第六話 おちちうえさま?
あれから僕は殆どの時間はぼんやりとしてハッキリと覚醒している時間が無かったように感じた。
おそらく転生とはいえ赤子の状態。まだ体がしっかり出来ていなかったからだろう。
だんだんとハッキリとしている時間が増えてきたとき、始めてみるであろう男が家の中にいた。
「おいおいおいおい!だれだこいつは!?」
おいおい、こいつはだれだ急に。母上に言い寄る男は?
ってもしかして父親かこいつ。
母上への態度は他人ではないな。
勘だけど。
「だれってあなた!ラウールよ。私たちの子よ! 何度かラウールが産まれたから帰って来てって手紙や伝言を残したんだけど見てないの?」
露骨に顔をしかめた男は、舌打ちをしながら僕に近づいてきた。
「は~、これが俺の子だと! ほんとに俺の子か!? 誰かほかの男でもくわえ・・・」
「そんな! 私はあなた以外はしらないわよ! あなたとの子よ。あなたこそ1年近くも帰ってこないで・・・。どこで何をしていたの。・・・寂しかった・・・。どうにか生活していたけど・・・。そろそろお金も・・。」
男はまた舌打ちをしながら僕に近づいてきた。
そのまま僕のそばに来て冷たい目を向けると言い放った。
「ちょうど子供を欲しがってる知り合いがいるから、こいつをあいつにやることに決めたから。これは決定事項だ。俺が父親なんだったら自由にしても良いだろ?」
男は母に向かって、冷たい言葉をかけた。
「あなた! 私たちの子をどうして他の人にあげるの! 私はこの子とあなたと3人で幸せになりたいの!」
「は~! こんなガキと一緒に俺を暮らせる気か!! 冗談じゃない! こんなガキがいる所になんかもう俺はこないぞ! そんなこと言うお前など俺は知らない!!」
母親は目を見開いて男を見ている。
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
時間だけが過ぎていく
・・・
・・・
母親が長い時間考えていたようだが、口を開いた
「わかったわ、3人で暮らせないのであれば、この子はいらない!! あなたと一緒にいる!」
・・・・・!!
は~!!!僕はどうなる!!まだ生まれたばかりで、いらない子・・・・
は~・・・
男が口を開いて発した言葉がまた酷い。
「そうか! 俺がいいか! じゃあこいつを欲しいやつにくれてやるから、おまえはここにいるんだ!」
そういいながら男は俺の襟をつかんで引っ張った。
苦しそうにしている俺を見て舌打ちをした。
「死んだら金にならん。しかたない、こっちをもつか。』
ぐぇ!
服の腹の部分に持ち替えたが、そっちも苦しい・・・
どこもってんだよ! と怒鳴りたいが声がでない。
手も・・・とどかない・・・・
・・・・・・・・
僕は意識を手放した
・・・・
。。。。
・・・・・
どれくらいたったんだろう?
今までいたところでない。目の前には見たことのない男と女が僕を見下ろしていた。
その男女は目から涙が出ているようだ
「ミック・・・私が母親になれた・・・」
男に声をかける女、それに微笑みながら答えるイケメン
「そうだよ!俺たちの子だ!名前はラウール・・、俺たちの子だ」
複雑な気持ちを抱えながら男は答えた。
自分たち夫婦は子がもてない。
あるダンジョンで罠にかかり、呪いを受けたからだ。回避できない罠で、あの時のパーティーメンバー全てが呪われ、子を授からない状態になっていた。
その夫婦に子供はいらないか、取引を持ち掛けてきた男がいた。ミックはその男を好きでないが、ここで取引に応じないと、この子は奴隷に落とされるという話だった。この男は女と金以外は興味がなく、この子の行く先が心配になった。そこで妻であるララに相談した。この子を自分たちの子にしないかと・・・・
ララはしばらく考えていた。この子は私たちが受け入れないと奴隷になる。どんな相手に買われても不幸な人生を送る未来しか見えない。ララは考えた。
これからも呪いが解けない限りは自分の子は持てない。今でも呪いが解けてもぎりぎりでだ。だったらこの子が自分の子だと思って育てることで、私も夫も、そしてこの子も幸せになるのではないかと。
幸いCランクの冒険者として、この子を一人前に育てるお金は持っている。だったら、一緒に生活をして、この子も一人前の冒険者に育ててあげられるのではないかと・・・・
この世は貴族でなければ商人や鍛冶師、薬師の才能がなければ暮らしていくのは大変だ。冒険者は危険はあるが、ある程度の実力があれば、大人になっても困ることはない。だったら、家族で冒険者として暮らし、この子に残すものを作るのも良いのではないか?
「そうね、私たちの子ね。一緒に暮らしましょう!」