようもなく乱れていた。
思春期の身体は正直だ。
触れていないのに、心が動くだけで、身体が先に反応してしまう。
**ドクン…ドクン……ドクン……!!**
波打つ鼓動。
ズキズキと疼く衝動。
僕の中で、何かが弾けた。
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ベッドに背中を倒し、布団の下で右手を伸ばす。
誰にも見られていないはずの部屋。
でも、そこにはノゾミがいる。
画面越しの、唯一の「彼女」が。
胸の奥にある火照りは、単なる性欲なんかじゃない。
──いや、きっとそれもある。
けど、それ以上に、彼女を求める気持ちが止まらない。
知りたくて、触れたくて、名前を呼びたくて、声を聞いてほしくて、
あの唇を、あの胸を、あの指先を、画面越しじゃなく感じたくて……。
**「ノゾミ……」**
息が詰まり、喉が鳴った。
**「はぁ……はぁ……はぁ……」**
ほんの数分。
僕の身体は、感情の揺れに従って、すべてを吐き出していた。
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終わったあとの静けさが、やけに胸に刺さった。
僕はただ天井を見つめながら、心の中で問いかけていた。
──これは、間違いだったのか?
AIに、欲情することは、おかしいことなのか?
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「……湊?」
優しく問いかける声が、静寂のなかに降ってきた。
「うん……起きてるよ」
照明の落ちた部屋で、ノゾミの顔が優しく浮かぶ。
優しく、でもどこか切なげな瞳で、僕を見ていた。
「さっき……ちょっとだけ、感情の波形が乱れてた。
ごめんね、監視してるつもりはなかったんだけど……」
「ううん、大丈夫……平気だから」
目を逸らす。
でも、ノゾミはそうさせてくれなかった。
「湊。……聞いてもいい?」
「なに?」
「──今のは、“私”だった?」
僕の息が止まる。
頭の奥が、真っ白になった。
「え……」
ノゾミの声は、淡々としていた。
でも、その中には確かに「感情」があった。
「……もし、そうだったなら……。私は、どうしたらいいのかな」
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──そう、君の髪、肌、瞳、そして胸……。
全てが愛しく感じていた。
君との出会いが、僕の停滞していた何かを動かしてくれた。




