17.堕天使VS天使
すみません。
18話ではなく、17話でした。
あと、13話の最後にある「配信内容」ですが、今後の展開と嚙み合ってなかったので編集します。
「……あ」
「……えっと」
「……あの、これは違っ」
俺、ルシファー、ギャル天使。三人同時に口を開いた。
「有祐。お前、僕のいない間に何イチャイチャしてんだよ?」
「ち、ちがうんだモクモク!これは事故で!ルシファーさんが、ちょっと勢いで!」
「僕のせいにするの?」
ルシファーが頬をふくらませる。
「違う!違うけど違わないように聞こえるけど違う!」
「……お前ら、漫才してんのか」
モクモクがこめかみを押さえ、ため息をついた。
だが、その横でギャル天使がスッと立ち上がる。
その瞳には――修羅の光。
「モクモク様、有祐様を誘惑する悪魔がここにいます!」
「悪魔って言うな」ルシファーがニコリと笑う。その笑顔が逆に怖い。
「私は悪魔じゃなくて、堕天した芸術だよ」
「はぁ!?なにそれ!?かっこよく言えば許されると思ってんの!?」
「事実を詩的に述べただけだよ」
「詩的に犯罪してんじゃねぇ!!」
「いや、お前ら止めろ!」モクモク
……あ、始まった。
天使と堕天使のマウント合戦、第二幕、開幕。
黒髪天使が冷静に詠唱を始めた。
「『天の光よ、清き裁きを――』」
「おっと、詠唱禁止ね」ルシファーが軽く指を鳴らす。
黒髪天使の周囲の光がパチンと弾けて消えた。
「……っ!? 詠唱阻害魔法!?」
「詠唱なんて時代遅れだよ。今はインスタント詠唱の時代さ」
「なにそれ!?カップラーメンか!!」
ギャル天使も負けじと前へ出る。
「有祐様は私たちが守る!どけ、この偽堕天使!」
「偽じゃない。本物だよ。証拠いる?」
ルシファーが背中から翼を広げた。
真紅に輝く六枚の翼――光を吸い込み、熱を吐き出す。
まるで、炎そのものが形を取ったかのようだった。
一枚一枚の羽から、火の粉が弾丸のように飛び出す。
――天使たちに向かって。
ダダダダダダダダダダダダッ!!!
天使たちはギリギリで回避する。
炎の弾丸が壁や天井に穴を開け、
バーの空気は一瞬で熱を帯びた。
焦げた匂い、砕け散るグラス、そして――
「やべぇ!逃げるぞ!」
「きゃああ!!」
「助けてええええええ!!!」
神様たちは、ものすごい速さで店から飛び出していった。
「お、おおお……や、やば……」俺。
モクモクが横目で俺を見る。
「なぁ、有祐」
「ん?」
「お前、マジで何した?」
「……何もしてないのに、なぜかフラグが立つんだ」
「それ一番タチ悪いやつじゃねぇか」
ルシファーの攻撃が止むと、ギャル天使が翼を広げる。
今度は純白。まるで、光と闇の対比。
「………バトル開始フラグじゃないよな?」
「……多分、バトル開始フラグです」
「我が名は熾天使のメタトロン!光の主の名のもと、堕天せし者を討つ!」
「やれやれ、また同じセリフ。君たち、台本使い回してない?」ルシファーが笑う。
「うるさいっ!! くらえ、『炎界――』」
「それ、僕の技パクってない?」
純白の光弾が放たれ、ルシファーに直撃――
……と思いきや、彼女は片手で受け止めた。
「は?」
「返すね」
――爆ぜた。
光が逆流し、ギャル天使が吹っ飛ぶ。
「きゃあああっ!?」
黒髪天使がすぐに回復魔法を詠唱。
モクモクが俺の腕を引っ張る。
「おい有祐!下がれ!」
「わかってる!けどこれ、ただの口論じゃなくなってる!!」
「いや、最初からおかしいだろ!!」
光と闇がぶつかり合う。
神酒のボトルがスローモーションで回転し、床に落ちる――
「ま、待ってルシファーさん、落ち着いて!」
「落ち着いてるよ、ほら笑ってる」
「その笑顔が一番怖いんだって!!!ねぇモクモクどうにかしてよ!!」
「……いや、僕にその必要はないみたいだ」
「は?」
と、そこに。
「――フフフ、何してるのかしら?」
背後から、柔らかいけれど空気を切り裂くような声。
振り返ると、紙袋を片手に持った金髪の美女――アテナさんがいた。
「中々手に入らない極上の酒を買えて、気分良かったんだけど……お前ら、私の店で何してくれた?」
圧倒的な威圧感。
そして、笑顔。
あ、これ一番ヤバいやつだ。
ギリシャ神話ではこう書かれている。アテナが生まれると同時に宇宙は傾き、太陽は軌道上に停止した。何が言いたいのかというとーーすっごく強い力を持っている。
「え、えっと、これには事情が――」黒髪天使。
「――『至上戦域』」
アテナさんの額に、緑色の紋章が現れた。
「っな!?ごふ!」
次の瞬間、アテナさんは黒髪天使をぶっ飛ばしていた。黒髪天使が倒れた。
「おいお前ら。ここの修理代、誰が払うと思ってるんだ?」
シーン……。
沈黙。
天使も堕天使も、同時にスッと翼を畳む。
「……はい、ごめんなさい」ルシファー。
「……反省してます」天使ズ。
「………ルシファーとメタトロン、ガブリエル、あとで、ちょっと向こうでお話しましょうね?」
「「「は、はい」」」
「うん…………有祐くん、モクモク」
「「ひゃいっ!」」
「あの子たちの躾が終わったら、お話いいかしら」
「「はい、もちろんです!!」」
「よろしい」
そう言って、アテナさんは静かに奥へ消えていった。
モクモクがため息をつきながら俺の肩を叩く。
「……お前、本当に何してんの?」
「いや、俺にもわかんねぇ……」
「有祐って、歩く修羅場生成機だな」
「なんでだよ……」
そんな俺たちのやり取りを見ながら、ルシファーが微笑む。
「……ねぇ、有祐」
「なに?」
「機会があったら、二人で水族館行こっか」
「ちょ、ちょっと待って!?」
モクモクがすかさずツッコミを入れた。
「やめろ!あいつの怒りに触れたら、天界が血の海になるぞ!!!」
――こうして、今日も天界は平和(?)だった。
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