エピローグ
最後のメッセージ
6月17日 09:05 百合と僕の連絡アプリ最後の送信
『この出来事は何年かかるかわからないけど今回起こった僕にとってのかけがえのない出来事をほぼほぼそのまま小説にしようと思います。書きあがったらどこかに投稿する前に百合さんにだけ読んでもらうね。ヒロインの心情で違うところがあったら書き直すから指摘してください。小説の名前はもちろん『百合』です。ラストレターかよ!って言わないで(笑)印税は百合さんと折半。もし映画化になったら主演女優に指名します(笑)今までありがとう。返信不要です。』 ※既読つかず。
これが百合への最後の送信メッセージだ。人生で本気で好きになった三番目の女性だ。結婚してからは初めてだ。僕は妻帯者でそれも僧侶だというのに百合を本気で愛してしまった。
この送信に至るまでの昨日の朝から現在までの怒涛の状況はとても冷静でいられる心情ではない。これが百合への最後の送信。悲しみをごまかすためなのか、一体何を考えていたのか、小説なんか一度も書いたこともないのに単なる思いつきなのか、どう考えてもふざけた突拍子のない内容だ。頭の中はパニックだったのだろう。苦労して作った積み木をぶっ壊したくなる気分だったのだろう。この既読のつかないメッセージを僕は約三十分眺めて天井を仰いだ・・
「小説・・書いてみるか・・」