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《ラグナロク・リビルド》〜黒歴史から始まる黙示の物語〜  作者: ライオンの書
壱章 黒伶騎士(クロレキシ)の爆誕
16/19

16.そこに愛はあるのか?


えっと……どうしよう。

え、どうするの? 本当にどうしたらいいの?!


問題。

さっき二人の天使が「私たちを踏んでください!!」とあなたに叫びました。


あなたの選択は?

A:踏まない

B:遠慮なく踏む


はい、Aです!

Bなんて選ぶやついる!? ガチの天使踏めるか!?

絶対雷落ちるだろ!天罰エディションだぞ!?

しかも俺、そういう性癖じゃない!


「お願いします!! 一生のお願いなんです!!」


うん、逃げたい。

マジで逃げたい。

ていうか、さっきから周囲の女神たちの息が荒いの、気のせいじゃないよね?

なんか視線が熱いんだけど!


――命の危険、察知。


「……ちらっ」


助けを求めて周囲の男神たちを見た。


「「「「……スッ」」」」


全員、無言で視線を逸らす。

酒をちびちび飲みながら、壁と会話してる神までいる。


おい!そこの神!壁と話してないで俺と話せ!!


「……あー、お嬢さんたち」


救世主が現れた。

一人の男神が天使たちに声をかけた。


おおお、来た!救世主!勇者!人類の希望!!


「なに?」

ギャル天使が土下座姿勢のまま鋭い目つきで睨んだ。


男神は一瞬ひるんだが、勇敢に立ち向かう。


「そ、その人が困ってるから、止めてあげろよ!」


よく言ったあああ!やるじゃねぇか勇者!!


「……あ? なに偉そうに言ってんの? ……ふ〜ん、なんだ。ただの6位階の上級神か」


「な、なんで、知ってるんだ!? じゃあお前、天使の階級はなんなんだよ!」


「私? 熾天使だけど?」


「……え?」


「あ、ちなみにガブたんは熾天使よ?」


「ガ、ガブたんってまさか……」


ドサッ(気絶)


英雄、倒れた。


……嘘でしょ!?


「……ちらっ」

「「「「……スッ」」」」


また目を逸らされた。


おい!!!

神界の男、全滅!!


「メタちゃん、ここは邪魔だから外に行こう」

「確かに! うちで話そっか!」


いや、なんで勝手に決まってるの!?俺の意思は!?


「じゃあ移動しますか。その前に――」


「え、ちょっ!?」


黒髪天使が俺を羽でぐるぐる巻きにしてきた。

口も封じられた。


ギャル天使が俺の目を両手で隠し、耳元で囁く。


「『我、この世界の支配者たるものより、我が手に全てを集めよ――』」


え、詠唱!!

しかも出だしから物騒だな!?


これは……精神干渉系だな。洗脳とか魅了系の詠唱だ。

なぜわかるのかって?

俺、黒歴史ノート20冊書いてたんだぞ。

中二病のプロを舐めんな!!


(って、どうしよう! 誰か助けてえええええ!!)


と思った瞬間――


二人の天使が壁に吹っ飛んだ。


「ぐへっ!」

「いったぁ!」


「全く、何してんの?」


現れたのは、オレンジ色の踊り子衣装を着た――ルシファーさん。

俺の体を抱きとめながら、軽くため息をついた。


や、やわらか……いや今そこ注目してる場合じゃない!!


「……ルシファー先輩じゃないの。久しぶりね」


「ああ、久しぶり。で、有祐に何しようとしてたの?」


優しい声色。けど、その目の奥に、闇のオーラが見える。


「有祐は、僕と一緒に夜を過ごしたボーイフレンドなんだけど?」


「……え?」俺

「え?」ギャル天使

「え?」黒髪天使

「「「「「「えぇぇぇぇ!?」」」」」みんな


(……どういうこと?)


(ごめん有祐)

(っ!?)


ルシファーさんの声が、頭の中に直接響いた。


(驚かせてごめん、ちょっと話を合わせてくれない?)

(これテレパシーですか?)

(そう。アイツら、体を折っても諦めないの。でも、心を折れば追ってこない)

(いや体折るってなに!?)

(有祐が、有祐だから)

(答えになってねぇ!)


「ルシファーに彼氏なんて……嘘だ!」ギャル天使


「そんなに意外かな? ねぇ、ゆう、水族館行ったよね」


「う、うん。ルシファーさ――(さん付けやめて)――ルシファーと水族館行った。めっちゃ楽しかった」


俺の語彙力、死亡。


「そのあとイチゴパフェ食べて、『あ~ん』したんだよね。そのあと僕の家で――えへへ」


「はあああああ!?」ギャル天使発狂。


ルシファーさんはニヤニヤしてる。

……可愛いけど、その笑みが怖い。


「おかしいです!ネットニュースでは有祐様は昨日来たばかりです! そんなすぐに、恋人関係になるなんて無理です!」黒髪天使


「なっ……!」

するどい。探偵かお前。

あと、俺はどうやら神界のネットニュースに載ってるらしい。あの〜、わたくし、ただの陰キャなんですけど?


「確かに怪しい。お前ら本当に恋人か?」


「ぼ、僕たちは……こ、恋人だぞ!!」


「ふ~ん」


ギャル天使、ニヤリ。


「じゃあ――キスしてみてよ」


「……え?」

「え?」


「夜を一緒に過ごしたんだろ? キスくらいしたよな?」

「も、もちろんしたよ!!」

「じゃあ今、ここでしてみな?」


「な、なんで!恥ずかしいだろ!」


「ふ~ん、私は別にいいけど? ね、みんな?」


「「「「「私もいける!!」」」」」


女神たちが満場一致で賛同。


お前らまで乗るなあああああ!!


くそっ、同調圧力が!!


ルシファーさんに視線を送る。助けてください!!









「じゃ、じゃあ、キスしてやるよ!!」









ん?





「え?」俺

「え?」ギャル天使


ルシファーさん、何言ってるの!?


「ゆう、目閉じて。すぐ終わるから」


「え、え、えぇぇぇ!?」


ルシファーさんの唇が迫ってくる。


「ゆう……はぁ、はぁ……」


え、ちょ、なんか息荒くない!?!?


「ちょ、ちょっと待て!」

ギャル天使が叫ぶ。

周囲の女神は、黄色の悲鳴をあげる。

男神は、ガン見する。

いや、お前ら!

抵抗するが、流石堕天使。

俺は、がっちりとホールドされていた。


このとき、コレから「キス」をすることにドキドキしていたことは内緒である。だって、美女とキスするんだよ。ドキドキするに決まってんだろ!


俺は抵抗するも(※実際は、ほぼ抵抗していません)、虚しくその唇を――



「有祐~!ごめん、会議でちょっと遅くなっ……」


「「「「「あ……」」」」」


入ってきたのは、「愛」と書かれたジャージ姿のモクモクだった。


静止する三人。静まり返る神界。


モクモクは天使、ルシファー、俺へと順番に視線を向けた。


そして、モクモクは真顔で一言。










「――そこに、愛はあるのか?」







何故そのセリフを言った?

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