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第二十九話 僕は今日教会に行く

さんざんな目にあった冒険者ギルドに今日は行きたくない。


ここに来てなんでこんな目に・・・。



よし決めた!今日は冒険者に近寄らない。そして少しでも運が良くなるように、教会に行って祈ってみよう。もしかしたら神様に会えるかもしれないし・・・。会えるかな?


もし会えたら、お礼と、これまでの不幸も話してみよう!!



そうと決まれば、おかみさんかエミリに教会の場所を聞いてみよう。



・・・・・・・



一階に降り、朝食を摂る。そこに、エミリが来たので、教会の場所を聞いた。



「教会だったら、街のはずれにありますよ。この街にはあまり熱心な信者がいないから、街の外れに教会を建てるしかなかったみたい。馬車も走っていないから、歩いていくことになるね」



ん~意外に遠いのか??あまり街を歩きたくなかったんだけど・・・。仕方ない、なるべく目立たないように行くか。


そう思いながらラウールは一度部屋に戻り、帽子をかぶり髪の毛を隠した。服も、この街ではまだ来たことがない、黒を連想させない物を選んだ。



・・・・・・・



「じゃ~行ってきます。鍵を置いていきますね。」



「行ってらっしゃい。教会まで遠いけど、気を付けてね。」


とエミリが手を振り送り出してくれた。



ラウールはドアを開け、気配を殺し歩き出した。宿からは三十分早歩きすればつけると思う。できるだけ目立たず、早く進もう。



・・・・・・・


うん、思ったより何もなかった。さすが、気配を消すこともチート。誰も振り向かなかったよ。



目の前にあるドアを開け、中に入っていった。


「こんにちは~、祈りをささげて行ってもいいですか~?」


そう声をかけると、現世の教会のようなフード付きローブを身に着けた女の人が答えてくれた。



「ようこそおいでくださいました。この教会は世界の神々を祀っています。神は平等と言う教えの元、誰でも祈りをささげる事が出来ます。この街はお金の事ばかり考えている人が多くて、あまり祈りを捧げに来る者は少ないですが。ご自分の祈りたいように自由にしてください。」


そういうと、女の人は隣の部屋に戻っていった。



「ご自由にって、あの神様が考えそう。祈り方なんてわからないから、手を合わせてお願いするだけでいいかな?」


そういいながら、目の前にある人型の像へと進んだ。


顔もなく、形も人型?っていうくらいの像で、特定の人の形をとっていない。これなら前世では正月はお参りに行き、葬式は仏、クリスマスは外国のものといった自分でもお祈りできそうと考えた。



像の前で片膝をつき、手を合わせる。



(神様転生させていただいてありがとうございます。前世ではできなかったことを、今回の人生で出来るように頑張ります・・・・。けど、赤子で売られる人生とはどういうことですか・・?良い人もいるけど、冒険者ギルドでは恐れられるし・・。運の数値がいいはずなのに、時々のハードモード。ちょっと辛いです・・。)



そう祈りをささげると、いつの間にか周りに何もなくなっていた。そして目の前には転生する時のあの神様が立っていた。



「来てくれたんですね。お久しぶりです。僕はすくすくと成長しています。色々と生きやすい能力をありがとうございました。」



そう僕が言うと目の前にイスとテーブルが現れた。



『まー座ってよ。この空間は外と時間の流れが違うから。ちょっとくらい長話をしても大丈夫だよ。』


そう言って、神様が先に椅子に座った。


僕も神様に続いて椅子に座ると、神様はまた話し出した。



『いつ以来かわからないけど、久しぶり。僕にとっての時間は一瞬でもあり、永遠でもあるから。そんなに時間も気にしたことがないからね。どうだった今まで。』



「生まれて神様にあった後にすぐ売られました。運よく父様と母様と言う大切な人に出会えましたけど、ちょっと間違ったらハードモードだったと思います。そのあとも色々とありましたが、十二歳まで無事に育ちました。」



神様は少し笑った。


『捨てられたって、産む人までは僕も決めることが出来なかったから悪かったね。あれから君を見ることが無かったからわからなかったよ。』



「そうですよ、まーすぐに死ぬことにならなくてよかったです。いくらチートをもらっても、産まれたばかりだと、抵抗できませんから・・。」



『そうだね、いくら加護があっても防げなかったね。それでも今回祈りをささげてくれて嬉しいよ。こうやって人の前に出てくることはないんだけどね』



「そうなんですね、神様ってこっちの世界でも人の前に出るものでないんですね。なんとなく気楽に神様が出て来る世界だと思っていましたよ。」



神様は横に手を振った。


『ないよ。他の神はどうだか知らないけど、僕はこうやって自分が転生させた人の前にしか来ないよ。』


何気に他にも転生者がいることをほのめかしているのか?



「へ~他にも転生した人がいるんですか?他の神がいるって、あなたは何の神様なのですか?」



顎に手を当てながら神が口を開いた。


『僕は才能の神だよ。だから、この世界でいうスキルを与えることもできる。神様だから、魂の器も強くできるし、肉体も強く成長できるように調整できる。普段は何かを練習することでスキルとして魂にくっつくけど、まれに産まれながらの才能を持つ者もいる。だから、産まれながらに平等っていうのはないんだよ。それでも努力しただけスキルが付きやすいから、平等はないけど、同じ能力になることはできるんだよ。』



ひと息ついて再度神が話し出した。



『最近僕が転生させた人はいないよ。けど、他の神が転生させた人はいるし、君が転生するときに言った勇者召喚っていうものもあるよ。いつかはわからないけど、きっと君が生きている間に一度はあると思うよ』



勇者召喚まであるのか。

僕の他にも転生や転移者がいるのなら、知識無双は無理だな。



『ちょっと話過ぎたね・・。そろそろ戻るよ・・・。ただ、産まれてすぐに不幸が訪れてしまったお詫びに、【解析】をすこし便利にしてあげよう。数字はすぐに解析できるものでないから、数字は見られないけど他のものを見られるようにいじっておくよ。じゃあまた機会があったらね~。』



そういうと、元の景色に戻っていた。



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