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第六十七話 速い移動手段

ラウールはサクラに相談を持ち掛けた。

そろそろ他の所に行かないかと。


サクラは答えた……「いいよ」と。



「じゃあ……みんなに挨拶をして、買い物もして……三日後くらいに出発する?どうせなら、護衛依頼でも受ける?」


そう言ったサクラは、何かを考えている。



「そうだね。僕も三日後でいいと思うよ……。じゃあその日程で計画しよっか。護衛依頼は、何か僕達にあったものがあったらにする?」



「そうね、そんな感じでいいんじゃない。それで行き先は?まだ私は聞いてないよね?」



僕はハッとした…………行き先を決めていない……。


「行き先を考えるのを忘れてた……。早くここから出発することだけ考えてた……。」



サクラもビックリしている。



「普通は旅に出る日にちを決める。行き先はここにするって考えておくものじゃない? はあ……。でもラウールの性格もだいぶわかってきたわよ……一緒に考えよ!」



「ありがとう。僕はテザン皇国をもっと見て回ろうと思っているけど、サクラは行きたい場所はある?」



サクラは少し考えたようだ。



「……特にはないかな。でも、フイエウ共和国はまだ通りたくないな。後は……サーシン王国に行って、ラウールの両親にも会ってみたい。」



「そうだね。フイエウ共和国は、もうしばらくは避けておこう。だから今度サーシン王国に行く時は、大陸の西側のラシーア帝国を通って行こうか?」



「そうね。そうすると……一度テザン皇国を回って、転移でクライスの街に戻ってきたらいいわね。」



そう話し合ったラウール達は、まずは南西にあるロムヒドの街を通り、次は東にあるツヘイシの街により、そこから南西にある首都ニジュールに行く計画を立てた。稲妻の形みたいな移動経路だ。


ちなみにツヘイシの東に行くと、ボーリットの街と言う港がある街につく。



そして首都ニジュールの南は、交易都市群サザがある。


転移ポイントを付けて、旅をしていく。

あとで他の所に移動するときに時間が短縮できるよう、真っ直ぐに最短距離では移動しない。



今の時点の目的地の首都ニジュールでは、積極的に依頼をこなす予定とし、ダンジョンにも挑戦する計画でいる。そろそろラウールはAランク冒険者になりたいと考えていた。



~~~~~



行き先が決定した後は、買い物に出かけた。


今回の旅は長距離移動となる。

だから食材と、すでに出来上がっている料理を沢山買う予定とした。

三日後の出発までに買いに来るからと伝え、料理を準備して欲しいと店に依頼をして回った。



冒険者ギルドにも、僕達は拠点を移すと伝えた。



【放浪の羊】のメンバーにも挨拶をしようと考えていたが、今はダンジョンに潜っているそうだ。出発の日にまで戻ってくるかは不明のだから、出発前にもう一度冒険者ギルドに寄ると宿に伝言を残した。



教会には…………行かない……。



~~~~~



そして出発の日、僕達は朝から冒険者ギルドにいた。


僕達が違う街に移動することを知り、これまで顔見知り程度だった冒険者も声をかけてきた。


「頑張れよ!」


「気を付けてな!」


「いつか俺にも黒猫の姿を見せろよな!」


「行っちゃうの?私悲しい(マッチョ)」


「いっそのこと、ずっと武器なしに軽装で冒険してみたらどうだ?そのうち伝説になるかもよ!?」


「漆黒の翼のイメージを少しは消しておくぜ!」


などと、好き勝手なことを言ってくれて……嬉しかった……。



【放浪の羊】は僕達が出発する前に帰って来た。ギリギリ昨日の夜に戻ったようで、疲れているだろうにわざわざ来てくれた。


「おうラウール!お前達はこれからも頑張るんだ。俺みたいな道具使いはなかなかいないだろうが、きっとお前たちにも立派な道具使いが見つかるさ!!」


とデーブンさんは平常運転だ。



「ラウール、無理をしないようにね。俺達はもう少しここで実力をつける予定だ。しかしその後はまた護衛依頼で各地を回りたいと考えている。……またどこかで逢おうな!」


そうフルートさんは言ってくれた。



最後に残りのの三人にも別れを告げた。


数少ない知り合いの冒険者パーティーとの別れは、ラウールも悲しさが込み上げてきた。



「【放浪の羊】の皆さん……。また逢いましょう。それまでお元気で!!」



「おう!! 俺が代表して!!またな!ラウール!」


最後はリーダー…………ではない……デーブンさんからの言葉だった。



~~~~~



ラウールとサクラは、結局移動馬車へ護衛もかねて乗車した。乗車料金が少し安くなり、冒険者ギルドの依頼達成件数にも加算される。



そして、運が良い?悪い?事に盗賊に襲われた場合は、サクラのランクアップに役立つことになる。



「じゃ行こうかサクラ!」



「そうねラウール!」



~~~~~



小さな町や村を通り、移動馬車の護衛をしながら先に進んだ。


町では移動馬車を乗り換える事もあったが、順調に旅は続き目的地に近づいてくる。



今回の旅では、ゴブリンや、ホーンラビット、ボアなど、弱い魔物が出現した。


弱いとは言われるが、あくまでも魔物を倒すことの出来る冒険者だから言えること。ラウール達が護衛していなかった場合は、途中で全滅している可能性もあった。


魔物は一般人にとっては手ごわいのである。



そして馬車には色々な人達も乗車していて、ラウール達は警戒しながらも会話を楽しんでいた。



この世界に来てからの二人は、地球にいた時より人と会話をしていると思っていた。


ラウールは前世では人相手の仕事をしており、仕事での会話は多かった。だが、日常では人とあまり話す人ではなかった。


サクラも生い立ちで、親以外とはほとんど話すこともなく生活していた。


だから、今のこの状態は不思議でもあり、楽しくもあり……貴重な経験をしていると感じていた。



~~~~~



「馬車以外で、歩くより早く移動する方法ってありますか?」


そうサクラは隣に座ったベテランそうな冒険者に話しかけた。



「移動か……。移動時間の短縮を考えることは、冒険者にとっても大切な事だからな。依頼場所に早く着く、次の町への移動を早くする。できるだけ多くの依頼を受ける……まじめな冒険者にとっては知りたい情報だな。」



「そうなんです。移動が楽になれば、旅も楽に、楽しくなりますしね。今までどんな移動をしている冒険者を見ていますか?」



「ん~、まずは今乗っている馬車が一般的だな……。そして、一番出来そうにない……いや出来ないのが転移の魔法だな。……これは伝説だ。」



出来てしまう二人がここにいる……。



「あとは……馬……羊……牛に乗って移動しているやつは見かけたことがあるな。」



「それは確かに見たことがありますね。」



牛に乗って移動している人にはびっくりしたけど、人が歩くよりは早かった。



「他は…………速く走る!」



ま~人より早く、長く走れますけど…………。



「珍しいところでは、魔物に乗っているやつもいたかな?」



きた~~!!


とサクラは心の中で叫んだ



「魔物に乗れるんですか?私にも乗るチャンスが……。」



「そうなんだ。乗っているやつに聞いてみたら、魔物が生まれた時から一緒にいて、魔物が大きくなったら乗せてくれたそうだ。そして、なんとなく意思の疎通ができたらしい。」



「生まれたてでないと駄目ですか?僕も乗ってみたい……。」



「時々魔物になつかれる人もいるらしい。これは聞いた話だが、弱っている魔物を助けた時や、相性が凄く良い時は、相手から何かを訴えて来るそうだ。」



「相手から?(テイム?)……何かきっかけがあるんですかね。例えばどんな魔物に乗っている人がいるかわかりますか? 僕も真似をしてみたい……。」



「ドラゴン……は聞いたことがない。魔物は狼型、馬型あたりか。他の動物型の魔物は大きすぎるらしい。あとは……鳥型も聞いたことがあるな。ただ、乗り心地は悪いらしい。」



鳥……酔いそう。



「あ~、あとはどこかの魔術師の話だが、ゴーレムを移動手段にしたらしいぞ。ただ、ゴーレムを作成し、魔力も移動中は常に注ぐらしい。早いが、ほとんど先に進めなかったようだがな。」



ゴーレム!!


サクラは思った。ラウールだったら出来るようになるかも知れないと。



「ねえラウール?ゴーレムって良くない?」



いきなり話を振られた僕は声が出なかった。

そして、他に聞いている人がいるのに迂闊な! とサクラに言ってやりたい。



「サクラ?魔法がもっと出来るようになってから(あまり使えると言わないで)考えようね。いつかは出来ると良いね。」



それでも僕も良い情報をもらえたと思い、食事の時にアイテムボックスXから良い肉を取り出し、ごちそうした。



~~~~~



そこからも順調に先に進んだ。魔物は相変わらず弱いが、今までより数が多く出現する。


時々馬車の中のメンバーが変わりながらも、穏やかに過ごしていた。



「ねえサクラ?そういえば料理は得意なの?」



サクラは少し考えていた。


「そうね、前世で料理は毎日してたから得意だと思うよ。だけどこの世界ではあまりしてないかな……。テンプレで調味料にチャレンジしたり……いくらか素材の味見はしたわよ……。だけども……まだ積極的に作りたいとは思わないの……。」



僕は話題選びを失敗したと思ったが、話を変えるのも不自然なので、もう少しだけ続けた。


「いつか和食風の料理が食べたくてね。近い物はあるし、コメもあるんだけど……。だけど、何かが違う感じがしたから……サクラの料理なら満足するかと思ってね。」



「んん……ラウールのためならそのうち作ってみよっかな?ただ、あまり期待しないでね。」


そうサクラは言うが、先ほどの暗い表情とは違い、心なしか笑顔が見えた。



~~~~~



もう少しでロムビドの街に付く。ここまで来たら、夕方には宿屋で休めると期待していた。


そして少しだけ他の馬車が見え始めたとき、前方が騒がしくなってきた。



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