第五十九話 デーブンさんと再会
馬車で何事もなくクライスの街に到着した。
馬車から降り、街に入るために門の前で人の列に並ぶ。
門の列はスムーズに進み、ラウール達の順番が来た。
んんっ!!
ここの門番さんは某RPGで出てきた、回復するスライムを連れた戦士にそっくりだ……。
「身分を証明できるものを。」
「はい!」
そう言って冒険者プレートを見せた。
「ほう。ようこそクライスへ。」
「よろしくお願いします。しばらくはこの街のダンジョンに挑戦します。ちなみに門番さんのお名前は?」
門番は少し頬がぴくっとした。
「私は、ライロ。よろしく頼む。」
「僕はラウール。隣はサクラ。何か情報が欲しい時に、また話を聞きに来るかもしれないから、よろしくお願いします。そして、この街の冒険者ギルドの場所を教えてください!」
僕達は冒険者ギルドの場所を聞いた。
その後はライロに頭を下げて街に入った。
~~~~~
はじめは冒険者ギルドに行こうと思い、街の中を進んで行った。
この国でも相変わらず剣と盾の紋章が目印だ。
僕たち二人は冒険者ギルドの扉を開け、中に入った。
冒険者ギルドはやはり、どこも変わらなかった。
ここでもマッチョ……活気にあふれていた。
僕はBランク、ダンジョンに挑むことを考えて、きちんとこの街に移動してきた報告をしようと思っている。
受付の列に並び、ラウール達の順番が来た。
目の前には緑の髪のエルフがいた。
そのエルフはフクネと名乗り、僕たちに問いかけてきた。
「今回はどのようなご用件ですか?」
「しばらくはこの街を拠点として活動をしようと思っています。ラウールBランクです。隣のサクラはFランク。僕は緊急招集依頼の対象だから、一応報告をと思いまして……。」
僕は冒険者プレートを提示した。
・・・・・
「失礼しました。一瞬止まりました……。Bランクのラウール様、この街に留まる記録をしておきます。」
「うん、それじゃよろしく。」
そう言って受付を離れようとした時、僕に近づく気配を感じた。
「オイオイ~!こいつBランクなんて言ってるぜ!!」
しまった。油断していた……。
ここでも……。
僕は今までにないほど頭を回転させた。
どうにかここは穏便に済ませられないかと……。
「おい!隣の女を置いて行ったら、嘘をついたことを許してやる!俺は心が広いからな!はっは~!どうやって偽造したかわからないが、嘘つきは犯罪者だ~!!」
そう言いながら、サクラに手を伸ばそうとしている目の前の男。
僕はまたかと思いながら、その男をどうしようか刹那に考えて、動き出そうとしたその時……!
「やめておけ……。」
そう横から声をかけて来る人がいた。
「あ”~!!…………あっ、すいません!」
そこには……………………。
【放浪の羊】
……デーブンさんがいた。
「デーブンさん!すいません!!あなたの気に障ることをしてしまいましたか?」
目の前にいた動けそうなデブ…………否、デーブンさんは僕に絡んできた男に話続ける。
「お前は二つ名持ちに絡むのか?? 俺でさえ十歳のこいつには敵わないと思った。そしてこいつはそれから年月を経て成長している……。おそらくこいつは…………強い……。」
いやいや、最後はそのまま……、って言うか、この人はこんなキャラクターだっけ……?ってそこまでデーブンさんとは話してなかった……。
「お久しぶりです……。デーブンさん?」
「おうラウール!元気だったか!!」
何か印象が違う……。
「お前のことは時々ギルドのうわさで聞いている……しかし!! 俺たち【放浪の羊】は……、なんと……、俺は…………今はお前よりランクが高いAランクだ……。フェィ~~~!!!」
おっと……。
高いよ……テンションが高い……。
「しかし……お前は今も一人でも……、俺たちより強い……。」
何が何だか??
僕はどんな反応をしたらいいのだろう?
「ふぇ!!デーブンさん達より強い!!こんな子供がですが……??」
「子供子供言うな!! こいつはな……八歳で冒険者登録をして……、そしてGランクで二つ名が与えられた…………。その名も……『漆黒の翼ラウール』!!!」
「「「「「え~!!!!」」」」
「フルートさんたちがいつも言っていた冒険者」
「魔法が使えて、近接攻撃もできる!!」
「味方でも、自分に敵対する人物には容赦がない……」
「死ね!! と冷酷に告げる……」
「漆黒の死刑の宣告者……」
「そのものを侮辱するなと……」
「そのものの前では、視線を下に……、目を合わせるなと……」
「どんな先輩でも跪かせると言う……」
「わーわーわーわーわー」
「すてき(野太い声)!!」
「目を合わすな!」
「何の騒ぎです『放浪の羊が言っていたあの漆黒です!!』……穏やかな日ですね……。今日はいい魚が、かかりそうだ……。」
冒険者ギルド内は大騒ぎになっている。しかし隣にいるサクラが、何かをこらえている……。ごめん。怖かったか……?
「ぶふゅっ!!」
えっ!!
「漆黒の翼!! ぶぶぶぶぶううっtぅ~!!!」
サクラの笑い声なのか何なのか……。クライスの街の冒険者ギルドは今日もにぎやかだ……。
~~~~~
デーブンさんには、僕はサクラとパーティーを組むことを伝えた。
そして、受付を離れると見せかけて……。
絡まれたどさくさにまぎれ……。
もう一度受付のフクネさんに話しかけた。
「そういえば、僕とサクラのパーティー登録をお願いします。ちょうどよかった。デーブンさんが一人って言ってくれなかったら、登録も忘れてたよ。」
「そうだろ!おれは予想できる男だ。だからこのボディーだ!!」
・・・・・
だれだよこのテンションマックスな男は……。
こんなデーブンさんは知らない。
今まで会わないうちに何があったんだ……。
「承りました。それでは二人ともプレートをお貸しください。
そういってフクネさんは謎ボックスにプレートを差し込んだ。
ここに僕たちパーティーは正式に認められた。
「それでは、パーティー名はどうしますか?」
なに???
名前……?
そんなものが求められるのか。
名前??
サクラを見ると何か考えているのか下を向いている。
ぶふっ~!!
「漆黒の翼~~~!!」
は~~~!! ここで!!
「パーティー名は漆黒の翼!!…………ぶふっ~~!!」
なんと!! こいつは僕を馬鹿にしているのか~~~!!
「漆黒の翼は却下!! 僕の二つ名だから!!」
「ぶふゅ……! 僕の……! 二つ名!! ぶふふっ~~!!」
おい、今からこのパーティーを解散してもいいかな?
「さ・く・ら? ここでお別れだ。」
「えっ!!」
本気で焦っているサクラ。
・・・・
「ごめんなさい!! 漆黒の翼は聞いてなかったよね? 漆黒の翼って? どうして漆黒の翼になったの? 天使のような何とかのてーぜ? 漆黒? 翼? 天使? 悪魔? 使徒? ラウールは何? ぶふふぅっ!!」
「謝ってないよね!!」
「ほんと御免!! ちょっとツボ!!」
「ん~~。」
しばらくして落ち着いたサクラとは和解した。そしてデーブンさんと話をした。
デーブンさんはこの後【放浪の羊】が集まる場所へ一緒に行かないかと誘ってきた。
僕は久しぶりにみんなに会いたいと思い、デーブンさんの誘いを快諾した。
~~~~~
ある宿屋の酒場にラウールは行くことになった。
そこは、【宿屋 わかば クライス店】だった。僕たちの宿が決定した瞬間だった。
「やあ久しぶり?元気だった?呼び方はラウールでいいかな?」
「もちろんですよフルートさん。Aランク昇格おめでとうございます!!」
少し照れた様子の【放浪の羊】だったが、みんな誇らしい表情をしている。
特にデーブンはどや顔だ。
「ありがとうラウール。俺も護衛依頼をこなしながら各地をまわった。それで今度はダンジョンで依頼をこなし、強くなろうと頑張っていたんだ。そしたらいつの間にかって感じなんだけどね。それでも嬉しいよ。」
「すごいですよ!! 僕なんてBランクで足踏みしてますから。」
・・・・・
「嫌味かい?……なんて、君はもう少し積極的に動いたほうがいいと思うよ? 強さがランクに合っていない。強くて礼儀正しいのに、ランクアップで足踏みしてるなんてね。」
「すいません……。色々と事情があって。でもこれからはダンジョンに行って、積極的に依頼をこなそうと思っています!」
「ん~そうなんだね。いいと思うよ。君は品格はあるのだから、あとは討伐や依頼達成数だと思う……。だったら、ダンジョンは最適な環境だよ。」
「そうなんですか?僕とサクラが、二人ともランクが上がると嬉しいんですけど?」
「そこがダンジョンのいいところだ。僕たちは護衛依頼中心のパーティーだった。しかし君に会って、もっと戦闘能力を上げる必要性を感じていた。そこで、テザン皇国までの護衛依頼を引き受けた後、ここで訓練をしていた……。強さを求めて……。もともと僕たちは旅をすることが一番で、力はその途中でつけようと話していたパーティーだった。だけどね……、君に会って少し考え方が変わったんだ。力のないものが何を言うんだってね。護衛する人はただ守ってもらい、目的のところへ行くことが出来たらいい。目的のところに行くために、全員で到着するためには、みんなを守れる手段が必要だよね……。そして、その場を掌握できるほどの人物がいたほうが、生存率は高いよね……。そう考えたら、僕達はまだ自分の力が足りないと感じた……。だから、この街のダンジョンで今もまだ訓練しているんだよ。」
フルートさんは色々と考えていたんだ……。
そして、ダンジョンに行っているパーティーが目の前にいる。
これは情報を聞くしかないと考えた。




