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《ラグナロク・リビルド》〜黒歴史から始まる黙示の物語〜  作者: ライオンの書
壱章 黒伶騎士(クロレキシ)の爆誕
15/19

15.ドM天使のお願い


学校の七時間目が終わって、俺は一人でとぼとぼ帰っていた。

くっそ……前世だったら、友達いたのに!


……あれ? いたっけ?

……いや、いた。いたいた。多分。うん、いたことにしておこう。


そんなことを考えながら、前を歩く男女のグループを見ていた。

同じ制服、同じ道。楽しそうにペチャクチャ喋っている。

笑い声がやけに耳に刺さる。


くそう、うらやましい、うらやましい! 恨めしい! 恨めしい!!……ハッ!

いかんいかん、私怨が漏れてた。


でも、友達がいなくてもしょうがないだろ。

俺のジョブ、【奴隷】だったんだから。

この世界、差別意識高いし。

(今は違うけどね!)

でもさあ――

学校帰りに、ちょっと喋るくらいの友達くらい、いてもいいじゃないか。


「はぁ……友達、欲しい……」


家族はいる。

けど、そういうことじゃない。


誰かに会いたい。

他愛のない話をしたい。

自分とは違う考えを聞きたい。

「交流欲」ってやつだな。


ピロリん。


「ん?」


ポケットの中で、Gスマホが震えた。

画面を見ると、メッセージがひとつ。


新着メッセージ:モグモグ風林火山


空八〜! ちょっと天界に来て〜。

あの神社から入れるから!


「……え?」


ライン的な機能、あったの? 聞いてないんだけど?

しかも「モグモグ風林火山」って、どう考えても「モクモク」だろ!

なんでそんな戦国武将みたいな名前にしたんだよ。

あと、勝手に追加するな!


「はぁ……」


ツッコミどころ満載だけど、とりあえず俺は神社へ向かうことにした。

アイツ、一応神様だし。


===================


鳥居をくぐった瞬間――

あの独特の浮遊感と眩い光が俺を包み込んだ。


視界が白く塗り潰され、次に見えたのは――

お洒落なバーだった。


天井には柔らかな照明、カウンターの向こうには銀髪のバーテンダー。

BGMにはゆったりしたジャズ。

そこやかしこで神々がグラスを傾け、談笑している。


「いや〜、俺の嫁がさあ、怖いんよ! ドSなのよ!」

「いいじゃねえか。俺はMだから相性抜群だな。ちょっと会わせてくれよ」

「……俺の嫁はあげないぞ?」

「冗談だよ冗談! だからそのナイフとフォークを俺に向けるなって!」

「僕も嫁ほしいな〜」

「お前は一生無理だな」

「うん、お前に嫁はできない」

「お前らひどくね!? 俺だってワンチャンあるわ!」

「いや……ねぇ~」

「うんうん……」

「え、なに、怖いんだけど」


――神様って、意外と俗っぽいんだな。

なんか、俺より人間くさいぞ。


さて、モクモクを探さなきゃ――


「いたぁぁぁぁ!!」「きゃああああああああ!!」


……え?


声の方を見ると、そこには――

背中に白い羽、頭上に光の輪。

金髪ギャル系の天使と、黒髪ショートの清楚系天使。


すげぇ、本物の天使じゃん。

マジで光ってる。神秘的。あと、普通に可愛い。


と思っていたら、二人の天使が――


ズザァァァァァッ!!(スライディング土下座)


「えっ!? なんで俺に!?」


まるで氷の上を滑るようなスムーズさで、俺の目の前に跪いた。そして、ピタッと静止。

……今の、物理法則どうなってんの?


「「黒伶騎士様! いえ、有祐様!!」」


「え?」


その言葉が、バー全体に波紋のように広がっていく。


「黒伶騎士様だって!?」

「顔、あの人じゃん!」

「マジだ!『My Ragnarok』の著者だ!!」


おいおいおい! 顔バレしてんのか!?

配信の時は仮面してたのに!

……あ、最初に天界来た時に、顔が広まったのかな?

うん、完全に油断してた。

でも、今世の名前の「空八」はバレてなさそうだ。


「「一生のお願いです!!」」


「えっ、い、一生の!? え、待って、怖い怖い!」


美少女×二人×ガチの天使×上目遣い×一生のお願い=怖い。

なに?その男を困らせる破壊力抜群の方程式は?

しかも周りの神々、全員見てるし!?

お酒の手、止まってるよ!


俺の心臓が嫌な音を立てた、その時――

二人の天使が声を揃えた。













「「どうか、私たちを――踏んでください!!」」










「………………」







店内が凍りつく。

いや、ジャズだけは流れてる。妙に爽やかに。うん、いい音。

だが、空気は完全にストップ。


パリンッ。


誰かがグラスを落とした音が響いた。

けど誰も動かない。

うん、無理もない。


二人の天使が上目遣いで見上げてくる。

……目の中にハートが浮かんでる。

そして、光輪がハート型に変わってる。え、そんな仕様あるの?


(……踏むって、あれだよな?)

俺が知っている「踏む」は、男性が女性にハイヒールで踏まれるシチュエーション。


(この天使、ドMだ)


俺は深く息を吐いた。


「……ふ〜」


そして、ただ一言。



「――神様、怖い」



俺は、黒歴史ノートのせいで美少女天使から好かれていた。

過去の俺、いや前世の俺よ、恥を知れ。


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