アナグラムな彼女の正体
アナグラムを使った小説です。
どうぞ。
アナグラムを知っているだろうか。
アナグラムとは、
文の中の文字を入れ替え、別の意味の文にする言葉あそび。
である。
「すなお」→「なおす」→「おすな」 みたいな事だ。
試しに「ことばあそび」のアナグラムを作ろうか。
「ことばあそび」
↓
「蕎麦粉とBeer」
↓
「我孫子と蕎麦」
↓
「アソコとViva!」
ふむ、3つか。上出来だな。
3つともなかなか良いが、あー、私としては「アソコとViva!」が一番ハマっている。私もアソコとViva!してみたいものだ。
さて。世の中には変わった人間がいるもので、このアナグラムでしかしゃべれない人間もいる。いるったらいる。
ではそんなやつに出会ったらどうなるのか。
A「前の神は……わたしなんです……」
B「は? てか君、誰だよ」
例えばこのAさん。アナグラム、つまり同じ文字の組み合わせを並べ替えた言葉でしかしゃべらない。
私なら余裕で素通り案件なのだが、B君はやさしいのだ。B君は路上で声をかけられたババアから100万円の壺とか買っちゃう人なのだ。
まあ、おもしろそうだし。ちょっと聞いていこう。
A「前の神は、わたしなんです」
B「んだから、どういうこと?」
A「前の神は? わたしなんです?」
B「聞くなよ。お前が言ったんだろ」
A「わたしなんです。前の神は」
B「言ってること同じだよね? 話進めなよ」
A「前のわたしは、神なんです」
B「んー、君は以前、神だったって言うの?」
A「神の前は、スワンでしたな」
B「君は元々、鳥のスワンだったのか……。
なんか語尾変わってない?」
A「スワンの前は……みなで確か……」
B「みんなで何かしたの?」
A「みなでハエ湧かしたの。すまん!」
B「何しくれてんの! 虫は嫌いだよぉ!」
A「では、和の演歌たしなみます」
B「なに勝手に歌いだしてんの? 怖いわ」
A「演歌はわしの、なみた出ます」
B「なみ〝だ〟ね、濁点ぬけてるよ。
自分をわしって呼んじゃってるし」
A「わしのなみた、ハエ噛んでます」
B「それさ? 一体どういう状況なの?」
A「わしのなみた、ハエ噛んでますww」
B「気に入ってんじゃねえよ!」
A「わ! 見えました! なんかの〝歯〟です!」
B「もうよく分かんないけど怖いよ……」
A「出たわ! なんかの〝歯〟見えますし!」
B「怖いって……。いったい何が見えてんの?」
A「見えますか? 何羽の〝歯〟でした?」
B「見えてねえし。何見えてんの?
スワンの数え方だよ?」
A「わしのなみた、ハエ噛んでますww」
B「それもういいよ!
ところでお前いったい誰なんだ!」
A「私の名前は蜜柑です」
B「ちなみに僕はプラムといいます」
作者名だけでも、覚えてブラバしてください。
( 完 )
蜜柑の会話おさらい
「まえの かみは わたし なんです」
「わたし なんです まえの かみは」
「まえの わたしは かみ なんです」
「かみの まえは すわん でしたな」
「すわんの まえは みなで たしか」
「みなで はえ わかしたの すまん」
「では わの えんか たしなみます」
「えんかは わしの なみた でます」
「わしの なみた はえ かんでます」
「わ みえました なんかの は です」
「でたわ なんかの は みえますし」
「みえますか なんわの は でした」
「わたしの なまえは みかん です」




