第二十六話 スタスデの街に到着
スタスデの街に入り、話しかけやすそうな人に冒険者ギルドの場所を聞いて向かっている。
少し歩くと、剣と盾の紋章がが描かれた建物が見えてきた。この町の冒険者ギルドは、門に近いところにあるようだ。
ガチャッ!!
ドアを開き、中に入っていく。
この街の冒険者ギルドは王都サーシンと同じくらいの大きさだが、人が多い。
王都にもいたが、ここは獣人の人も多いみたいで、頭の上に色々な形の耳が見える。
(獣人キター!!)とは既に始めてみたときに心の中で叫んで済ませてある。
だけども獣人の数が多いので、僕は感動している。特に元々、無類の猫好きだった前世もあり、猫の獣人はかわいくてつい手を伸ばしたくなる。
ん~我慢我慢・・・。
多くの冒険者が受付に並び、依頼を受けようとしている。
しかし僕はその横の、何でも相談の列に並んだ。ここは、依頼を受けないけど、僕のように宿の情報を聞いたり、短い時間ですむ相談事がある人が並ぶところだ。
・・・・・・
・・・・・・・
『次の人~』
と、僕の順番が来た。
「すいません、この街についたばかりで、いい宿を知りたいのと、しばらくこの街にいるので、何か手続きは必要ですか?」
僕は王都サーシンの冒険者ギルド以外は利用したことが無かったので、聞いてみた。
この街に来るまでの間も、町には冒険者ギルドもあったが、依頼を受けていない。だから拠点から移動していたが手続きもしていない。
「手続きは特に何もありませんよ~。宿は、少し騒がしいけどこの隣が宿になっていて、冒険者が集まるので便利ですよ。」
目の前の老齢の男性職員が答えてくれた。
「ありがとう。早速行ってみます」
ギルドが教えてくれるからはずれはないだろうと、僕は冒険者ギルドを出て、隣の建物に向かった。
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【宿屋 わかば スタスデ店】
看板を見て、宿屋と確認しドアを開ける。
「いらっしゃいませ! お泊りですか?」
元気な女の子が声をかけて来た。
「しばらく泊まりたいのですが、空いていますか?」
「しばらくって、どれくらいですか?」
明確に日数も決めていなかったしな。必要なら延期しながら利用しようかな。
「まずは七日間。そのあとも延長するかもしれないけど大丈夫?」
目の前の女の子はちょっと考えているようだった。
「はーい、じゃあおかみさんに聞いてくるので、少し待っててくださいね~。」
女の子は側にあるカウンターの後ろへ行き、おかみさんと思われる人に声をかけているようだ。
少しして、母様と同じくらいの見た目の女の人と一緒に女の子が出てきた。
「お客さんですね。よくいらっしゃいました。今は空室がありますので、七日間の宿泊でよろしいですか?」
「はい、七日間でお願いします。」
「ではお手続きを致します。」
そう言いながら僕に質問をして、手元にある紙に色々と書いていった。
食事の提供を受けたり、入浴設備も借りることができるようなので宿泊七日間。朝・夕食が必要。共同風呂必要と答えた。
「では、食事はそこにある部屋に来て、係の者に声をかけてください。申し訳ありませんが献立は決まっており、日替わりです。共同風呂の利用はこの明かりがついている時間にお願いします。特に湯船に入る前には、体の汚れを落としてからお入りください。風呂の使い方の説明は必要ですか?」
「お風呂の説明はいりませんけど、体を洗う薬品や、布はどうなりますか?」
「石鹸や布はご自分でご用意ください。お湯と場所だけを準備しています」
「わかりました。それでお願いします。」
僕が了承すると最後の質問だったのか、おかみさんは紙に何かを書くと鍵を渡してくれた。
「それでは二階の二〇二になります。一番奥の部屋です。私はこの宿のおかみのオシルです。料理人が主人のダン、この子が修行中のエミリです。何かありましたらエミリに声をかけてください。」
「ありがとうございます。」
後は特に質問もなかったので教えられた部屋に向かった。
部屋について室内を見渡すと、前世のビジネスホテルみたいな作りで、テレビやユニットバスが無いような感じだ。清潔な印象も受けた。荷物は見せかけのバックだけなので、特に整理するものもない。
ここに来るまでゆっくり休めてなかったから、今日は休もう。
この宿屋は当たりかな。長く利用するので眠りにつくまでにこの宿屋の人を覚えておこう。
【宿屋 わかば スタスデ店】
おかみ:オシル:四十歳くらい:女:人族:百六十センチ程度:恰幅がいい:ショートカットの茶髪
受付の女の子:エミリ:十五歳かな:人族:オシルより少し小さい身長:華奢:肩までのポニーテール:宿屋修行中:金髪
料理人:ダン:四十五歳かな:男:人族:百七十センチ:がっちり:短髪:茶髪:オシルと夫婦
この人物を頭に思い浮かべていると、いつの間にか眠っていた。




