第三十八話 買い戻し期間の終了
話の区切りのため、短くなりました。
買戻し期間が終了した。盗賊討伐後に手にいれたお宝とはいえ、大反響で喜んでいいのやら迷ったラウールだった。しかし、嬉しいことがあった。
冒険者ギルドで買戻し後の報酬をカシマスさんと分けていた時にギルマスが話し出した。
「ラウールとカシマス宛に言伝を紙に書き預かっているが聞くか?」
何のことかわからずにラウールは問い返した。
「手紙って誰からですか?」
「名前は言えないが、お礼を言いたいそうだが字が書けなくて、代筆した。名前は、買戻しの後のトラブルを防ぐため、商人ギルドとの取り決めで明かせない。」
「そうなんですね。僕は聞きたいですけど、カシマスさんはどうしますか?」
「私も聞きたいね。一緒に聞きましょうか。」
二人共聞きたいと言う返事をしたため、ギルマスはチルミさんを呼びに行った。男の俺がこの手紙を読み上げると不気味だからな・・。と言って。
ギルマスが呼んだチルミさんが到着し、すぐに手紙をチルミさんが読み始めた。
【指輪を取り返してくれた冒険者様へ。
この度は指輪を取り返してくださいましてありがとうございます。お名前を聞くことがかないませんので、直接お礼を言うことが出来ないのが残念です。今回買い戻させていただいた指輪は、亡き夫の形見です。私たちが結婚する前に、『僕が君を一生守るから。結婚してください。』そういって指にはめてくれたのが今回の取り戻していただいた指輪です。その大切な指輪は、私と夫がこの街に引っ越してくるときに盗賊に襲われてなくしていました。私が太ってきてしまって、指輪が小さくなってしまったとき『じゃあ次の街に行ったら直そうよ』といって、夫が預かってくれていました。しかしそんな旅路に盗賊に襲われ、私をかばった夫は、荷物を持ったまま置き去りになりました。私を最後まで守った夫。置いて行きたくなかった。それでも護衛の冒険者さんが一生懸命私たちを逃がしてくれました。どうにかこの街につき、私も夫の事を思いながら一生懸命暮らしてきました。それでも、心のどこかに引っかかりを感じていた時、買戻しのうわさを聞きました。期待しないで買戻しの場所に行ってみると、あの指輪があるじゃないですか。この指輪には私たち夫婦だけがわかる印が刻み込まれていて、私にはあの指輪だとすぐにわかりました。そして買戻しを希望し、事情を話しました。どれだけ高くても買い戻す、そう覚悟をしていました。そして、交渉の場で、『この指輪は○○万Gの値段がついています。しかし、〇○○Gで買いもすことが出来ます。』そう言われ、信じられない気持ちでした。そして理由を聞いたとき、私はあなたが神様に思えました。本当にありがとう。そして、冒険者の皆様はお体に気を付けて。】
手紙の内容を聞いて僕はうれしく思った。誰かの役に立った。それだけがお金には代えられない沸き立った気持ちだった。前世の時から誰かの為にと時間を、命を削って尽くしていた。
しかし、自分が思うように生きて、それが人の役に立っている。とても嬉しい。
自分を犠牲にせず、人の気持ちも助かる。最高ではないか。
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感傷に浸りながら、ギルマスやカシマスと報酬について話し合いを詰め決定した。報酬の額はものすごいことになっていた。
まずは、マジックボックスXの肥やしにしておこう。必要な時に出し惜しみしなくとも良いように。
報酬を受け取った後、ギルマスはおもむろに・・・
「ラウールとカシマス、隣の国までの護衛依頼を受けるつもりはないか?」
そう尋ねられた。




