第八十話 そうだ神に聞いてみよう
勇者召喚については、神様に聞くのが一番良いのではないかと、ラウールとサクラは教会にいた。
そしてラウールが神像の前に跪き、祈りを捧げた。
「(才能の神様、教えてください。)」
すると突然ラウールとサクラが光に包まれた。
ピカ一!!
とお互いに光った事を確認していると、今までいた所ではなく、真っ白な部屋で真っ白な椅子にラウールとサクラは座っていた。
『やあ!今日は何か聞きたい事があるみたいだね?』
そう言いながらラウール達の目の前に現れた小さな神は椅子に座った。
「僕達の時間ではお久しぶりです。今日は教えてほしい事があって、神像に祈りを捧げてみました。神様に会えそうな気はしてたけど、本当に会えるなんて……」
『うん、君は特別だよ!僕が召喚させた唯一の人間なんだからね。それで今日はどんな用事だい?教えられることなら教えるよ。』
「本当ですか! ありがとうございます。僕達は気になることがあるんです……それは……今度勇者召喚が行われるって聞いて……本当に勇者召喚があるのかなーーと思って……」
『本当に儀式をするようだよ。僕にもちょっと聞かされた話題だしね。』
そして才能の神はちょっとサクラを見た。
『そしてはじめましてだねサクラ。僕にも創造神みたいに気楽な話し方で良いからね。』
そう話しかけられたサクラは驚いた。
この瞬間までは才能の神の見た目で……。そして今はサクラにも声をかけてきたことに驚いている。
「はじめまして才能の神様ですか?私は今名前を出された、創造神様よりこの世界に転移させて頂いたサクラです……」
『知ってるよーーって挨拶は大切だからね。それで名乗ったんだよね?僕は神だから、名前くらいは名乗らなくてもわかるよーーって、そんなことを言っているわけでもないんだよね?神は凄いんだぞ!』
ラウールは何が言いたいんだ……と思っている。
『まーー砕けた話し方でお願いって事だよ!』
「そうなの? てへっ! とこんな感じで良いの?」
『OKだよ。それじゃあお待たせラウール……話を戻すけど、勇者召喚はあるみたいだよ。光の神がこの前僕にも教えてくれたから。光の神の話だと何と……、五人は召喚できる魔力が召喚陣に注がれているみたいだよ。ま~ラウールとサクラに比べたら……サクラ一人分の能力を五人で分ける感じかな?均等になるわけでもないけど。大体この世界の人の二倍位の才能が与えられるんじゃない。』
「やや微妙ですね……」
『ま~、君達の転生は僕や創造神が好きでやったことだし……込めた魔力量も全然違うからね。』
「そうなんだ……僕とサクラは勇者以上にチートな能力を与えられたんだ……。あ、あと確認したいんだけど、今回の召喚を光の神様が止めることは出来ないのですか?」
『それなんだけど、もう魔方陣に魔力が貯まってるいるから、途中で介入する方が危ないんだ。中途半端に呼ばれるとどんなことが起きるか……。』
「神の力でもですか……。じゃあ、今まで話があったように、能力も中途半端……」
『そうだよ……神の空間を一瞬で通過するから、ランダムに一つ位しか能力もあげられないんだよ。だから光の神は召喚は嫌いなんだけど、今回は手順を踏まずに勝手にやるみたいだしね。』
「普通の手順ならもっと違う形になってるの?」
『普通は魔王が出現するか誕生する兆候が見られたときだけ、神託を与えるんだ。その神託が与えられた者を通して、神が介入できる時間を増やすんだ。そうすると勇者に事情も説明できるし、能力も個人にあったものを与えられるしね。』
「じゃあ今回の召喚は失敗だね。」
『そう、失敗だね。正式な魔方陣は用意したみたいだけど、正式な手順は分からなかったんでしょ。だから周りの人も、召喚できるわけがないと高を括って止めていないんでしょ。』
「実際は召喚されるのにね。」
『さすがに今話したことは、周りの人もわからないしね。ただ……召喚される人は、不幸にならないでほしいな。Sランク冒険者位にはなるだろうけど、このシチランジンでも才能のある人もいるから、最強にはなれないと思うし……適応できるかな。』
「完全にランダムなんですか、召喚される人は?」
『この世界の召喚陣の座標は、ざっくりと地球の日本になっているから。人には限るけど、ランダムだよ。』
「じゃあ、年齢も?」
『そう、近くにいるグループになる場合もあるし、別々から引っ張られることもある。強いも弱いも、才能も年齢も何も関係なく召喚されるね。』
「よくあることなの?」
『前も話したかもしれないけど、滅多にないよ。転生者がいない時代もあるし、複数人いる時代もあった。それぞれの神が……それぞれの理由があって、それぞれ動いてるからね。そもそも相談しあうこと事もないしね。転移もそう……たまたま神が気になって、たまたま死んだ魂が、たまたま新しいうちに見つけた場合だけ転移や転生させられるしね。』
「じゃあ死んだのは運が良いとは言えないけど、生まれ変わりは運が良かったんだね。」
『そうだよ。ただ……理由は神のみぞ知るってね。』
「ありがとうございます色々と聞かせて頂いて……それに生まれ変わらせて頂いて……」
そこからはサクラも会話に入り和やかな時間が流れた。
たまたまでも、二人とも神に会うことができた幸運が、ラウールとサクラにはあった。
光の神は神託で止めたかったようだ。
だが神託を受けた者が地上にいることで、更に予想外の事が起きる心配があると考え……何もしないことにしたようだ。
ラウールは今の自分の強さと、この世界の一番強い人か魔物を比べたらどれくらい差があるか聞いてみた。
神様はまだラウールの肉体が完全でないこともあり、最強ではないと言った。
肉体が一番の最盛期になると、能力の上昇幅が増える。
このまま順調にいけば世界最強になると思うよ、とラウールに返事をした。
最強にはならなくていいが、サクラと二人だけでも、今の時点ではそうそう負けない。
ただ、敵の数が多い場合は注意してと付け加えられた。
暫く話し込んでいたが、『お別れの時間だよ』と言われると二人は教会の中で、祈りを捧げる姿勢になっていた。
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二人は広場で話をし始めた。
「ラウール?召喚は何時かって聞くのを忘れたね。」
はっとしたラウール。
「忘れてた~! だけど魔力が貯ってきているし、光の神様ももう諦めてるみたいだから、もうすぐでしょ。」
「そうね……もう少し待ちましょうか。」
「うん。……だけど、召喚する貴族も、僕にとっては理不尽な貴族に入ったな。異世界からの誘拐犯……」
「そうね……自分勝手な理由でね……」
そんな話をしながら二人は宿屋に向かった。
そして、出来ることなら召喚される人は……異世界生活を望む者が来てほしいと願った。
誘拐でもまだその方がましだからと。
そこで一つの事に気付いた。
人が傷つく行為を否定していたラウールだったが、何も悪くないキソを傷つけてしまったと今さら気付いた。
僕こそが一人を見てみんなが悪いと考えていたと。
理不尽な一般人だと……
だから手紙を書こう。過去は消すことが出来ないから、精一杯の誠意ある謝罪を……




