001話 不思議な世界。
異世界の生活がここから始まります。序章でも書きましたが様々な作品に似てしまっている場面が多々ありますので、優しい目で見てもらえると幸いです。
黒い人は仮面を取った。イケメンだ。金髪のイケメンだ。学園モノでモテまくる系のイケメンだ。
いや、あのさ、現世でも思ってたけどこういう人達ってなんでかっこいいんだろうね。
いいなぁ。しかも高身長。許されないな、これは。こんなすごいやつが側近でいいのか?まったく俺ったら贅沢者め。
「かっけぇ・・・」
「いやいや、それほどでもないですよ」
「自分で顔つくった?」
「いえ、自然にこの体に生まれました」
いいな。とてもじゃないけどこのイケメン見てると冒険とかする気力が薄れていく気がする。てかそもそも冒険と限った話じゃないか。
そんなこと考えている間にまた黒い人は仮面を被った。
「側近さん、名前とかつけたいんだけどいいかな?」
「お名前・・・ですか・・・」
流石に唐突すぎたか・・・まぁ答えはNOだよねきっと。
いやでも僅かな希望の光を信じてYESだと思うことにしよう・・・!
「もちろん、構いませんよ」
やったぁぁぁぁ
と喜ぶのはいいけどネーミングセンスないんだよな・・・俺。
なんかぽいやつ・・・ごま?いやダメだ可愛い系になってしまう。
「・・・影朧とかは?」
「良いと思います・・・せっかくですので千晴様も名前を変えられては?」
「そうしよっかな。えぇと・・・」
自分の名前考えるとは考えてなかったな。なにがいいかな。カタカナの名前とか憧れるんだよな〜
異世界転生ものって主人公カタカナ名前のこと多い気がする。
「チーフ・ラブイーター・・」
「とてもお似合いかと」
なんか恥ずいな。「・」じゃなくて「=」にするか?いやいやなんかもろじゃねぇかってなるからやめよう・・・
「それではチーフ様、貴方はこの世界で・・・ほぼ最強になってもらいます」
「・・・ほぼ最強?絶対じゃなくて?」
「絶対的な最強というのは誰でもありません。存在しないのです。なのでほぼ最強になってもらいます」
影朧名言めっちゃ言う気がするんだけど!?
・・・異世界ものってこういうゴールを達成すると現世に戻るこよが多いよな・・・どうなるんだろ
「・・・ねぇ影朧、ほぼ最強になったら俺って現世に戻るの?」
「いえ・・・これはあくまでゴールではなく目標ですので」
「ゴールと目標ってなにが違うの?」
「ゴールはそこで最後になってしまうことがほとんどですが、目標は中間地点のようにとりあえずここまでやろうみたいなものなのです」
なる・・・ほど?
今ので理解できた人いる?いないよね?
「では目標も伝えられたので、そろそろフィールドへ行きましょう」
そっか。まだこの謎の空間にいるんだった。
「うん。行こう」
そこから俺はいつの間に新たな大地にいた
「す、すげぇ・・・自然がいっぱいだ!」
「この辺はなかなか人も来ませんし、ゴミなどもありません。数少ない平和な場所かと」
「今はまだ休まなくていいかな。それよりあそこにある街みたいなのって・・・?」
「あそこはアゴラリス王国です」
あ・・・あごら・・・?
あごらりす・・・・?
顎とゴリラとリスが合体したような名前で少し笑ったってことは黙っておこう。
「アゴラリス王国はウェルコ家が創った王国で、この大陸のなかでもトップ5に入るほどの権力があります」
名前の割にすげぇな!いつかは関わることになるんだろうけどどうなることやら。
「ちなみに今からでも門番を人質にして無理やり交渉すれば権力を手にすることが可能かと」
「そこまでして交渉する必要は今はないとおもうよ・・・あはは」
影朧が有能だ・・・有能というか、万能というか。
「そうですか。では先に私達の拠点になる場所を探しましょうか」
「そうしよっか」
俺と影朧は森を抜けた。森を抜けた瞬間、俺達の前にモンスターが現れた。
見た瞬間わかった。スライムだ。ただの、なんの変哲もないスライムだ。
「チーフ様、下がっていたほうがよろしいかと」
「うぇ?」
影朧に手を引かれて一歩後ろに下がった。
その瞬間にスライムに手足が生えた。ムキムキだ。
うわきっしょおおおおお
「攻撃がきます」
影朧がそう言ってくれた瞬間にほんとに攻撃がきた。
魔力操作みたいなのでなんとなくわかるのかな。
その攻撃はぶおぉぉぉぉって風を切った音がした。
「チーフ様、いい機会ですのでこの場で単純な魔力操作を教えます」
え、あ、まぁそうか。一番最初ってたしかにそういうのあるよね。
でも少なくともこいつではないでしょ!
「魔力というのは・・・そうですね・・・感覚で操ります・・・」
攻撃を避けながら教えてくれてるけど教えるの下手かよ!
イケメンって全員教えるのうまいんだと思ってた!
・・・と、とりあえず感覚でやってみるか・・・
「こ、こう?」
「はい。うまく拳にまとえていますので、スライムモドキを殴ってみましょう」
いきなりだな・・・とりあえず言う通りにしてみるか・・・
えいっ
・・・なんかすごい吹っ飛んだんだけど!?こういうものかな!?
「ち、チーフ様・・・すごすぎです・・・」
「あ、それはどうも・・・」
やっぱりおかしかったぁぁぁぁ
これが普通な理由ないよね!
「で、では次は能力を確認しましょう・・・」
珍しく笑顔ではなく驚いてるなぁこの言い方は。動画にでも収めておきたいよ。
「能力は魔力を自分の手から外に出す感じで・・・」
まだ驚いてるよ・・・
まぁいいか。魔力を手から外に出す感じ・・・
「できた!・・・けどどういう能力?」
俺の手からでてきたのは一見魔力の塊の壁。
敵に当てたりするのかな?
「なにもないですね・・・まだギリギリ生きているスライムが攻撃してきたときに当てて見ますか」
これも影朧が言うとおりに怒り狂って攻撃を仕掛けてきたスライムに当ててみた。
でも魔力の壁は運悪くムキムキ拳にあたった。
拳に当たった瞬間スライムの殴ってきた方の腕、右腕が吹き飛んだ。
・・・は?
「カウンター・・・ですか・・・」
「えっ・・・もしかして外れ?」
「いえ、かなり稀だなと思いまして」
「と言うと?」
「カウンター能力が使えるのはこの世界の中でもひとつまみ・・・いえ、それよりもはるかに少ない者のみなのです」
えぇぇぇぇぇ!俺すごい運よくね!?ガチャ運さようなら!
しかもゲームとかと違ってずっと構えていられるし・・・チートか?
「スライムモドキ・・・どっかいったな・・・」
「そうですね・・・」
そのあと30分くらい歩いたけどその時もモンスターがたくさん襲ってきた。
殴ってくる奴、腹で押しつぶそうとしてくる奴、毒を撒き散らす奴・・・すべてカウンターの敵ではなかった。
「・・・やはりそうですか」
カブトムシの幼虫のようなモンスターを倒したときに突如影朧がつぶやいた。
「?どうしたの?」
「チーフ様のカウンター能力、魔力の攻撃は倍以上にして返せていますが物理攻撃自体は返せていません」
確かに!今までは物理攻撃がこっちに当たる前にモンスターが吹き飛んだから気づきにくかったけど返せてない!
洞察力も高い影朧、恐るべし。
「なにか経験が必要なのかもしれませんね」
「経験ねぇ・・・」
そこからまた1時間歩いたところに誰かのアジトのようなものがあった。
悪そうな旗が色々なところにあるよ・・・
「基地・・・でしょうか。制圧したらそのまま使えるかもしれないですね」
「確かに。制圧しに行く?」
「行くか行かないかはチーフ様が決めることですので」
「じゃあ・・・行こう!」
半分ノリで言っちゃったけど大丈夫かな?
返り討ちにされたり・・・
「中は思っていたより明るいですね」
「そうだね・・・敵は・・・?」
「どうやら隠れているようですね」
いや俺まだ探査能力とかないからそうですねとも言えないんだけど・・・
基地ってことは集団なのかな。
スタッ
「おいおい・・・誰かいると思ったら変な仮面男とただのイケメンじゃねぇか・・・」
そう言ってきたのは男4人組の中の1人だ。
1人はボスっぽいやつ、となると周りの3人は子分か?
「兄貴ィ、こいつらどうします?」
「もちろん、潰すしかねぇよなぁ・・・イケメンは俺がやる。仮面はお前らでやれ」
え、俺の相手このボスみたいなやつ?強そうなんだけど・・・
とりあえず影朧の方見るか・・・
「チーフ様・・・頑張りましょう」
こんなときも笑顔だよ・・・多分。
はぁ・・・やるしかないのか・・・
影朧のほうに行った下っ端3人を影朧本人はボコす気満々だ。
「イケメンさんよ、名前なんていうんだ?」
「・・・チーフだ。チーフ・ラブイーター」
「いいねぇその名。愛を食らうのか・・・かっけぇじゃん?俺はポイル・ヘイラーだ」
「ポイル・・・お前達は普段なにをしているんだ?」
「俺達はまぁあれよ。悪い言い方すると盗賊、良い言い方するとお古もらい屋だよ」
「盗賊ってだけなのに随分良い基地持ってるんだな」
「俺達は俺達で頑張ってんだ。・・・そろそろ俺達も戦うか・・・」
ポイルは俺の背後で戦っている下っ端と影朧を見ていた。
ポイルは武器持ちだ・・・物理でくると考えると・・・俺おわったか?
「俺はさぁ、こいつで戦うんだ」
ポイルの手元を見た。持ち手が曲がっている斧のようなものだ。
普通の斧より力が加えやすいのかな・・・
「こいつも人様からもらったもんでよ・・・俺にぴったりの武器なんだ・・・」
「もらったか・・・奪ったじゃないのか?」
「まぁそれでもいいさ」
・・・ポイルと俺の間に静けさが少しの間あった。
だが、俺もポイルも同タイミングで動き出した。
今は避けるしかないか・・・
「おいおい避けることしかできねぇのかチーフさんよぉ!」
ポイルの能力がわかるまで下手な攻撃は仕掛けない。
注意深く観察しよう。
「離れたら攻撃が当たんねぇだろ!」
パリィン
なんだ?ガラスかなにかが割れたのか・・・?
いや・・・違う!鏡が割れた!ポイルの魔力で作られた鏡のようなものが割れた!
俺はバックステップで避けていたのに今はポイルに背を向けている!
「理解がお早くて嬉しいよぉ俺はぁ!そう!俺の能力は架空の鏡を召喚して相手がそれにぶつかったら鏡の写っている方の向きに変わる!何言ってるかわかんないって?めんどい能力なもんでな!」
・・・ほんと厄介だ
鏡を割ってしまうと鏡に写っている向き、つまり逆向きを向いてしまうなんて・・・
カウンターのしようがないじゃないか。
「くっ!」
頑張って体を回転させたが胸のあたりに攻撃を受けてしまった。
だが・・・一度攻撃を受ければ感覚は覚えてる
いける。
「次は頭を狙うぜぇ!・・・ん?なんだぁ?」
「カウンターだよ、物理特化のね」
俺の頭に当たりそうになった斧のダメージはカウンターによってポイルの頭にいった。
だがまだ息はギリギリ、あと数秒の命だが残っていた。
「下っ端達は・・・無事か・・・?」
「影朧が始末したよ。きっと」
「そうか・・・またあいつらと・・・でけぇ肉とか魚、高ぇ酒を飲みたかった・・・」
「・・・盗賊でも人柄はいいんだな」
「ははっ・・・まぁな・・・」
ポイルはもう話さなくなった。目に光もない。
それと同時に俺の中に新たな能力の感覚があった。
試しに使ってみた・・・鏡だ。ポイルの能力からもらったのか?
「チーフ様、終わりましたか」
「うぉ!影朧!そっちも終わったのか」
「大半遊んでいましたが・・・」
「・・・実際処理に使った時間は?」
「3秒ほどでしょうか」
1人1秒!?まじで!?すごいな・・・
「制圧もできたのでここを本格的に拠点にする用意をしますか」
そうだったそうだった。
忘れてた。
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一方その頃、アゴラリス王国のウェルコ家の所有する城の中・・・
一般人なら自分の部屋と呼ぶには広すぎる、暗い部屋に男はいた。
男は烏の羽で作られたであろう服を着ていて、まさに悪役のような姿だった
「仮面が動いたか・・・今頃主人のやつに従ってんだろうな」
「ジェニス様、そろそろ対談の時間でございます」
「もうそんな時間か・・・ん?ポイルの魔力が消えた・・・仮面とその主か?まぁいい。あいつには期待していたんだがな」
ジェニスという男は髪と髭が整っている老人との対談の時間になり、老人のいる部屋へ向かった。
「久しいな、じいさん。元気にしてるっぽいな」
「まだまだ生きとるわ・・・ところで・・・ウェイルはまだ戻らないのか?」
「何回も言ってんだろ、あいつは戻ってこない」
「わしはなんと言われようが、ウェイルが王になるまで来続けるぞ」
「はぁ・・・もういいよ、じいさん」
「・・・!わしは・・・」
「あぁそうだ。会うことは少なくなるだろうな」
そういうとジェニスは老人に触れた。
その瞬間老人は謎の立方体に包まれ、どこかへ消えた。
「・・・寝るか」
ジェニスは広い自分の部屋に戻り、ベッドに横たわった。
見てくれてありがとうございます。1話1話、時間がかかってしまいますが、精一杯がんばりますので、応援よろしくお願いします。