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第五十六話 サクラの転生

サクラは話し出した。



サクラは地球と言う世界で、日本と言う国の広島と言う所に住んでいた。


小さなころから目立つこともなく、学歴も普通だったが、両親からは過剰な愛情を注がれて生きてきた。



サクラは高校を卒業した後、料理の専門家になるための学校に行ったと言う。そこで料理を学び、将来の夫になる人物のために学びなさいと両親に言われたようだ。



そして料理が得意な人になっていった。しかし両親は将来のためと言いながら、夜まで外出していることを良しとしなかった。


自分達の夕食を作る事が出来る時間には、帰ってくるように言い聞かせられた。


そんな状況が続くと、サクラは周りの人に取り残された。

気が付いた時には、親しい人が両親だけになっていた。



その後もサクラは皆の朝食を作り、昼に持っていく食べ物を作り持たせる。夕食の準備。一日に二回は台所に立っている。すると昼と夜に時間はあるが、まとまった時間がとれず、インターネット(はっきり言ったわけではないが)でいろんなことを調べる。本を読む。そして気になったことを調べる。それだけで一日が過ぎた。



過剰な愛情が仕事に出ることも許さず、そして交友関係をなくさせた。

サクラの一日は両親のためと、知識を得る事だけになっていた。


そこからは時間が過ぎるのも早く感じ、気づけば産まれてから三十年以上が過ぎていた。



そうなるとサクラの年では、近所の女の子は子を産み始めていた。


すると今度は両親が、孫が欲しいと言い出した。ここまで育ててやったのに、孫の顔も見せないのかと……。



ここまで来てとうとうサクラも爆発した。



私はこんなことがしたかったのではない。両親が言う事に逆らえない自分だったけど、もっといろんなことがしたかったんだと。



初めて両親を罵倒し、家を飛び出した。



行く当てもなく、お金もない。どうしようか考えているときに、道路に飛び出す子供がいた。



危ないな~と思った瞬間にトラックが交差点で曲がり、猛スピードで子供に向かっていた。



何も考えてないと思っていたけど、この子には未来がある。そう思って体が勝手に動いたようで、次に目を開けた時にはもう私の目の前にトラックがいた。





ブラックアウトした。





~~~~~



一息つきサクラがまた話し始めた。



ブラックアウトしたと思ったら、真っ白な部屋にいた。ここはどこかとキョロキョロしていると、目の前に光り輝く男の人が出現した。



その人は自分を創造神と名乗った。



創造神は、私が子供を救ったことを誉めてくれた。


そして、私の人生を不思議な力で見た後に、私を違う形で生き返らせてくれると言った。


私は初め断った。これ以上無為な生活は送りたくないと。



しかし創造神は、地球以外で生活してみることを勧めてくれた。あの部屋で見ていた物語のように。



私は興味が引かれ、話を聞いてみた。




創造神は今の気持ちを持ったまま、違う事をすることで何か見えて来るだろうと、記憶を持ったまま転移することを勧めてくれた。そして何か少しなら、人生を楽しむくらいの能力を与えてくれると言った。



私は思い描いてみた。異世界で生活している自分を。



そこで望んでみた。

あの幸せだった中学二年生の頃と同じような生活。

大人と子供の中間で、何事にも自由と責任の狭間で揺れ動き、動揺が多いが楽しい時代をもう一度。

十四歳からもう一度やり直したいと。

そして、一度は誰しも憧れる、魔法を使ってみたいと……。



創造神は叶えてくれた。


十四歳と言う肉体。

魔法の適性。

前世の知識や技術。



しかし、今世がすべて悪かった訳でもない。

だから望んだ、前世のままの姿を……。



最後に加護を頂いた。なんでも、全てにおいて器用になるそうだ。肉体もこの世界の人に比べて強くなる。


だが最大値を考えると、他の神の加護を持っている人のほうが大きくなる可能性が高いと言った。


創造神の加護は、何でもできるが器用貧乏だと自嘲していたことが、記憶に強く残っている。



シチランジンと言う名前が、次に生まれる世界。


創造神以外の神も、地球から人を転生させているがいるかもしれないと言った。


地球だけでも生き物の数は膨大だ。

地球だけに生命が集まるわけでもなく、色々な世界に飛ばされることもあるのだと教えてくれた。

記憶の引継ぎは普通はないけれど。



こんな感じでサクラは、この世界にやって来たと説明をしてくれた。



~~~~~



「これが私の人生……。これでも私と一緒に旅をしてくれる?気味が悪い?」



・・・・・


・・・・



「僕の決心が足りなかった……。気味が悪いわけがないよ……。僕はサクラと旅をしたい。僕以上にサクラと旅ができる人はいないと思うから……。」



僕も話を聞きながら考えていた。話が続くにつれて、ここまで話してくるとは思っていなかった。前世の記憶がある程度で、お茶を濁すと考えていた自分が恥ずかしい……。



僕もサクラの話の最後の方で、決心をしていた。両親にもまだ話していないことを言ってしまおうと……。



・・・・・


・・・



「これからも僕と一緒に旅をしてください。そして……僕も転生者だ……。」



・・・・・


・・・・・



その言葉を聞いたサクラは、今まで涙を浮かべていたが、泣き顔のまま動きが止まった。



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