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008話 強力な団長。(1)

ノヴェンリー回です。自分で読んでてかっこいいなと思いました。

 影朧が仮面を外す。ウェクプルと戦う時とは違う空気が流れる。

 僅かではあるけれど他の人より長く一緒にいたからこそ戦うのはなんか違和感だ。

 影朧は直前まで笑顔っぽかった(仮面をつけていたから本当に笑顔だったかは不明)のにも関わらず今は真反対。異様なほどの圧が俺を襲う。正確には圧というよりオーラに近いけど。

 スタートの合図なんてものはなかった。戦いはいつの間にか始まっていた。


 影朧の能力で知っていることはかなり少ない。強制感掴み(たましいのりかい)と謎の空中浮遊だけだ。

 影朧は俺の能力をなんとなくは知っている・・・あれもしかして俺不利?


 影朧はゆっくりと歩いて向かってきた。目はこちらを睨んできているのに口角は少し上がっている。

 たまにはそういうのもいいなと思った俺は影朧に向かってゆっくり歩いていった。

 徐々に距離が縮まっていき、残り一メートル。まだ互いに攻撃すらしていない。そしてタマテバコのこもった打撃の届く射程距離に入った瞬間すぐさま魔力を拳に集中させて圧縮させた。その準備段階の状態からすでに殴るモーションにははいっていた。

 だが影朧も背後からゾゾッと黒いサソリの尻尾のような形で人の腕より少し大きいくらいのサイズのものをだしてきて、俺に向かって刺そうとしてきた。

 互いの攻撃が当たる一ミリないのところで攻撃を止めた。決して攻撃できないとかじゃない。

 アゴラリス王国の方から何かを感じる。二人とも気づいたのだ。

 影朧はサソリの尻尾みたいなものを解き、俺はタマテバコで圧縮した魔力をゆっくりと体に戻していった。影朧は拠点にバリア?のようなものを貼り、俺はみんなに


「すぐに戦いが始まる。誰一人いなくなるのは許さないからな。大丈夫。お前らならいける。自信は一人一人の大事なお守りだからきちんともっとけよ」


 と伝えた。

 まもなくしてノヴェンリー、ウェクプル、オムニブス、ラペル、影朧、そして俺の六人はそれぞれ違う方に向かい、走り出した。


 彼らは王国近くにつくと同時に全員、団長に出会った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 本職木こりのノヴェンリーは拠点から見て王国後ろに向かった。


 王国後ろにつくとそこには猫背でひょろい人間がいた。

 ノヴェンリーはそいつを強そうだとは思わなかったが異様な感じなのはわかった。

 すぐに対処しようとノヴェンリーはまっすぐ奴に向かって走り出した。

 だが一メートル走ったかどうかくらいのところで急に小さな魔法陣が出てきて、ノヴェンリーは視界の端にだけそれを捉えることができなかった。


 ドォォン


 という爆発と共にノヴェンリーは二、三メートル後ろに吹き飛ばされた。そして地面に倒れ込む暇もなくまた小さな魔法陣が近くにあり、爆発によって今度は上に吹き飛ばされた。そしてそこから足元に魔法陣が出現し、爆発。結局十メートルくらい後ろに吹き飛び倒れた。

 すぐにノヴェンリーは起き上がり、息を整える。

 冷静に奴の能力を分析する。遠隔での魔法陣出現?でなければあそこまで連鎖した攻撃はできないはず・・・とノヴェンリーは考えた。

 すると突然ただ立っているだけのノヴェンリーの耳元に魔法陣が現れた。ノヴェンリーは爆発に備えたが魔法陣からでたのは爆発ではなく声だった。


「聞こえてるよな・・・うん・・・僕さぁ・・・大きい声出すの嫌でさぁ・・・こうして声を届けてんだけけどさぁ・・・本当は話すのも嫌なんだよねぇ・・・」


 ただ話してくるだけで攻撃性はなかった。

 ノヴェンリーがひょろいやつをよく見てみるとやつは今話している。録音ではない。となると本当に遠隔での魔法陣操作か・・・とノヴェンリーは考えた。

 その間もひょろいやつは話を続けた。


「僕はマグヌス・・・団長にしてもらってんだよね・・・え?なんで名前言ったか?・・・そんなんかっけぇからに決まってるでしょぉ・・・」


  ノヴェンリーは何いってんだと思いながらも攻撃に備えた。


「君たちが来るって王が予想してたんだけどさぁ・・・当たってたんだねぇ・・・僕らから攻める予定だったんだけどなぁ・・・・・・そろそろ続けよっか・・・」


 独り言に飽きたのか話すのをやめ、ノヴェンリーに来いというかのように挑発した。

 ノヴェンリーは冷静だ。挑発にのりたくはなかったが倒すのが一番だと考え、ゆっくりとマグヌスの方に歩いて行く。

 だがいつ攻撃が来るかわからない。冴えた感に頼り攻撃を避けながら、歩いていく。

 感だけでも見えない魔法陣の場所がわかった。それでも気を抜いていると当たりそうになる。だが不思議なことに魔法陣は動いていない。その場に停止した状態なのだ。

 50mほど前に進めたところでノヴェンリーはまた考えた。

 (仮に遠隔での魔法陣操作だとすると僕に魔法陣を当てさせに来るはず・・・いやでもさっきみたいに連続して当てるなんてこと遠隔操作じゃないとあり得ない・・・ん?まてよ、よく考えたら遠隔操作ができるなら魔法陣に触れさせなくても魔法陣から魔法を発動させればいい・・・となると奴は罠を設置した・・・?だがそうなるとかなり予測が的中していることになるぞ・・・)

 考えることをやめずに、しっかりと前を見て歩く。だが考えすぎた。それが故に右太ももあたりにあった魔法陣を発動させてしまった。一回の爆発でのダメージが大きい。爆発魔法だから。そして後ろ斜め上に吹っ飛び、そこでも足元に魔法陣があって発動し、爆破。また吹き飛んで今度は背中側に魔法陣。爆破。吹っ飛び、空中に飛んだと思ったら顔の眼の前で魔法陣が出現。爆発してしまった。

 ノヴェンリーはかなりのダメージを追ってしまった。それに比べてマグヌスは無傷。

 結局始めの場所まで吹き飛んだノヴェンリーは息を荒くしながら立ち上がった。また魔法陣が現れて、マグヌスの声がした。


「まぁそうだね・・・あの爆発に耐えるのは以外だったな・・・予想通りなら今頃体は原型をとどめていないのに・・・あ、言っておくけど爆発だけじゃあないからね・・・」


 魔法陣は消え、マグヌスの声は聞こえなくなった。

 ノヴェンリーはボロボロの体でも考えるのをやめなかった。

 (さっきは思考に気を取られて魔法陣を発動させてしまった・・・どうにか感以外で魔法陣を避ける方法・・・)

 考えながらも進み始めた。今度はまっすぐではなく少し、というかかなり遠回りして近づくことにした。遠回りなので走る。ヒュゥゥと風の音が聞こえる。

 だが走り出してわずか五メートル程のところでまた魔法陣が発動した。今度は単なる爆発ではなかった。

 魔法陣が紫色の霧の爆発―――毒霧爆破をした。吹き飛びはしないものの、ダメージが蓄積されていって、不利になる。すばやくその場から離れたが、ノヴェンリーの怪我したところにも毒霧は入り、体中をすばやく犯していった。

 五秒後、視界が不安定になる。

 視界が不安定になってしまったことでノヴェンリーはうまく進めなくなってしまった。

 十秒後、手足がうまく動かなくなる。

 歩くことができないわけではないが生まれたての子鹿のようにブルブルとしてしまう。

 (くそ・・・毒強すぎんだろ・・・・ここまで来たならもう・・・・・賭けるか・・・・・・)


 ノヴェンリーは父が木こりだったこともあり、赤ちゃんの頃から木をかる父の姿を見てきた。

 父はどんな木でもかるプロだった。父が木をかる時は雰囲気が変わり、空気が重くなった。赤ちゃんの頃のノヴェンリーはその空気に耐えきれず泣いた。

 だがそんなことを木にせずに父は息を整え、自分のお気に入りの斧で木をかる。木をかるのは一瞬だった。泣きながらもノヴェンリーはその姿を見ていた。かっこいい、ただそれだけを当時感じた。

 だがある日いつものように木をかりに行った父がお気に入りの斧をもって息を切らして帰ってきた。

 母が急いでどうしたか聞くと木がいつもみたいにかれないというのだ。年齢というのもあったが一番は年齢自体ではなく年齢による集中力の低下だろう。たしかに最近はあまり木が持ってこれていなかったがこんなことになるとは思っていなかった。

 父は木こりの才能以外、普通のスペックだったため徐々にお金もなくなっていき、最終的にはノヴェンリーが自ら王国の無に行き、優秀な主人を探しにいった。その間家族は電気をつけていない、暗い家で待っていた。

 そこにチーフが現れ、居場所を確保してくれた。さらに成長したノヴェンリーは父親のような―――いや、正確に言えば父親以上の木こりの才能があった。

 父は感動した。息子は木こりの才能もあり、建物も建てれるのかと。

 昔から父はよく言っていた。


「いいかノヴェンリー。大事なのは集中だ。どんなことも極限の集中には勝らない。自分の極限の集中を見いだせれば新しい自分になれる」


 どんな時もこの言葉を忘れなかった。

 城を建てた時もできる限りの集中はした。そして城の部屋に父が来て、またこの言葉を言った。

 ノヴェンリーは笑顔でありがとうと言った。



 周りの状況というのを一度完全に見えなくする。一点に集中する。マグヌスだけを見る。周りは真っ暗に見える。ただ自分に見えるのはマグヌスだけだ。

 荒くなった息を整え、姿勢を低くしながら手から斧を魔力で作り出す。

 低くした姿勢から一気に前へ走る。ソニックブームが起きるくらいの速さだ。来る時に魔法陣を何個か発動させたが無視した。走るスピードより速く爆発したが爆発ごときで彼の今の集中は止まらなかった。

 マグヌスとの距離が五メートルをきったとき、ノヴェンリーは手に持っている斧を振った。だがただ振っただけじゃない。斧を伸ばしたのだ。それも伸ばすだけではなくまっすぐな状態からぐねんぐねんとした鞭のようにした。

 伸縮自在にした斧で周りにある見えない魔法陣を斬り刻んだ。

 さすがにまずいと感じたマグヌスは右方向へと走り出した。が、左腕が飛んでった。勢いよく切られてしまったのだ。遠距離が得意なマグヌスは逆に近距離が苦手であるため魔力での防御が苦手だ。

 走りながらも思考を巡らせ、いろいろな場所にいろんな角度で罠を設置した。一つでもかかったら全てに連鎖するように。


 ノヴェンリーはマグヌスを追いかけた。

 また走っている時に魔法陣を発動させてしまった。今度は毒霧も多かった。

 少し集中が途切れかけた。そんなことを考えたら足が止まってしまった。

 足を止めた瞬間全身に凄まじい痛みとめまいがした。もう手足が動かない。毒にやられた。

 マグヌスはノヴェンリーが止まった時も走るのをやめずに罠を設置し続けた。


 ノヴェンリーは現世でいう陸上長距離を本気で走った時のような呼吸の痛さも感じた。

 集中が途切れる―――そんな時に目に入ったのはマグヌスの背中、小さな芽が出ていた。

 なぜだかわからないが革新した。これは自分の能力だと。

 最後の自分の力で斧を持っていない方の手の拳を思いっきり広げた。するとその芽は一メートル程の木になった。

 マグヌスは途端に背中に重みを感じ、走るのをやめてしまった。見ると木が成っていて驚いた。木が成ってからエネルギーが吸い取られて不思議と魔力と力が湧かず、その場に膝立ちするような体勢になった。それでもマグヌスは自分の近くに多くの魔法陣を設置した。

 木が吸い取ったエネルギーでノヴェンリーは徐々に怪我や毒が治癒していき、自分の能力に感謝しつつもまた極限まで自分の集中力を上げ、ソニックブームを起こしながらマグヌスのところまで向かった。

 そしてマグヌスにたどり着くまでの魔法陣はすべて切り、マグヌス本体の周りに張られた魔法陣達もすべて斬り刻み、マグヌス本体に生えた木を斧で切る。すると木から直でマグヌスのエネルギーが外に放出されマグヌスは顔をぐしゃぐしゃにして泣き、ノヴェンリーはマグヌスの胸ぐらを掴み、そこらへんに投げた。

 そしてマグヌスは自分が設置した魔法陣に触れ、爆発し、吹き飛んでは爆発し・・・・となんやかんや五分ほど吹き飛び続けた。途中から吹き飛んでいたのは体の一部一部だったが。


 ノヴェンリーは服だけが破かれている状態でふぅ・・・と息をはき、その場に大の字で倒れた。


「・・・疲れた〜・・・!!」


 ノヴェンリーが最後に開花した能力。それは植物を操る能力。

 マグヌスにやったように相手に木を生やしてそのエネルギーを自分のものにしたり、元々ある植物を成長させたり、根で相手の臓器を貫いたり・・・

 その能力はノヴェンリーの左目の下にある謎の模様によってできたものである。

なんか全体が某鬼狩り漫画っぽくなってんのは気のせいです。

あとノヴェンリーに最初から本気だせとか辛辣なこと言わないであげてください。

・・・まぁたしかに斧出さずに立ち向かっていったのは謎ですが。

あの体から木はやすやつ登場させてみたかったんですよね〜。能力系で植物操る人が結構やってるイメージだったんで憧れてました。いつか名前つけます。

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