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95 今後の話し合い

 私は今、アルフィナを離れて地方の神殿に来ている。

 一緒に居るのはルーナ様とエルト。


 アルフィナの魔物災害は、いつまで見張れば良いのか分からない。

 まだ私の予言でアルフィナの魔物災害の詳細は知れてないからね。

 でも一応の終わりは見えたと思うわ。


 神殿に来た私はエルトとの婚約関係を神殿に証明して貰った。

 ……私を陥れようとする勢力が居るかもしれないから、これから各地の神殿を巡って婚約の証明、証人を増やそうと思う。


 アルフィナに来た視察隊は現状を確認した後でルーナ様とエルトの騎士団に合流して、王都へ帰還する。


 私はクインに乗ってアルフィナと行き来しながら彼らに同行しつつ、一緒に王都を目指す事になるかしら?


 王都付近に行った後は、ルーナ様かエルトに私の追放処分の撤回を嘆願して貰う。


「……私が帰るに当たって文句を言ってきそうなのって誰かしら? 陛下は受け入れそう?」

「陛下にはクリスティナの評価を改めるように手紙や報告を通して働き掛けているし、神殿もまた3人の天与持ちを巫女として扱う方針だからな。元よりクリスティナの派遣は王命だ。アルフィナの魔物問題が片付いたとあらば、報告の義務はあるだろう」


 そうよね!


「ミリシャは私を邪魔者だと思ってるわ」

「あの方がですか」

「ええ。暗殺者を差し向けるぐらいだし」

「暗殺者!?」

「ええ……? あの一介の神官が聞いて良い話でしょうか?」


 ちなみに今、修道院の件も話したいから場所は神殿の中で、エルトとルーナ様以外に神官長様もいらっしゃるわよ!


「大丈夫よ! 暗殺者の内の片方は、私の幼馴染だったから、私の殺しを思い直してくれて今は私の主治医として雇っているわ!」

「クリスティナ様の幼馴染で暗殺者??」


 ルーナ様が目を泳がせているわね?


「……ルーナ様、カイルに会った事ある?」

「カイル!」


 ルーナ様はカイルの名前に心当たりがあるみたい。

 あら。もしかしてルーナ様も幼馴染だったり?


「そ、その方もクリスティナ様と一緒にいらっしゃるんですね……!」

「知り合いだったの?」

「あ、いえ、知り合いではありません。その。アマネ様が言ってた方なので……」


 アマネが。ていう事は。


「ルーナ様とカイルが恋人になるっていう話?」

「あう! く、クリスティナ様もその事を見たのですか……?」

「見たわねー……。でも詳しくはまだね。……多分、それを見ようとすると私、カイルに殺される『世界』を体験する必要があるのよね!」


 あんまり見たくはないわね!


「く、クリスティナ様は……その方との仲はよろしいのですか……? 婚約されたすぐ後で聞くのも何なのですが……」


 んー……。


「【悪役令嬢クリスティナ】に意識を乗っ取られない限りは、きっと平気よ!」

「悪役……令嬢? アマネ様も言っていたような」

「夢の世界の『もしも』の私ね! 薔薇の天与の殺傷力を上げる時の拠り所にするの。彼女の憎悪パワーがあれば騎士の鎧だって貫けると思うわよ!」


 フフン! と私は胸を張ったわ!


「……何やら複雑な天与ですね。邪念に呑まれるリスクと引き換えに出力が上がるとかでしょうか……?」

「そうかもしれないわね!」


 凄く強い敵……浄化の効かない邪神とかが相手になった時は【悪役令嬢クリスティナ】の憎悪パワーを最大限に解放しなくちゃいけないと思うわ!


 具体的に言うとミリシャの前で首を切り落とされた時のムカつきとかをバネにしたら良いと思うわね!


「脱線していないか?」

「うん?」

「……今、クリスティナがそのカイルという男をどう思っているかという話だったと思うが」

「分かんないわね! フフン!」


 私は胸を張ったわ!


「分からないとは……」

「婚約者の前でそんな」

「現実の私はエルトが気になってたもの。でも【悪役令嬢クリスティナ】は……たぶん、カイルにも恋をするわ。自分が殺される瞬間でも、きっと」


 彼女は愛という拠り所が頼りなくて、弱いから。


「ふむ……別人のようなものなのか? その夢のクリスティナは」

「そうね……。私と限りなく似ている別人……みたいな『私』なの。幼い頃に目覚めた天与は怪力じゃなくて薔薇で。育ち方がきっと微妙にズレてるわ」


 だから彼女の恋心はあくまで彼女の恋心だと思うの。

 でも、それは限りなく近く私のものだから。


 呑み込まれたら、その恋心も受け継いでしまうかも。


「……だからエルトなのよ。だってまだエルトの『エンディング』は見てないもの。ううん、それはルーナ様とエルトがくっ付く物語だと思うけど。現実と夢の私の区別は付けたいわ」

「婚約者の口から聞きたくない話な気はするな……」

「反応に困ります! クリスティナ様!」


 それで何の話だっけ?


「で、クリスティナの夢の中のマリルクィーナ修道院の地下で邪教の祭壇を見つけたと」

「そうなの! でもルーナ様が言うみたいに、それが現実とは限らないのが問題なのよ」


 確信が持てるならクインで襲撃しに行くんだけど!


「三女神を冒涜し、異界からの邪神を招く邪教か……。神殿から正式な調査の手を回して貰いたいものだが」

「あ、その時は私と……ルーナ様も一緒に行く? 気になってらしたのよね」

「は、はい! アマネ様の予言の違和感を知りたいというか……。クリスティナ様へ向けられる明確な悪意と、私のあり得ない恋について知りたいのです」


 ルーナ様も乗り気ね!

 元気な上に行動力もあるわ!


 多分、幼い頃はあの何とか子爵ってヤツのせいで魅力が損なわれていたのね!


 夢の中では私に冤罪を仕掛けてきたし、改めて殴れる機会があったらぶん殴っておきましょう!


「……修道院への視察を、女神の巫女自ら、ですね。分かりました。手は回しますが……正式な手続きを踏んだ後ですと、証拠を隠されてしまうのでは……?」


「私が見つけた祭壇は隠された地下室の先にあったの。もし現実にもあの空間があるなら……例え証拠がなくても『臭い』が残ってるわ」

「臭い?」


「ええ。そこは地下室で牢屋があって。……そして『死臭』がしたわ」

「……!」

「アマネの予言では、そこで私が病死したみたいだけど、本当に死因がそうだかは怪しいものね」

「……修道院に入れられたとしてもクリスティナ様は、という事ですか」

「きっとね。アマネが提示した私の未来すべてに私の救いはないんだと思う」


 家に帰っても。修道院に行っても。

 国外追放になっても、ね。


「神殿から正式に中へ入れて貰える許可さえ取ってくれたら……後は潜入調査をしようと思うの。アルフィナに私の一番信頼している、姿を消せる魔術を使える従者がいるから。隠れて探れるわ! あとついでにもう一人、同じ魔術を使える暗殺者も居るわよ!」


 ナナシのことね!


「また暗殺者……」

「……暗殺者を全員生捕りにしてるのか?」

「カイルには襲われてないから生捕りにしたのは一人だけよ! 私を襲ってきた人は貴重な人材資源なんだから! 全員捕まえてアルフィナで畑仕事をさせるわよ!」


 フフン! と私はまた胸を張ったわ!


「さ、流石は剣と薔薇の女神、イリスの巫女ですね……はは」

「フフン!」

「褒める所なんでしょうか?」

「流石はクリスティナだな」


 ふふふ。エルトもカイルと一緒で私を褒めてくれるわね!


 じゃあ、神殿には正式な段取りを組んで貰って……。


 ラーライラの所へエルト達を連れて戻った後は、リンディス達に婚約の報告をしに戻るわよ!


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