(研究報告)文字様ランキング
長いし面白くはありません。
リポグラム作品を作っていると、1つ1つの文字へのありがたみを感じずにはいられない。まさに文字様様である。
同時に、1つ1つの文字が持っている役割や性格というのが見えてきた。このページでは、文字それぞれについての役割や性格の分析をした結果を報告しよう。文字様たちにはかなり失礼ではあるが、小説執筆における重要度でランキングをつけてみた。
という、かなりマニアックなページとなるので、そのつもりでお願いしたい。しかも、未完成でメモ書きみたいな状態になっているので、あまり、あれで、お願いします。
申し訳ない。こういうのが好きなのである。ごめんなさい。
たぶん人生で何の役にも立たないであろう。
作者は日本語学の文法用語には明るくない。そこの正確性は保証しない。
異論・反論は受け付ける。文字の順位は随時見直す。
※
このページは作者の作品製作の経験と、参考作品b.、a.を勝手に分析して執筆しています。
参考作品の中で、研究上、特に重要なページを紹介いたします。
参考作品b.(n7102en)―『あなた』のいない世界、『うそ』のない世界
参考作品a.(n5226hk)―十一文字の作文「祈りはしなかった麻柚」
[研究報告 文字の役割と性格]
◎文字の重要な役割(ランキング)
私が重要だと考える文字順に並べた。今の所、重要度No.1は『か』ではないかと考えている。
『か』
助詞として、主語「が」、疑問「~か」、並立「AかB」、接続「~だが」。
単語が多い。頭文字に使う単語は2番目らしい。表現の幅を与える熟語の量は1番ではないかと思う。
『し』
汎用動詞「する」の活用「~し、~した」。これだけで動詞はなんとかなりそう。
単語が多い。頭文字に使う単語は1番らしい。
『た』
重要助動詞「~だ、~した」。この文字だけで過去表現を担っているようなもの。文末で最も有用。
『い』
形容詞の大半「高い」など。重要動詞「居る」「言う」。動詞の活用「書いた」など。否定「無い、~しない」。
『な』
否定「無い、~しない」。疑問の語「何」。「~だ」の活用「~な」。動詞「なる」。
小説を書く上では否定と疑問はかなり使用頻度の高い表現。
『に』
修飾の助詞「~に」。疑問の語「何」。
修飾に使う助詞の中で一番用途が多い。
『つ』
過去の助動詞「~だった」。動詞「立つ」など。それ以外の有用性は低い。
「っ」は独自性の強い音、文章のアクセントになる。
『ん』
単語は多いと思う。過去の助動詞「~んだ」。
語彙としての重要性は低い。しかし独自性が強い文字/音で、表現の幅が広がる。「~なんだ」「こんな」など。文章の雰囲気は変わると思う。
『は』
主語の助詞「は」。単語が多い。感嘆詞「は?、ははは」。
「か」が使える場合、主語「は」の重要性は低い。それ以上に自立語での使用頻度が意外に高い。
『く』
動詞に頻出「書く、行く」など。形容詞の活用「高く」など。否定「無い」の活用「無く」。
上述の文字があ段い段なのでう段があると広がりが出る。
『う』
動詞に頻出「言う」など。指示語「そう、どう」。文末「だろう、しよう」。
少禁止文字数ではかなりうっとうしいが、少使用文字数では、重要性は低いか。
『の』
修飾の助詞「~の~」。指示後「この」など。文末「~のだ」
かなり便利な助詞で、一文を長くできる。が、意外と存在感は弱いか。
『て』
過去の助動詞「~た」の活用「~て」。接続「~で」「~して」。
『と』
疑問の語「どう、どこ、どの、どんな」。接続の助詞「と」。汎用名詞「こと」。
『あ』
重要動詞「有る」。二人称代名詞「あなた」。ポジティブな単語が多い「愛」「暖かい」など。感情的表現「ああ、~だなあ」。
文章の印象を明るくすると思う。
『わ』
一人称代名詞「わたし」。語尾「~わ」。
一人称は欲しいのだが、それ以外の使い道がほとんど無い。
『ほ』
一人称代名詞「ぼく」。動詞「欲しい」。
一人称は欲しいのだが、それ以外の使い道がほとんど無い。音として「ぼ」「ぽ」の存在感はある。
『る』
汎用動詞「する」。動詞「来る、取る、有る」など。それ以外かなり無能。
『す』
動詞「する」。文語的動詞「す」。打ち消し「~ず」
『こ』
指示語「そこ、どこ、この」など。汎用名詞「こと」「ひと」。単語は多い気がする。
『き』
単語は多いと思う。
『り』
動詞「知る、なる」などの活用「~り」。
ランキングは以上。その他の文字は言及するほどに研究ができていない。
ただ、最下位はもちろん、
『ぬ』
だ。
◎その他、段や行について
Wikipediaによると、リポグラムは段ごとに禁止にすることが多いらしい。上述のランキングを見れば、あ段とい段が優秀なのは明らかだろう。段のランキングをつければこうなる。
あ段>い段>>う段>お段>>え段。
段ごとにコメントをしておこう。
『え段』
全体的に無能。ラフな感じのやつら。
『お段』
あると便利な子達。けどぼんやりした子達。
比較的無能な行についてコメントをしておく
『らりるれろ』
どれも有用性は低い。「り」か「る」は比較的有用か。存在感はある。贅沢な感じがする。
『まみむめも』
微妙なやつら。「も」なら使ってやってもいいか。
『やゆよ』
かわいいね。友達になれそう。
◎文末・助動詞について
・過去表現
「した」「~った」「~んだ」の3つが主。「た」が必須。
・「た」抜き問題
「た」が無い場合は現在形にするしかない。
活用「して」「って」「~んで」で過去形も可。基本的には、「~する」「~してる」「~う」を使うことになる。
「た」抜きの場合、上の順位はかなり変わるはず。
◎助詞・助動詞は本当に重要なのか
「た」や「か」が無いと小説にならんだろうと思っていたのだが、5文字だけ4文字だけでやってみると、意外にそれはそれで何とかなったりするものなのだ。名詞や動詞などを自立語と呼ぶのに対して、助詞・助動詞はそれ自体に概念が無いため付属語と呼ばれる。私は、助詞・助動詞というのは装飾品にすぎないのではないかと思ったのだ。本来は無くてもよいのではないか。
確かに小説のなかで助詞・助動詞の使用量は非常に多い。しかしそれは必ずしも必要性が高いことを意味しない。助詞・助動詞は読み手が感じる〝自然さ〟と深く関わっているのだと思う。自然さと関わるがゆえに無い時の違和感は強いが、意味の表現に視点を絞った時、重要性は低いのではないだろうか。
とりあえず、今はここまでだ。
この研究の動機としては、少使用文字数の文字セットの選抜への指針が一つ。少禁止文字数における嫌がらせ文字セットへの指針が一つだ。
嫌がらせをしたい場合、単純に上位の文字を選ぶというのもありだが、組み合わせを考えても面白い。例えば、「か」と「は」で主語の助詞を封じるとか、「た」と「て」で過去表現を封じるなど。
選ぶ文字セットによって嫌がらせ具合や文章の性格が変わることを分かって頂けるとありがたい。
[報告おわり]
ここまで付き合っていただいた方には、心から感謝いたします。
ありがとうございました。




