俺は野良猫だ!
俺は野良猫だ。
名前はシロと言う。
なぜ、野良猫なのに名前があるかというと、俺が他の野良猫とやり合った時、怪我をした。
その時 助けてくれた人たちがつけた名前だ。
真っ白だからシロ。
助けてくれた人たちは、同じところに昼間いる。
よくよく見ていると、会社というところにいるようだ。
それから、俺は腹が減るとそこに行った。
キャットフードとかいうものが、用意してある。
時々 お礼に
鳥やモグラ、ネズミなどを持っていったが
「ぎゃー」
と 言われるだけだった。
でも 飼い猫にはならなかった。
野良猫のプライドがそれを許さなかった。
俺は自由な野良猫だ。
会社の人が、俺を抱っこしようとする。
気が向いた時は、ゴロゴロと喉を鳴らして喜ぶが、
イヤな時は
爪をたててひっかく。
それでも 怒らず みんなで
また
「ひっかかれちゃったっと 」
笑いながら 言っている。
この人達は 信用しても良いのか?
俺は 子猫の時に ダンボールにいれられ
山奥に捨てられた。
それから ずっとひとりで生きてきた。
俺が姿を何日も見せない日は
みんなで探してくれている
痩せ細った俺を見て
「シロ 生きてて良かった」
俺は だんだん この人達を
好きになっていた
寒い日は 暖まりに行った
暑い日は 涼みに行った
ホントは 会いに行っていた
そんなある日 見慣れない人がやってきた。
「あなた 猫 好きですか?」
「え、苦手です。」
「分かりました」
「もう いいですよ」
その人は 帰って行った
「猫 苦手な人は ダメだよね」
ここにいるには 猫が好きじゃないと
ダメなんだ。
俺は ますます この人達が
好きになっていった。
俺は
この頃 すごぶる 具合が悪い
としなのか?
片耳が黒くなり 溶けてなくなってしまった
心配した 会社の人が
病院に連れて行った
ガンだそうだ。
俺にはよくわからないが
手術をするらしい
でも あまり 良くならない
自分で 立つ事も出来なくなり
ご飯も食べれない
みんなが かわるがわる仕事の合間に
注射器で ご飯を 口に入れてくれる
もう 飲み込む事も出来ない
最期に 皆んなに出会えて良かった
人間も 悪い人ばかりじゃないんだな
ありがとう
俺は野良猫シロ
位牌も作ってもらった
しあわせな 野良猫シロ