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第六十二話 ダンジョン攻略より魔法が大切

【初心者のダンジョン】のボス部屋に入った。


そこには四匹のスライムがいた。


これまでの道中は、スライムは一匹ずつより出現せず、集団で襲われることはなかった。だから初めての集団スライム。



「…………うん。スライム。」


「…………OK……スライム。」



サクラはOKの声を出しながら、火の魔法を四つ出現させ、火の玉でそれぞれのスライムに攻撃した。



魔法は全て命中し、スライムが消えて宝箱が現れた。



「感激もないよ……。」


ラウールの目は死んだ。


サクラも下を向いた。



・・・・・・


・・・・・



……気を取り戻したラウールとサクラは、宝箱に魔力を纏わせてみた。すると、魔力の通りが悪い部分があった。



「もしかして罠?サクラ……慎重に行く?」



「ん~、ここまでの事を考えると、少し大胆に行ってみる?」



そう話していた二人だが、盾を一つ取り出して豪快に開けてみることにした。


宝箱に手をかけて盾を構る。

そして…………一気に開けてる。



バスッ!!



ビックリ箱のような仕掛けだった……。



「……がっかりだよ……。」



呆気に取られる二人だったが、宝箱の中身を確かめた。



【普通のナイフ】


ラウールの解析ではそう見えた……。



「ナイフだね?」


「うん、ナイフだね…………? ラウールは欲しい?」


「いや…………サクラは?」


「ん…………。」



二人は死蔵することに決めた。

一応初めてのダンジョン攻略の記念品だから、捨てることはない……。



こうしてボスを倒した二人は奥に進んで行った。そして、入り口に転送されると説明された魔方陣はこれだろう。



「これだけは楽しみね。瞬間的に他の場所に移動できるなんて、どんな仕組みの魔法装置なんだろうね?」



「僕も転移について勉強したけど、イメージがつかなくてね。初めての体験だから、これだけは楽しみ!」



「じゃあ、二人で一緒に入ってみる?一人ずつって言われてないし。昔の映画のザ・フ〇イみたいにはならないでしょ?」



「…………なつかしい……。サクラもその世代で、それを知ってるんだね!」



二人は少しの間だが映画の話をした。



「じゃあに人で行ってみよう!」



そう僕が言って、サクラの手をとった。そう、特に手をつなぐ意味もないのだが、なんとなくだ。



魔法陣に載った瞬間、ほろ酔いの状態になったような浮遊感があった。

その後に景色がぶれ、ダンジョンの入り口に移動した。



「ん~何とも言えない感じだけど、何ともないね。サクラは?」



「うん……、特に変わりはないね。ふわっとした……感じが最初あったくらい?」



「じゃあ同じ感じだね。ほろ酔いみたいに思ったらここだったし。」



「ラウールも初めて転移したんだろうけど、転移について何かつかめそう?」



「ん~何かがつかめそうだけど……。ちょっとやってみようかな?」



そう僕が言いった後に、「ここでは他の人が見ているから」と、他の場所に移動することにした。


ダンジョンの中の体感時間と外の時間経過は同じくらいみたいだけど、明るさの変化が少なくて、時間の感覚は惑わされそうだ。


今はまだお昼。


昼食をとり、街の外に向かった。


人の気配を探り、周りに人がいないことを確認した。



「じゃあサクラ、ちょっとサクラが思う転移について聞いてみてもいい?」


・・・・

・・・・


「魔法陣から魔法陣に移るから、座標の指定があって、決まった座標の場所を意識してみる?それとも見えるところを意識して、そこに行くことを意識してみる?」



僕はハッとした。


「それか!! 座標!! 今までは意識してなかった。座標…………。解析さんで何とかならないか…………。」


僕は考え始めた。


それを見たサクラも邪魔をせずに居てくれた。サクラはサクラで、自分も転移できないか考えていた。


二人ともうなりながら、あーでもない、こーでもないと呟いている。


そんな時間が過ぎ、日が沈み始めるまで、2人は転移の練習に没頭していた。


そして、そろそろ周りが見えにくくなってきた時に閃く事があった。



「ちょっとこの石に転移の魔法をかけてみていいかな?サクラにはその時の魔力、魔素の動きを見てもらってもいいかな?」



「いいわよ。ラウールの考えた方法を見せて。」



短い会話の後、ラウールは魔力を練り始めた。そして、周囲の魔素に干渉し始めたあたりで、「転移」と声に出した。


ラウールの前には一つの石があった。それが「転移」の言葉の後……、無くなっていた。


そして、ラウールが他の方向を指さした。



「石が…………。成功?」



ラウールは声にならない声を出して興奮している。サクラから見たら、どこぞの変な人と……。


しかしそれは辺りが夜になるまで続き、サクラが頬を叩く(殴る?)まで続いていた。


こうして我に返ったラウールは、サクラに謝り宿に戻るのであった。




~~~~~



宿にもどったラウールは未だに興奮が冷めていなかった。



「練習します!」



サクラはあきらめ顔で見ていたが、アイテムボックスを自分が使えるようになったら便利だと閃いた。


今はマジックボックスを借りている?もらっている状態だけど、容量無制限にできた場合は、今よりも冒険が楽になると。



「「ふふふふふふh~。」」



二人は魔法の練習をすることにした。ラウールは転移。サクラはアイテムボックスの魔法。お互いこれから先に楽になると。



無我夢中で練習した。



「座標・座標・座標・座標・座標・座標・座標・座標・座標・座標・座標。」


「ほっ!はっ!入れ!出て!ほっ!はっ!入れ!出て!ほっ!はっ!入れ!出て!ほっ!はっ!入れ!出て!」



深夜の時間になっても練習していた。



「「無理!!」」



流石に疲れたラウールとサクラは練習を止め、それぞれの部屋で寝る事にした。


しかし二人とも最後最後と言いながら、練習を重ねていた。



「よし、寝る前にもう一度……。サクラと練習……、サクラの魔力……、サクラの部屋……。ここだ!転移!!」



次の瞬間ラウールは今までと違う部屋にいた。


目の前には…………何という事でしょう……、手を横に伸ばし……戻し……伸ばし……戻しと繰り返しているサクラの姿が……。そして、その姿はパンツ一丁……………………。



・・・・・・


・・・・・・



空気が凍った


世界が沸いた


隣の人が絶賛した


斜め前の人が軽蔑した


赤い人は3倍で動き出した



・・・・・


・・・・・



「きゃー!!」



とサクラが叫んだ瞬間……、サクラの手に持っていた服が消えた……。



・・・・・


・・・・・



「アイテムボックス? ね~これってアイテムボックスかなラウール?」



僕はは目を逸らした。


目の前にはパンイチのサクラの姿が…………。



「え~と…………ラウール君?ちょっと十分くらい外に出てもらってもいいかな?」



僕は縦に動く振り子のように何度も頭を振り、外に飛び出した。



~~~~十分後~~~~



「ごめんなさい!!」


僕は土下座した……。



「さすがにね……。魔法の練習での失敗なんだろうけど……。気を付けてね……。」


そう言ったサクラは、そんなに怒っていない感じがした。



「ごめん……。魔法は成功だけど、移動する場所は失敗だった……。座標を知ってる場所に設定。魔力も知ってる人が居るところ……。イメージしやすいところを選んでたら……。成功した……。」


言い訳だから、僕は頭を下げた。



「いいのよって言いにくいけど……。故意にこんなことをするラウールでないしね?」



「そこまで勇気があるなら、もっと違う生活をしてるよ。俺TUEEEEE…………とか……。ごめん。」



「怒ってててもしょうがないからいいよ。けど…………次からは失敗でも同じ事があったら……?!」



「はい! 今回のでイメージがつかめたから、次からは成功するから…………失敗はしない……んよくわからない……。サクラのところに飛ぶのは、危険な時だけにするよ。」



「そうして……。だけど私もアイテムボックスが使えるようになったわよ…………ほら。」


そう言ってサクラは自分の服を空間に出し入れする。



「やったじゃないか!」


そう僕ははサクラを褒めた。



「そうなのよ。あのショックでできるようになっちゃった……。容量はこれから確認だけど。よかったのよね……。これで……。」


そう言って服をまた空間にしまった。



・・・・・


・・・・・



お互いに今回の事は忘れようという事にした。新たな魔法が使えるようになった事だけを記憶に残すことにして、今回見た場面は見たことは忘れようと……。



その日は恥ずかしくてお互いに眠れなかった。



~~~~~~~~



次の日は寝不足で、ダンジョンどころではなかった。二人は昼まで休んでから、魔法の練習をすることにした。



練習を重ねて、サクラのアイテムボックスは容量は無限で、時間も停止する事が確認できた。これからも検証は必要だが、おそらく……だ。


そして僕の転移だが、転移を覚える前の座標は、解析さんでもイメージできず、転移の魔法を覚えてからの座標が記憶されるようだ。


ある程度の距離があっても自分を転移させることが出来る。そして、距離があっても魔素を伝っているのか、自分の消費魔力はほとんどない。しかし詳しい条件が不明だから、これからも検証は必要だ。



さらに……、ラウールが触れていると、他の人や物も一緒に転移が可能だった。とんでもない魔法を手に入れてしまった……。


これから先は、一度行った場所には転移できる。移動時間が前世より短縮された。だから旅を続て行ける場所を増やしていくと、面白い人生になると感じている。



~~~~~



サクラは思った。ラウールはとんだチート持ちだと。


そして、自分も一緒にいることで、チートが加速すると。


確かに見裸を見られた時は恥ずかしかったが、それ以上に自分が出来ることが増えるたのが嬉しい。


そして、自由に行動できる範囲が増えていくことがもっと嬉しい。


ラウールには、座標以外にも転移できる方法を発見してもらわなくては……。


私も考える!!



~~~~~



ラウールは思った。もっと便利に、座標なんて関係なくできる転移の魔法を使えるようになれば……。行きたい場所、自分で決めた地点、イメージ、それだけでできる転移魔法をと。



もうすぐ十五歳の誕生日。


十五歳までに、もう一つはダンジョンをクリアするなど、もう少し冒険者活動をしないといけないなと考えていた。



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