第八十六話 ラウール十六歳
僕は十六歳になった。
この一年の成長はこんな感じだ。
「ステータス!」
名前:ラウール
職業:冒険者
LV:72→98
HP:890→1722
MP:2320→2946
体:777→1587
心:2145→2598
運:91
ユニークスキル:すくすく育つ・看る
スキル:解析・学習・アイテムボックスX・忍びの技・魔法(全)・戦闘(全)・解体・自然回復(全)・状態回復(全)・空間転移・空間把握
加護:才能の神の加護・創造神の加護
称号:地球人・心は中年・才能の神が見てる人・両親への信頼・両親からの信愛・ジェノサイド・乗り越えた者・逃亡者・ダンジョン攻略者中級・漆黒の翼・黒猫・無神経・後悔先に立たず・神に逢える者
*運以外は100が25歳の平均値
能力のピークは一般的な人では二十五歳と言われている世界で、僕は魔力も高く、神の力も加わっているので実能力はもっと高くになると思う。だけどもうこの年でここまで強くなっている。
ようやく成長期になってきたのか、ステータスの伸びは今までより大きくなっている。
今のステータスでどんな魔物、人と一対一で倒せるのかを知りたいが、数値化出来るのは僕だけなので、戦わずに比較することが出来ない。
Sランクのミノタウルスの変異種も多分一対一でも倒せると思うが、これがドラゴンなどになると、どれくらい強いのか想像もつかない。
……
ダンジョンでお宝探しと戦いが続いていたから、次は何をしようかな?
サクラのロマン武器、大鎌の良い物を探したいと思っているけど、熟練の職人に作成を依頼するのが良いのか、ダンジョンに潜り続け良い大鎌が出るまで攻略を続けるかは考え中だ。
~~~~~
「おめでとうラウール! 十六歳になったね! 今日は私がお祝いするから、楽しみにしてて!」
サクラは笑顔を浮かべて僕に話しかけてきた。
ここはまだ宿屋わかば。
今日一日の予定は、全てサクラが立ててくれている。
僕は誕生日をサクラとクロース、クリスくらいにしか教えていない。
両親はもちろん知っているが、この街で僕の誕生日を知っているのは、サクラだけだ……
朝食はいつも通り宿屋で摂り、サクラに言われるがまま街に出た。
「ラウール、今日は私の言う事を聞いてね。お祝いを色々と考えてるんだ!」
「ありがとうサクラ。じゃあ今日はお任せするよ。」
そう僕の返事を聞くとサクラは、僕の手を引き街の外に出た。
街の外に出て一時間程度歩いたところに湖がある。
湖までの道中は、サクラと今までの旅の思い出を語りながら移動していた。
湖につくとサクラは、魔導コンロを取り出した。
「ラウール?私がこの世界に来て初めて気合を入れて料理を振る舞いたいけど、出来るまで待っててくれるかしら?」
そうサクラが下ごしらえをした材料を次々と取り出した。
僕はこれまでサクラが「気が向いたら作るかもよ」と言いながらも作ってくれなかった料理を、今振る舞ってくれるのが嬉しかった。
サクラは前世で料理にトラウマがあると思っていた。
それを乗り越えて作ってくれる……
とてもうれしい出来事だった。
「サクラ、じゃあ作るところを見ていてもいい?」
そう僕が声をかけるとサクラはちょっと恥ずかしがりながらも「いいわよ!私の手際を見て驚かないでね?」と言いながら、料理を作っていった。
サクラの料理の手際は良かった。
良かったと言うか凄かった。
一つの作業をしていたかと思うと次の作業に取り掛かり、更に次の作業に取り掛かると……あっという間に目の前にごちそうが並んでいく。
温度まで考えていて、温かいものは温かいうちに食べられるように……順番まで考えられているようだった。
ザザザザ!
シャシャシャシャ
ジュージュージュー!
良いにおいが漂ってくる。
……
……
…………
目の前で料理をしているサクラは楽しそうだ。
時々笑顔?と言うかニヤニヤしながら料理を作っている。
その姿を見た僕までニヤニヤしてしまう……
「はいラウール完成よ! 一緒に食べよう!」
目の前には……
野菜炒め。旨そうな肉のステーキに、見たことのないソースがかかっている。それに様々な食材が煮込まれたスープ。そして主食に米!
僕が大好きな食事が目の前にあった。
「おいしそ~! 早速食べてもいい!?」
「もちろん! 全部食べてね!」
「「じゃあ! いただきまーす!!」」
そう言いながら僕達は食事を開始した。
「うまい! うまいよサクラ!!」
「本当!」
「本当だよ!! うまい! こんなうまいご飯は初めてだ!!」
「嬉しいわラウール! また作ってあげるね!」
「本当!嬉しいよ!」
そう僕達は何が何だか褒めたりお礼を言ったりと、端から見るとカップルか? と言われるような、甘い雰囲気を漂わせていた。
そして食事を食べ終わり、一息ついたときにサクラは一つの箱を取り出した。
「ラウール。これは私からの誕生日プレゼント……。喜んでもらえたら嬉しいんだけど……」
僕は笑顔で受け取り、「開けてみてもいい?」と聞き、サクラから返事をもらい中身を確認した。
【銀の指輪:呪い耐性付与】
銀色の指輪だった。そしてこの付与は高いものなのでは……
値段を持ち出すのも無粋だけど、サクラは無理していないのか?
「ありがとう! 本当に嬉しいけど、大丈夫?」
「んーーやっぱり気にした? だけど大丈夫。私も色々と頑張ってたのよ? 一人の時間もあったでしょ? その時にね。それで、私もお揃いの指輪を買っちゃった!」
「お揃い? ……ちょっとびっくりした!? でも効果は呪いに耐性が付くから、僕達にはぴったしだね。パーティーでお揃い装備もいいね!」
「ふふふふっ。そうね!」
二人は幸せそうだった。
同郷……日本からの転生転移と言う共通点から始まった二人の旅だったが、確かな絆が築かれていることが良くわかる一日だった。




