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冤罪で婚約破棄されたが、隣国で幸せです。

作者: タキテル

別作品の長編が連載中ですのでよければ見に来てください。

「最強スキルを得た悪役ヒーローは勇者パーティを返り討ちにして悪事を働くが何故か感謝されるのだが?

 知らずのうちに英雄のように称えられるが、あくまでも俺は悪役だからな。そのへんよろしく!」

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「ミシェル。お前とは婚約破棄だ。そして炭鉱送りと処す」


 ミシェルと言われた栗色髪でブラウンの瞳の少女は何のことか分からず、ポカーンと口を開けることしか出来なかった。


 公爵家の御曹司、リゼル公爵と婚約関係にあったが、ある日、本人から婚約破棄を命じられてしまう。

 その理由はリゼルの父に毒を盛ったと言う罪だ。幸い、一命を取り留めたが、危うく死ぬところだった。


 重く見たリゼルはその実行犯で婚約者だったミシェルと婚約破棄を言い渡した。

 だが、ミシェルには身に覚えのない事実。しかし、上層部は話を聞いてくれず、どんどん悪い方へいってしまい、ついにミシェルは炭鉱送りと決められてしまう。


 冤罪だった。


 だが、それも過去の話。


 現在、ミシェルは王宮から離れた鉱山の近くの小屋で暮らして早、ひと月が経過しようとしていた。


「炭鉱って薄暗くて怖いのよね。私の爆炎魔法で少し入口を広げてみましょうか」


 ミシェルは軽い気持ちで魔法を使った直後である。

 加減を間違えてしまったのか、山一つ跡形もなく吹っ飛ばしてしまったのだ。


「やば! 私、やらかした?」


 炭鉱がある山は隣国との境界線になっている。

 このままでは隣国との戦争は避けられない問題に直面してしまう。


「な、何だ! 何が起きた!」


 爆発音を聞いた隣国の兵士が騒ぎを聞きつけてミシェルの元へゾロゾロと人が集まる。

 パニックになるミシェルは頭が真っ白になった。


 冤罪として炭鉱へ送られた身であるミシェルは嘘を付かないと決めた。

 ここは正直でいようと笑顔を作る。


「はは、すみません。入口を広げようと魔法を使ったのですが、加減を間違えて山ごと吹っ飛ばしてしまいました。どうもすみませんでした」


 開き直ったようにミシェルは笑顔で謝罪する。


 数秒の沈黙の後、兵士たち奥からは大笑いをする人物が一人。


「な、は、は、は! 間違えて吹っ飛ばしたか。それは面白い。気に入ったぞ」


 隣国の聖騎士である彼はラビス兵長だ。筋肉がたくましく国民から慕われている男性だった。

 ラビスが笑ってくれたことにより、ミシェルは山を吹き飛ばしたことをすんなりと許してもらえた。


 ただ、それだけではない。


「気に入ったついでにお前のその強さに惚れたぞ。名は何と言う?」


「ミシェルです」


「ミシェルか。俺はラビスだ。頼む! 俺と付き合ってもらえないか?」


「ふ、ふぇぇぇ? 何ですと?」


 ミシェルは突然の告白に戸惑いを見せる。

 一度断ってしまったミシェルだったが、ラビスは諦めず情熱的なプロポーズをした。その真剣な行動がミシェルの心を動かし、付き合うことに発展した。


 ラビスは隣国では権力があるようでミシェルは迎えられた。


「ミシェル。俺と結婚してくれ。そして我が国の王女陛下になってくれないか?」


「私が王女陛下に?」


「是非」


「うん。いいですよ」





 その頃である。


 ミシェルが隣国の聖騎士の婚約関係が成立した時。

 ミシェルの元の国、リゼル公爵は困惑していた。


「まさか、ミシェルが父に毒を盛った訳じゃないのか」


「はい。犯人はこの男の仕業です」


 殺人未遂の罪として真犯人が見つかったことにより、ミシェルの冤罪は晴れた。このことを受けてミシェルは行動に移す。


「今すぐミシェルを王宮に連れ戻すんだ。彼女と婚約を結び直す」


 リゼル公爵はミシェルを追放した炭鉱へと足を運ぶ。


 だが、炭鉱以前に炭山そのものが消えていたのだ。

 おまけにミシェルの姿もそこにはなかった。


「ミシェルはどこへ消えた?」


「リゼル公爵様。隣国との境界線がなくなっています。隣国に行けば何か情報が掴めるかもしれません」


「よし。ならば隣国へ行こう。もしかしたらそこにミシェルがいるかもしれない」


 リゼル公爵はミシェルを探すため、隣国へ乗り込む。

 案の定、ミシェルの存在は隣国内部にあった。


 リゼル公爵がミシェルを迎えに来たことはすぐにミシェルの耳に入る。


「リゼル公爵が迎えに?」


「はい。どうしましょうか。王女陛下」


 ただ追い返すだけでは相手は納得しないだろう。

 ここは直接言うことがせめてもの情けだとミシェルは立ち上がる。


 リゼル公爵の前にミシェルは姿を現した。


「ミシェル。すまなかった。君は冤罪だ。真犯人が捕まったんだ。苦しい思いをさせたな。さぁ、国へ帰ろう。そして僕と再び婚約を結ぶんだ。さぁ」


 リゼル公爵は謝罪こそするが、言葉に全く反省を感じられなかった。

 さらに言えば、戻ってこいと都合のいい発言をする。


 その姿を見たミシェルは小さく握り拳をする。


「誰があなたのような貧弱の元へ帰りますかって言うのよ! 人様を馬鹿にするのも大概にしなさい!」


 ミシェルの怒りの発言にリゼル公爵は何が起こったのか、現実を受け止められない様子だった。


「ん? どうしたミシェル。君がそんな暴言をするなんて。そうか。まさか誰かに言うように命じられたんだな。誰だ。その人物は? 私が助けてやる」


 信じられないのか。リゼル公爵は隣国の誰かに脅されていると勘違いしている様子だ。

 それを見かねたミシェルは頭を抱えて大きなため息を吐く。 


「はぁ。帰りなさい。貧弱公爵。これは全部私の意思。せっかくだから教えてあげるけど、私はもうあなたと婚約を結ぶつもりはない。最初に宣言された通り、婚約破棄のままで結構です。だって……」


 と、ミシェルの横でラビスが並んだ。


「そ、そいつは何者だ?」


「彼は私の婚約者です。よって私はもう祖国へ戻るつもりもあなたと婚約を結ぶつもりもありません」


「な、なんだと! そんな勝手なことを決めるなんて許さないぞ」


 ミシェルはバンッと自分の太ももに手を置いた。

 そして人差し指をリゼル公爵へ向けて言い放った。


「勝手はどっちだ! 私の気持ちも聞かずに周りの意見を鵜呑みにして挙げ句の果てあなたは私を追放した。私はあなたの所有物でもなんでもない。これ以上、私に関わらないで! 二度とそのアホ顔を私の前に見せないで」


 貫禄ある発言に腰を抜かしたのか、リゼル公爵は尻餅を付く。


 信じられない気持ちが大きいのか、口をパクパクするだけで言葉にならない。


 論破されてしまったリゼル公爵は何も言い返すことができず、祖国への帰還を余儀なくされた。



 一方、ミシェルはラビスと正式に結婚を果たし、隣国の王女陛下として地位と名誉を与えられた。


 ミシェルの魔法は加減を知らないことで有名だが、その力は国を守る大きな武器として国民から重宝されるものとなっていた。


「そうだ。ラビス。今度、父上と母上にあなたを紹介してもいいかしら?」


「勿論だ。是非、ご挨拶させてくれ」


 ラビスにはまだ話せていないが、ミシェルの家系は魔導師であり、両親は魔導師の中でトップを飾る大魔導師である。国の戦争を魔法一つで沈めた伝説を語り継がれるほど恐ろしい存在でもある。


 ラビスがそのことで驚くのはまだ先の話。


 たとえ、秘密があったとしてもラビスはミシェルを嫌いになることはない。

 だって永遠の愛を誓ったのだから。




別作品の長編が連載中ですのでよければ見に来てください。

「最強スキルを得た悪役ヒーローは勇者パーティを返り討ちにして悪事を働くが何故か感謝されるのだが?

 知らずのうちに英雄のように称えられるが、あくまでも俺は悪役だからな。そのへんよろしく!」

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