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第三十五話 希望の家を訪ねる

僕はチルミさんに声をかけて冒険者ギルドを出た。

これから向かう所は一度行っているから道は覚えている。

もちろん行き先は【希望の家】だ。



~~~~~


ほとんど迷うことなく道を進み順調に目的地の近くまで来ることが出来た。


そして今、希望の家の前に来ている。僕は門の中にいる青年に声をかけた。


「すいませーん! 僕はラウールと言います。一緒に森に散歩に行ったラウールと言えばわかってくれると思うので、リーダーのカシマスさんに会えませんか?」



目の前の青年は僕を見ると、はっとした表情をして答えてくれた。


「ラウール君と言う名前は聞いていますよ。もし見かけたら助けてやってほしいと言われたラウール君かもしれないので、少し待ってもらえますか?一応カシマスさんに声をかけて、確認してきます。」



丁寧に答えてくれた青年は奥に走っていった。



・・・・



・・・・・・・



「確認がとれました。俺が言った容姿であればラウールさんで間違いないそうです。カシマスさんが今なら時間がとれるそうなので、こちらにどうぞ。」


この青年がどんな風に僕を言い表したか気になるが、先に進めるならこれでいいのかな。

だけどこれでいいのか?僕を直接見た人が確認しなくて。僕が不審者なら、このクランに害を与えるかもしれないのに。



「ここですよ。」


トントン 「失礼します」


そう言いながらドアを開けて部屋の中に案内される。そこには、大きな机に向かい、手には紙の束を持ったカシマスさんがいた。



「それでは俺は失礼しますね。漆黒の翼さん。僕もあそこにいたんですよ。」


と微笑みながら戻っていった。



あっ、実際に見たことがあったみたいだね。

それだと確かに厳重な確認はいらなかったね・・。



「こんにちはラウール君。私もこれからはラウールと君をつけないで呼んでもいいかな?」


そう笑顔で話しかけてきた。



「もちろんです! カシマスさんにはお世話になったことと、僕の気持ちを落ち着かせてくれた恩があります。もしあのまま僕が一人で散歩に行っていたら、今頃・・・。」


ちょっとあの時のことを思い出した。



「ラウールなら大丈夫だよ。私よりきっと戦いは強いし、心も強いよ! 」


そう笑顔を向けてくれた。



そこからは今回の盗賊討伐で得た盗賊の持ち物で特に領主関係の事を説明して、おそらく不利になることはないと話しておいた。


実はまだ決定的なものを出していないものもあるが、いざとなれば街に混乱がするほどの文章も出すつもりだ。

ただそれまで出してしまうと、街の混乱で僕が望んでいない場所まで被害が及びそうだから、出来たら出したくない。



そして、今回の盗賊の持っていた価値のある物をどう分配するか話し合った。


しかしそこまで時間をかけることもなく分配の方法が決まった。


金銭に変えた鑑定結果で半分に分けることで話がついた。


また、買戻しを希望する人がいるかもしれないので、僕とカシマスさんが苦労した分を少しだけ価格に上乗せして買い取ってもらう予定だ。


冒険者ギルドでも不要な物を全て出品者、買い戻しが優先だが売り出しても良いと言ってくれていた。幾らかは手数料として徴収すると笑っていたが。



その後は雑談をしてから僕は【希望の家】を出た。



~~~~~



冒険者ギルドに戻ると、ギルマスがおり、今回はギルマスの部屋で話をする事になった。


関係各部署で話し合った結果、僕達の盗賊討伐は依頼を達成したことになり、ギルドを通して報酬が支払われることになった。


今回ギルマスが話したところで、僕たちが不利になるものは目に見えるものでは何もないことを確認した。


あとは盗賊が持っていたものは僕たちの物になること。ただ、リストを作成し買戻しに協力してほしいと言われた。


最後に、目に見えない部分で、領主や貴族から不評をかってしまったことが悪い部分だ。表立って何もしてこないとは思うが、十分気を付けるように言われた。



貴族はいくら高ランク冒険者とはいえ、王国ではとてつもない権力を持っている。力で対抗していると、どこまでも権力で返される。対抗するにはとてつもない労力が必要で、どこかで引くことも大切だと、懇懇と説明してくれた。



~~~~~



少し早いが冒険者ギルドから戻り宿で休んだ。



夕食になり食事に行くと、エミリが声をかけてくれた。


「何か疲れているみたいですねー。肩をお揉み致しましょうかお客さん!!」


ふざけた口調で話しかけてきた。


少し世間話をして食事をする。

うん、今日もおいしい。


そんなやり取りや食事が気に入っていた宿だが、そろそろ旅立とうと考えていた。貴族も警戒しないといけない状態になったので、隣の共和国に行って、ほとぼりを冷ましたいと考えた。


僕の知っているような制度の共和国ならいいんだけど・・。



部屋に戻り、買戻しが終わったら旅立とうと計画を立てだした。



自分の過去に一区切りもついたから・・・・・。



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