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一話


 俺がこの世界でこの肉体とは違う記憶ーーーすなわち前世というものをもっていたと気づいたのは一年ほど前だった。

何故そのようなことになったかは未だ定かではないが少なくとも前世は平凡とは言い難いが少なくともどこにでもいる普通の中年男性として労働に励んでいた。

 この世界での俺はといえばそれよりも遙かに若い十代の全く別人の姿となっていた。それだけなら輪廻転生の類で済んだかもしれないが、そこにはいくつか驚愕の事実が存在していた。それは、この世界がどうやら俺が生前プレイしていたR18禁ゲーム「マギウスジェネレーション」通称マギジェネという世間でいうところのエロゲーの世界とそっくりなことであった。

このゲームはダンジョン攻略型のSRPGで主人公明日野未来とヒロインたちが学園とダンジョンを行き来しながらの生活の一年を描くというものだ。

人気を博したこのゲームはファンディスク、続編、CSへの移植、アニメ化等メディアミックス展開を広げていき一つの時代を築いたといえる。

 さて、何よりも重大なのは俺がそのキャラクターの一人御仏真也であるということ。上記で語っているので察してくれているかもしれないが、彼は、俺のこの体の本来の持ち主は主人公ではなくその友人の一人だった。エロゲーでありながらSRPGの側面も強いマギジェネは中には強ユニットの男キャラもいたが彼はといえばそういうわけでもなかった。

最初期から仲間になり離脱もなく最後までいるという面では確かにありがたいが中盤以降上位互換ともいうべきヒロインやライバルキャラの参戦、各ヒロインのルートに入れば専用武器や合体技等のインフレがありよほどの場合でなければ二軍落ちとなっていることが多い。そんな正しく不遇なエロゲーの友人ポジションともいうべきキャラに憑依転生してしまったというわけだ。



「普通に生きていれば死ぬことはない、ないけど…」



 メーカーの方針故かヒロインを除いた主要クラスの人物が死ぬ事がままある。曲がりなりにも恋と魔法の学園SRPGを謳っていながら、だ。

 特定条件で仲間になるライバルキャラ等を初めとした隠しユニットは満たさなければスポット参戦もしくは永遠にこの世からの離脱などという笑えないこととなる。人気キャラはDLCやファンディスクでの復活や追加ルートなどもあったが…友人ポジションの俺もまた主人公を庇って死ぬというフラグが用意されている。ライトユーザーもしくは意図的でなければまず死なないぐらいのものだが、これはゲームであってゲームではなく目の前の現実になってしまった。覚えているうちにと備忘録にゲームの内容を書き殴り鍵付きの机にしまった、そこで立てた方針は単純にして明快だ。

ゲームは主人公が明日野未来が入学してから始まる。よってまずはそれまでにどこまで知識が通じるかを可能な範囲で調査した上で俺自身の死亡フラグ回避の為の鍛錬をするというものだ。



「俺に勇者のクラス適正はないし、さあてどうしたものかな、と」



 こうして、俺の第二の人生は始まったのであった。

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