第三十話 冒険者ギルドで依頼を受ける
神様と別れた後、ラウールは一度町の中まで戻り広場で休んでいた。
そこで、解析について解析してみた。
スキル:解析
物の名前や材料を見ることが出来る。
人の魂についたスキルを見ることが出来る。
人の名前と年齢を見ることが出来る。
名前の付いたスキルの説明を見ることが出来る。
他のスキルと合わせることで、色々な効果を発揮する。
今まで通り、数値で表されているものは知ることはできない。
ステータスは自分もののみ見ることが出来る。
【あとはな・い・しょ】
せっかくの良い雰囲気がだいなしだよ!!
なんだよ内緒って、解析で見て内緒って・・・。神様・・・。
(それでもありがとうございます。)
せっかくだから、何か解析が使える依頼でも受けようかな?それとも依頼を受けないで、街の外をうろうろしてみようかな?冒険者ギルドに今日は行く気分でないし・・・。
よし、街をぶらぶらしよう!
そう考えたラウールは、武器を買った場所へ歩き出した。
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やっぱりこの辺はお店がたくさんあるな~。
どこか適当に入ってみようかな~、あのポーズはなしで・・・。
色々と見るためには、大きな店で色々な物が売っているところがいいのかな?
そう考えてキョロキョロ辺りを見渡すとすると広場があり、その方向から賑やかな声が聞こえてくる。
(なんだろう?あっちに行ってみようかな~)
近くに行ってみると、フリーマーケット? 地面に商品を並べて売っている。「これは面白そうだな」とつぶやき、色々な店を回ってみた。解析も使い、掘り出し物がないか探してみると目に留まる物があった。
【転移の書】:転移魔法について書かれたもの。読んだからと言って転移が習得できるものではない。
そういった題名の本があった。格安で売っていたため売っているおじさんに聞いてみると、「紙は貴重だが、転移魔法は難しすぎて今の時代で使えるものがいない。だから、この本を買うやつがいないんだ。だったら、安くても売ってしまったほうがいんだ。本だっていずれボロボロになって価値がなくなるんだから。」と説明してくれた。
僕は気になったので購入した。馬車の中ででも読んでみようと。覚えられたら幸運だった程度に・・。
その後も商品を見て回ったが、それ以上に目ぼしいものが無かった。
ぐ~! とお腹が鳴ってしまった。
お腹が空いてきた。そういえばお昼になるけど何も食べていなかった。このあたりに屋台が見回すと・・・、いい匂いがしてきた。広場のはじに屋台があった。
近くに行くと、肉の串焼きが売っていた。ボリュームがあるので、1本買って食べてみた。
「うまーい!!」
何の肉だこれは!! 豚のようで牛のようで、今まで食べた中で一番のうまさでないか!?
つい好奇心で解析した。『フォレストホーンの肩肉』と出た。
僕の中で、フォレストフォーンは見かけたら狩ることが僕の中で決定された瞬間だった。
満足になってしまった僕は、宿に戻り、休むことに決めた。
今日はもう出歩かない・・・。
~~~~~
昨日一日は依頼も受けずにいたが流石にこれではだめだと思い、今日は冒険者ギルドに行こうと思った。
体もなまったし、この辺の事情を知るのも旅の一つと割り切り、隣の冒険者ギルドを訪ねた。
ガチャ!
「「「・・・・・!」」」
周りから音が消えた・・・って、そこで黙らなくても・・・。自然にしてくれていいですよ~。
仕方がないのでみんなに聞こえる声で話す。
「静かにされたら傷つきますよ~。僕はそんなに怖い人でないですよ・・。泣きますよ!」
周りの冒険者はそれでも声が出ないので、無視して依頼票を確認に向かった。依頼票の前は人がたくさんいたが、僕が近づくと一斉に道を開けてくれたのだった。
「何か受けたことない依頼とか、面白そうな依頼が無いかな~。」
そう探していると、後ろから声をかけて来る人がいた。
「おい! お前は強かったんだな~。あの日は悪かったよ。ごめん。」
そういうと、声をかけてきた人は頭を下げた。
「まぶしい!!」
「おい! さすがに髪はないが光らないだろ~。」
そう声をかけてきた人は、冒険者ギルドに来た時に絡んできた、ずんぐりむっくりしたスキンヘットが目の前で笑った。
「ほんと悪かったな。俺はナダル。まだEランクの冒険者だ。ちょっと子供だと思って舐めてたよ。」
と豪快に目の前で笑い出した。
「そのせいで僕は怖がられてるんですけどね~。」
「ほんっと悪かったって~、だから俺が話しかけたんだよ。悪いと思ったし、みんなが怖がるとお前もさみしいだろ! ちょっとした罪滅ぼしだ。」
なんとなく憎めない男だったのでラウールも少し気が楽になった。
「ね~じゃあ、お詫びに何か面白いことして・・・でなくて、面白い依頼はない?僕、スタスデで依頼を受けるの初めてなんだ~。今までは王都サーシンで活動してたから、この辺の事はわからないんだ~。」
そういうと目の前のナダルは手を組み考え出した。
「Bランクだから強いのはわかるが、どれくらい強い? 王都サーシンよりもこの辺は盗賊が多いんだ。隣の国からも荷馬車が来るから、よく狙われてるんだ。だから今回、騎士と冒険者合同で盗賊討伐をする予定なんだ。俺は参加できないが、お前くらいの強さなら参加できるぞきっと。」
「盗賊退治?護衛とかでなく、拠点を叩くの?だったらそんなおおっぴらにしないで、内緒で物事を進めたほうがよかったんじゃない?」
「通常ならそうなんだろうけど、盗賊の人数が多いみたいだ。そうすると、討伐する人数を多く集めないといけないだろ。大人数を集めるとどっちみちバレルだろ。だったらはじめっから表立って動いたほうがいいだろうって考えみたいだ。」
意外に考えられているな、ちょっと受付さんに聞いてみるか?
「ありがとう、護衛はしたことはあるけど、人の討伐はなかったな。けど、人を討伐するのを面白そうなって、君もどうなの~。」
「面白いでなく、あまりない依頼だ! さすがに人を殺す依頼を面白いっていうほど腐っちゃいないぜ!」
顔を真っ赤にして答えてくれた。
「ふふ、そうだね。じゃあちょっと受付さんに聞いてみる。また会ったら気楽に声をかけてね。今回はうれしかったよ。」
「おうよ!がんばれよ! 上のランクの奴に言う言葉でないがな。」
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ラウールは懲りずにチルミの列に並んだ。チルミはラウールを見て驚きながらも会話しているようだ。
「先日は本当に申し訳ありませんでした。先ほど先日絡んだ冒険者とも笑顔で話をしていたので、少し肩の荷が下りました。私が原因で孤立してしまうのは申し訳ないので・・。」
そう話した後、盗賊討伐の話になった。
盗賊討伐の主力は騎士で、騎士と冒険者では役割りが違うという事だ。騎士は集団で拠点を攻め、冒険者はそこから逃げ出した盗賊を討つ。
弱い敵を狩るように思われがちだが、形勢が不利なほど、強い盗賊が逃げ出す可能性が高い。だからこそ、実力のある冒険者だけに依頼をしているそうだ。
実力があれば、パーティーでもソロでも問わない。また、ソロは横を抜けられやすいので、騎士の後ろ、パーティーの前に陣取るという事だ。
「じゃあ僕は受けることが出来ますか?」
「ラウールさんでしたら大丈夫です。ギルドマスターに話しておきますね。だいぶ人数が集まっていたので、そろそろ討伐に向かうと騎士から連絡が来ていたそうですから。」
「では依頼を受けます。よろしくお願いします。」
「わかりました、もう少し冒険者ギルドにいてください。マスターに日程が決まっていないか確認してきます。」
チルミさんはそう言うと、他の受付と代わり上の階に歩いて行った。
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少しするとチルミさんから声がかかった。
チルミさんからの説明だと、討伐はあさって行われるそうで、冒険者と騎士の打ち合わせが明日になっている事。ラウールの参加は許可されたこと。
明日の話し合いに参加してほしいと言われた。他にも冒険者クランのリーダーが来るみたいだが、打ち合わせに来る人数は多くないそうだ。
その話を聞き、僕は冒険者ギルドを出た。
今日と明日の残り時間は、必要なものを買いに回らないといけないと考えながら。




