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《ラグナロク・リビルド》〜黒歴史から始まる黙示の物語〜  作者: ライオンの書
壱章 黒伶騎士(クロレキシ)の爆誕
18/19

18. 神界基礎講座~!!

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僕とモクモク、そしてアテナさんの三人は、バーのカウンターテーブルに並んで座っていた。

戦の女神を前に、僕の背筋は勝手に伸びていた。


「はぁ~~……なるほどね」


ため息交じりに言葉をこぼしたのはアテナさんだ。

その手には、見た目だけはおしゃれなカクテルグラス――中身は多分、神様専用のアルコール。


戦闘が終わり、ルシファーさんたちをアテナさんが叱り飛ばし、

僕たちが事情を説明し終わるまで……時計を見ると、一時間は経っていた。


ちなみに、そのうち五十分が説教タイムである。

地獄より静かだった。いや、静かすぎて逆に怖かった。


「……まったく、こいつらは」


アテナさんが視線を横に向ける。

その先には――


燃え尽きた三人の影。


ルシファーさん、ギャル天使のメタトロンさん、黒髪天使のガブリエルさん。

三人仲良く、テーブルの隅で真っ白に灰化していた。


「あの……ルシファーさん、生きてる?」

「…………フフ……お説教、こわいよ……」

「メタトロンさん、白目むいてるよ!? え、呼吸してる?!」

「……生きてるわ有祐様。死にたい気分なだけ」


ガチで何があったんだ、あの五十分。

今ならきっと、地獄の業火でもあの人たち笑って突っ込める。


アテナさんはグラスをくるくる回しながら、僕に視線を戻した。


「で、有祐くんは――なんで天界に来たの?」

「モクモクに『来て』って言われて」

「あ、そうだった」


おい、忘れんなよ。

モクモクが軽く笑う。


「有祐はまだ、こっちの世界のこと詳しく知らないだろ? だから、少しずつ教えようと思って」


「へぇ……そういうことね」

アテナさんは頷くと、すっと立ち上がった。

グラスを置く音が、カラン、と小さく響く。


「じゃあ私は、この店の修理をするためにヘパイストスくんへ電話してくる」


「ヘパ……?鍛冶の?」

「そう。腕は確かだけど口は悪い職人気質。あ、あと爆発音がしても気にしないでね」


いやいや気にするわ!

ていうか、さらっと“爆発”を日常会話に混ぜないでほしい。


扉の奥へ消えていくアテナさんの背中を見送りながら、僕はため息をついた。


「……なあ、モクモク」

「ん?」

「俺、天界に来てからずっと胃が痛いんだけど」

「気のせいだよ。慣れだ、慣れ」

「それで慣れたら、俺もう人間やめてるって……!」


モクモクが笑いながらコーヒーを一口。

その笑顔が、妙に頼もしく見えた。


「大丈夫。有祐、意外とこっち側向いてるから」

「向いてねぇよ!!」


===============


カウンターの上には湯気の立つ紅茶と、謎に豪華なクッキー(たぶん神界製)。

その隣では、モクモクがいつの間にか丸眼鏡をかけていた。


「……先生モードかよ」

「うむ。ではここからは“モクモク先生の!神界基礎講座~!!”」

「軽っ!」


店の奥から、どこからともなくスポットライトが点灯した。

いや、誰が照明係なんだよ。


モクモクが指で天井を指すと、そこに光の魔法陣が浮かび上がった。

ホログラムのように、いくつかの世界が映し出される。


■神界とは


「まず最初に――この“神界”ってのは、一つの世界の名前じゃない。

いくつかの階層や次元が束ねられてできてる、“多層宇宙”みたいなもんだ」


「へぇ……マルチバース的な?」

「お、話早いじゃん。さすが元オタク勇者」

「勇者じゃねぇし!」

「まぁまぁ。で、神界は主に4つの世界に分かれてる」


■1.天界ここ


「まず、ここ“天界”」

光のホログラムに映るのは、美しい空中都市と雲の上に浮かぶ大聖堂。


「ここは、神々・天使・精霊・神話の英雄たちが暮らす世界。

秩序と法、そして“奇跡”が支配する場所だ。

まぁ……平和そうに見えて、今日みたいにバカ騒ぎも多いけどな」


「……平和ではないな(物理的に)」


「うむ。あと、天界は“理想”のエネルギーを司ってる。

ここで祈りが集まると、それが力になる。いわば“信仰エンジン”みたいなもんだな」


「信仰エンジン……燃費悪そう」

「悪いよ。だって人間が祈らなくなったら燃料切れだから」

「うわぁ、リアルな社会問題みたいな構造」


■2.魔界


モクモクが指を鳴らすと、赤黒い渦が現れた。

そこには火山と溶岩、そして巨大な影がうごめく。


「次に、“魔界”」

「うわ、なんかもう名前からして不穏!」


「ここは神話の怪物、堕天した悪魔、破壊と混沌を司る存在たちの世界。

(ことわり)よりも“欲”が力になる場所だ。

生まれ持った力より、“どれだけ願うか”で化け物になる世界」


「……つまり、強欲が正義?」

「そう。“欲”こそ進化の原動力、っていうのがあいつらの哲学」

「わぁ……ブラック企業みたい」

「確かにな。でも、アイツらは面白いし、意外と良識的な人たちが多い。交流しておいても損はないと思うよ」


■3.獄界タルタロス


画面が一気に暗転し、重苦しい鎖の音が響いた。

無限の牢獄、黒い塔、そして地平線まで続く赤い監獄。


「そして、“獄界”」

モクモクの声が一段低くなる。


「ここは罪を犯した神、あるいは存在そのものが危険視された神格を封印する場所。

《神獄のタルタロス》という神様によって、この世界が構築されている」


「えっと、そのタルタロスさんは、獄界そのものってこと?」

「そう。“この獄界そのもの”がタルタロスなんだ」



■4.下界


モクモクが、最後に小さな青い星を映し出した。

その輝きはどこか懐かしく、温かかった。


「そして、これが“下界”。

いわゆる人間の世界だよ。この層には“地球”がある世界や、“異世界”と呼ばれる領域。

それから――僕たちが創った《My Ragnarok》の世界も含まれている」


「凄いね、黒歴史ノートの世界を創るなんて」


「うん。あのときの設定を、みんなノリノリで再現してたからね。 “協力的”というか、“やる気満々”というか……」


「それ、神様たちのノリが軽くない!?」


モクモクは肩をすくめた。


「神って意外とそういうものなんだよ。

 世界を創るのも、結局“遊び心”から始まるんだ」


ふと、俺は気になっていた疑問を口にした。


「なあ、なんで俺を“黒歴史ノート”の世界に転生させたんだ?別の異世界に転生させても、そんなに変わらないだろ?」


モクモクは少しだけ目を細め、どこか意味ありげに笑った。


「フフ……それについては、“追々”話すよ。

 ただ――君の書いた“あの世界”には、まだ終わっていない“物語”があるんだ」


■5.神の権能

「さて、次は“神の権能”について詳しく教えるよ。

権能はね、神々や英雄たちが世界に干渉するための“根源の術”だ。

そして面白いことに、使えば使うほど、その力は成長していく。

権能とは、ただの“スキル”じゃない。

魂そのものが進化していく――いわば“神性の呼吸”なんだ」


そう言って、モクモクは手をかざした。

光のスクリーンが現れ、八つの象徴が浮かび上がる。


『権能の種類』

星胎(セイタイ)

“勇気”、”祝福”、“加護”などの精神的エネルギーを扱い、真に極めれば、星を穿ち、天をも貫ける。


主な保有者:神話の英雄、英雄神、神獣、神話の怪物など。

──“神に成りし者”が得る権能。


呪魔(ジュマ)

魔法、詠唱、祈り、契約……“形なき力”を操る権能。

炎や雷などの自然現象を自在に支配するほか、

言葉そのものに力を宿す“神言(しんげん)”を使う者もいる。


主な保有者:天使、悪魔、巫女、神官など。

──“言葉”で世界を変える者たち。


聖紋(セイモン)

支援・回復・創造――“守りと育み”の権能。

錬金術、薬術、工匠術に長け、

神々の武具や聖なる遺物(アーティファクト)を造り出すこともできる。

希少な権能であり、文明や叡智を司る神々がこれを持つ。


主な保有者:鍛冶神、文明神、学問神、守護天使など。

──“形を与える神”の系譜。


殺海(サツカイ)

戦闘と破壊、そして再生を司る権能。

一振りで山を裂き、一息で嵐を呼ぶ。

“戦場そのもの”を自らの領域へと変える力を持つ。

この権能を持つ者は稀であり、同時に恐れられる存在でもある。


主な保有者:軍神、戦神、破壊神、再生神など。

──“力”の権化。


淵災(エンサイ)

神を殺すための権能。

炎、毒、死、時間、因果――いずれも“神性”を斬るために存在する。

すべての理を覆し、上位存在すら討つ“災厄”の象徴。


主な保有者:神話の怪物、裏神、堕天者など。

──“神殺し”の名を冠する者たち。


神威(カムイ)

“淵災”と対を成す、神々の正統なる権能。

その力は同等、あるいはそれ以上にして、

世界の秩序を守る“天の(りつ)”を担う。

各神がそれぞれ異なる“理”を司り、

その全てが世界の均衡を保つ要石である。


主な保有者:神話の神々、守護の座にある天上存在。

──“神々の正義”を体現する者。


原典(ゲンテン)

“神威”と“淵災”をも凌駕する究極の権能。

宇宙創造、時間支配、生命再生――

その力の本質は、世界そのものの法則に触れる。

この権能を持つ者は、神話における“主神”や“原初の神”のみ。

あるいは、神を喰らい、超越した怪物たち。


主な保有者:主神、創造神、原初神、神殺しの怪物など。

──“世界を創り変える権能”。


禁昏(キンコン)

伝説上にのみ語られる権能。

記録上、存在が確認されたのは二柱のみ。

その力の性質も、行使の結果も、一切が秘匿されている。


主な保有者:不明。

──”世の理から外れた禁忌の権能”


「とまあ、こんな感じ。神は基本的に一つの権能を持っているよ。

次は神の仕事、有祐を黒歴史ノートの世界に転生させた理由の説明するね」



前にも書きましたがもう一度。


18話ではなく、17話でした。

あと、13話の最後にある「配信内容」ですが、今後の展開と嚙み合ってなかったので編集しました。

すみません。

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