007話 不穏な空気。
先に言っておきます。今回とんでもなく新キャラでてくるので注意です。
予想通り今回はジェニス回です。
そして異世界に来たばかりのラペルは・・・モンスター相手に能力の練習をしていた。まぁ妥当だろう。
能力の使い方とかは影朧が一番だろうから、うまい使い方とかは影朧にまかせている。
おっとラペルの能力を言ってなかった。ラペルの能力名は『見て学ぶ』その名の通り相手の技やら能力やらを見たら、見た回数だけ使える、という汎用性の高い能力だ。頭の回転が早ければすぐにうまく運用できる。そのために今モンスターと戦って基礎戦闘力と頭の回転力を高めている。
影朧はなんかよくわからないけど多分戦闘訓練してる。影朧の技を細かく把握できてないんだよねぇ・・・あ、でも基礎的な戦闘技術なら多分俺と同レベルかちょっと下くらい?とんでもない強さ。
そして肝心の俺。あの時はうまくだせた『タマテバコ』とカウンター、写すだけじゃない鏡をうまく使えるようにするっていうのと、攻撃系能力がもう一つくらいほしいからずっと考えてたりする。写すだけじゃない鏡は結構その場その場で使うことができる。カウンターは相手が強いと一度で見切られてしまい、もう使えなくなってしまう。そうなると本当に攻撃っていう攻撃技はタマテバコのみになってしまう。タマテバコは魔力管理をしっかりしないとその後に自分を苦しめる。だから他にいい能力とかないかなぁって。
え?カーリタース?武器作ってほしいっていう人がいなくてオムニバスの観察してるよ。絵になるって言ってる。
いろいろ考えていたら影朧から珍しく腕試しを申し込んできた。少しワクワクする。
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ウェルコ家の地下、訓練場にジェニスとルボル、その近くに五人ほどの人間がいる。
一人はひょろく、ちょっと叩いたら折れそうな体つきな猫背で緑の髪を伸ばしている。
一人は白く、縁は金色の服を着ている清楚な金髪ロング。
一人は地味で、全体的に暗い髪も少し長い。
一人はクールで身長も少し高く、水色の服を着た水色の髪。
一人は少し筋肉質、身長も少し高い黒髪。
ルボルは少し口角を上げてジェニスに報告する。
「たった今、偽物が倒されました。相手は想定以上の強さをもっていますが偽物相手に手がいっぱいでかなり疲れている様子。俺の偽物はまだ出せますが・・・」
ジェニスも少し口角を上げて言う。
「良い。ためておけ。きっとどこかのタイミングで争いが起こる。その時にお前らに働いてもらうからな」
ここにいる六人はアゴラリス王国の先鋭団長達だ。団長にはそれぞれ二つ名がある。
緑髪はマグヌス。団長っぽい見た目はしていないが、実力は確か。『天性の罠配置者』と呼ばれている。
金髪ロングはグロリア。中身も清楚なお姉様。彼女の戦う姿は『輝く蝶』と言われている。
暗いのはラクリマ。マグヌスと同じく団長っぽくはないが、彼女の戦う姿は『暗闇の人』と言われている。
水色はドクトゥス。荒々しくなった戦場も彼が来たらすぐに終わる。通称『アイスマン』。
筋肉質はシルワ。今まで対面した敵は姿が見当たらなくなってしまう。『フレア』と呼ばれることがある。
そしてルボル。唯一チーフの実力を知っている。見た目とは裏腹にトリッキーなことをしてくるため、『幻影使い』と呼ばれる。
ジェニスはチーフの実力を六人の団長と共有できたので六人の団長に解散を伝えようとする。
だが解散と言いかけた時に誰かが地下訓練場の扉をノックした。
ノックした者の気配はその場にいる全員が知っている人の気配だった。
ジェニスが「入れ」と言うと扉が開く。
そこにいたのはアゴラリス王国の姫だった。
姫の名前はレギナ・アーエール。予定通りならジェニスの嫁になる人。外見は毛先が赤のボブ(ショート)、可愛らしい顔で、丸メガネをかけている。身長は160cmくらい。
レギナはジェニスに向かって
「あ、えっとぉ・・・図書室って・・・どこでしたっけ・・・?広くて覚えきれなくて・・・」
とちょっと苦笑いで聞いている。
ジェニスはため息をはき、
「俺以外にも人はいただろう?執事とか・・・」
と。呆れ気味である。
レギナは苦笑い状態でそそくさと上の階へ行った。
六人の団長は軽く笑い、その中からグロリアとルボルが口を開いた。
「レギナ様、お転婆で可愛らしいですね」
「何度見ても癒やされますな・・・」
ジェニスはまたため息をはいた。
「・・・あまりレギナを甘やかすなよ・・・」
そしてジェニスは手を二回程叩き、団長達に解散を言った。
だが、ジェニスはルボルにだけ残ってもらった。話したいことがあるからだ。
地下訓練場に二人だけになり、冷たい空気が流れ始めた。
ジェニスはルボルに問う。
「・・・んで、本当のところどうなんだ?チーフは」
ルボルはやはり聞いてくるかと思ったかのように、すんなりと答えた。
「そうですね・・・あの戦いの感じ的にまだまだ成長してくるかと。私の偽物が私よりほんの少し下でもあの倒され方となると、一対一だと倒される可能性が多いと考えます」
ジェニスは訓練場の中心にある石でできた座り心地の悪い椅子に座り、ふむ・・・と考えた。ジェニスは団長達を特に大切にしている。だからこそなるべく一人も失いたくないのだ。
ルボルの能力――『騙す側のタネ』の能力の一つに『偽物との視覚共有』というものがある。視覚共有できるのは本来能力を使うルボル自身だけだが、ジェニスへの忠実な心によってジェニスも見ることができる。もちろん、他の団長達は見ることができない。さっきの報告は他の団長達への情報共有に過ぎない。
ジェニスは信じ込んでいた。ルボルほどの者ならきっといとも容易くやりきれるだろうと。だがさっきの戦いを視覚共有で見て、心配になってしまった。ルボルを信じたほうが良いと心では思っているのにもかかわらず心配でならなかった。
そして今までの団長達の戦績を見て、ルボルと組ませて良い者も多い。だがその分他にやる戦力が圧倒的に足りない。せめてあちら一人につき団長一人はつかせたい。となると本当にルボル単騎で挑むことになる。団長以外の兵達も強いには強いが、どんどん成長するやつらには団長との戦闘後でもやられるような気がした。
そこでジェニスはとある人に会いに行くことにした。だがジェニスはその人が嫌いだった。
ジェニスとルボルは地下訓練場から少し奥に行ったところにある図書室に行った。ウェルコ家はそこを裏図書室とも呼んでいた。
裏図書室にある本は大半がなにかしら不思議な力を持っていた。読んだ人が突然消えたり、未来が書かれてあったり・・・だがここの図書室にはあまり来ない。面倒、というのもあるが一番の理由は必要ないからだろう。ウェルコ家に本を使って人を消したり、未来を見て有利な行動をするような人間は今はあまりいないのだった。
ジェニスは裏図書室の膨大な数の本棚とそこに入った本の中から一番奥の列の右から十三番目、下から七行目のところにある『支配者』という本を取った。
すると
ゴゴゴゴゴ・・・・
と重いものが動く音がして、一番奥の本棚がきれいに真ん中で開いた。そしてトンネルのようなものがでてきた。
ジェニスはトンネルに入っていき、ルボルは頭にはてなを浮かべながらもジェニスについていった。
トンネルは真っ暗で、横幅も五メートルないだろう。壁面は石でできており、床もきれいに配置された石でできていた。
しばらくまっすぐ歩いていくと徐々に僅かな光が見えてきて、ジェニスとルボルはそこに向かって歩いていった。光のあった場所は広い、地下訓練場のようになっていた。
だがここの壁や床も石畳でできていて、広い空間にも大きめのきれいな四角形の石が四つ程置かれているくらいだった。その訓練場のような場所の奥に長い階段が見えた。
少し面倒な訓練場?を抜け、階段まできた。そこでジェニスはルボルに言う。
「ここであったことは誰にも言うな。絶対に」
いつもより圧を感じた。が、ルボルはいつもどおり「はい」と返事をした。
返事をしたルボルの頭に手を近づけ、ルボルの頭を多面体で囲んだ。ルボルはまたもや頭にはてなを浮かべた。この多面体をつけている本人の視野はいつもどおりらしい。その多面体は一秒経たずにスッと消えた。
ジェニス本人も自分にそれをつけ、スッと消えた。
そして二人は階段を上り、また少し広い空間にでた。そこには先程とは違い、奥の中央らへんに石でできた立派な椅子があり、そこに誰かが座っていた。
ルボルは警戒した。ジェニスと共にしている時に知らない顔がいたら無意識の内に臨戦態勢に入ってしまうのだ。だがジェニスはルボルに休めの合図をし、普通に立たせた。
そして椅子にすわっている人がジェニスに向かって大きな声で一言。
「久しぶりーーーーーーーー!!!!!!!元気だったーーーーーーー???????????????」
ジェニスは思った。はやくこいつ消えねぇかな、と。
その大声で挨拶をした人間はダッシュでジェニスのところに来た。
そいつは全体のイメージカラーは紫、丸い目、少しだけ伸びた髪、小柄な人間だ。
「ジェニス元気してた??俺??ちょーーーー元気!!来るかなーーーーーって思って待ってたらほんとに来たよーーー!運命ってやつ!?これって運命ってやつ!?」
少し、いやかなり嫌そうにしているジェニスは目と体を逸らした。
「うるさいぞフィデス・・・本当は来たくなかったがお前に用事があってきたんだ・・・」
その人間はフィデスというらしい。
フィデスはジェニスへキラキラさせた目を向け、聞いた。
「俺に用事!?嬉しいなぁーーー!!どんなだい????」
フィデスのキラキラした目を嫌がりながらも親指でルボルを指した。
フィデスはルボルを見た。
ジーーッとみて口を開いた。
「いい人だ!!!どうせジェニスのことだからそんなことだとは思ったけどさぁ・・・・ごめんだけど協力はできない、というかしたくないなーーーーーー。めんどくさいし!!!!!!」
まるで子供のように嫌がりジェニスはため息をついた。
ルボルは困惑中だった。
「まぁそういうと思ったがな・・・帰るぜ、ルボル」
そう言うとジェニスはくるっと背を向け、来た道を戻っていった。
ルボルは慌てて「はい」と返事をし、フィデスに軽く礼をして、ジェニスについていった。
「また来てねーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!」
ジェニスはなにもせずそのまま帰っていった。
帰っている最中、ルボルはジェニスに聞いた。
「あの・・・さっきの方は一体・・・?」
ジェニスは歩きながらルボルの問いに答えた。
「さっきのはフィデス。アゴラリス王国は何回かこいつに助けられた。強さはまぁ・・・俺と同じかそれ以上だろ。多分」
そのままジェニスは話を続けた。
どうやらあのフィデスという者は生物を操ることでアゴラリス王国の様々な危機を助けてきたという。しかも操る精度はかなりよく、他国とのたたかいとなった時一番弱かった兵を操り、そのたたかいで一番強い兵にしたという。そして今のフィデスの年齢はざっと五百歳だとか。なんであんな若々しいのかはジェニスも詳しくは知らないらしいが自身の能力で脳を操り若くしてると考えているらしい。
そんな話をしていたらウェルコ家の城の地下訓練場についた。
地下から上がり、ジェノスは自分の部屋の前でルボルに解散を告げた。
そしてジェノスは自分の部屋に入ってソファに座り、本を読みながら呟いた。
「・・・近いな」
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地下訓練場から階段に行き、階段から二階に行く。
・・・はぁ。ほんとは会話聞いてたなんて言えない・・・
あのジェノスって人なんか裏でしてそうだなって思ってたけどまだ私にはわからない・・・あれはなにをしていたの・・・?六人の団長と言われている人達となんか作戦会議していたけど・・・
会話聞いてたからきっとバレてるなって思って思わず出ちゃったけど出なくてもよかったなぁ・・・
図書館、着いたけど・・・せっかくだし面白そうな本さがして読んじゃお!
彼女はレギナ・アーエール。さっき地下訓練場にちらっといた姫である。
彼女は少し前までとある他の王国で国王の娘だったが、アゴラリス王国が貿易が捗ると言ってその王国と協定を結び、その流れでアゴラリス王国のジェニス王の父がレギナを気に入り、姫にしようと言いはじめたのがきっかけで今にいたる。
彼女は本当に好きな人をつくったことがない。
そして彼女の能力がとんでもない能力ということを彼女の親以外、彼女自身も知らない。
レギナに少し癖を入れました。へへへ。
あと、書くのが遅くなりましたがルボルの身長は199とかそんくらいで、ジェニスは180くらいなので多面体で頭を囲んであげるシーンは少し離れたところから手のひらがルボルの頭に向いているみたいな状況にしといてください。
最近上げてるやつが文字数少ない気がしてきているのは自分だけでしょうか・・・
でもそろそろこの章もクライマックスに突入させたいなー、なんて。ははは。