第二十四話 僕の帰る場所
あれから年月が流れ、十二歳になりました!
心のもやもやは両親から癒してもらい、今では盗賊が出ても、即断だ。
ちょっと極端な変化だけど、僕はこの世界で生きていく。
ただ、僕の回りで変化があった。
両親はあっさりと冒険者を辞め、それぞれ定職?についたのだ。結局は母様は治療院。父様はなんと、孤児院で働いている。
父様はなかなか働くところが決まらず、治療院→教会→孤児院と伝聞で就職した感じだ。いわゆる縁故? で定職に就いた。
流石に僕の両親は二人ともそれなりに働けており、日々生活するには全く困っていない様子だ。特に二人とも貯蓄が多く、下手すると、働らなくてもいいくらいお金はあった。
そして僕も、魔法やなんだかんだ、ほとんどお金を使ってないから、意外に持っている。
今の僕はこんな感じだ
名前:ラウール
職業:冒険者
LV:49
HP:250
MP:720
体:168
心:846
運:90
ユニークスキル:すくすく育つ・看る
スキル:解析・学習・忍びの技・アイテムボックスX・魔法(全)・鈍器適正・剣類適正・解体・自然回復(全)・状態回復(全)
加護:???神の加護
称号:地球人・心は中年・???神が見てる人・両親への信頼・両親からの親愛
*運以外は100が25歳の平均値
滅多に見ないステータスだけど、達人や人外、高ランクの魔物以外は無双できそうだよ。
そして、教会に行くのを忘れていた・・・。
十二歳。・・・あれから十二年。
神様は心が広いと信じたい。
色々数字だけでは、通常の才能の人の四倍くらい?
まだ体力がそこまで伸びていないからそこまで凄いと想えないかもしれないけど、魔力補正は凄まじいよ。
スキルは色々整理されている印象がある。
この世界で、人の強さは数字で表せない。自分を分析するのはできても、一瞬で人を数字で判断できない。解析さんはなんとなく自分の数字より強いか弱いかは判断してけれているみたいだけど、強さの判定ではそこまで恩恵がないと感じている。
ここまで、一緒に冒険する仲間はいない。
結局1人で旅立つことになりそうだ。
現在Bランク。例外を除いて、早いみたいだ。
緊急招集依頼で強制的に依頼を受けなきゃいけないみたいだけど、ランクを上げていきたいと思う。両親の育て方が間違っていないと思われるように。
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「じゃあ行ってきます!!」
ここまで来たらあっさりな印象を受けるかもしれないが、複雑な想いを込めた挨拶だ。
僕は両親に別れを告げ、これから旅立つ。
昨日までにこの町で知り合った人たちには別れは告げた。アリサさんなんかは、涙を流してくれた。この世界を旅することになると、年単位で再会できない。前世で有れば、距離はあってないようなもので、移動は早い。
声を聞きたくなれば一瞬で連絡がつく。僕もここまで育ててくれた両親と離れるのは辛いんだよ。
次に会うときには、どんな様子で迎えてくれるのか? 心配が多すぎて、旅を止めようかとも考えてしまった。
けれど、両親が背中を押してくれた。まだ見ぬ世界、この広い世界で、この街しか知らないのは不幸だと・・・。
十二歳というまだ子供の年齢だが、旅をしている子供がいないわけではないようだ。
この世界では、仕事につく年齢と言うのもはっきりしていない。学校もこの街にはあるが、ほとんどは貴族の子供が通っていて、我々庶民は小さなころから家の手伝いや、どこかの職人、商人などに弟子入りして生計を立てていくそうだ。
僕は冒険者となり、自由職として飛び回ることが出来る。その立場を両親が認めてくれ、旅をさせてくれる。
Bランクの冒険者は危険もあるが、その分収入も良い。僕はチートもあり、強さも申し分ないのだから、前世では自由にならなかった時間を今回の人生では有意義に使いたいと考えている。
~~~~~
母様であるララは話しにくそうにしていたが、僕の出生についての事情を旅に出る前に知っていてほしいと話してくれた。ある程度は知っているけど、静かに話しを聞いていた。
産みの親を悪く言わないように気を付けていたようだが、父はロドリゲスというようだ。冒険者登録をしていたため、父様とは知り合いになったみたいだ。
ロドリゲスはどんな仕事も続かないようで、色んな仕事をして何日も家に帰らず、酒浸りの毎日を送っていたようだ。
産みの母はローリーと言うようだ。良くも悪くも自分と言うものが無く、ロドリゲスに依存していて、毎日家で依存主の帰りを待っているような女だった。
僕が産まれたことは喜んでいたようだけど、それよりもロドリゲスの子供という事が重要で、ロドリゲスがいらないと言った僕は、もう興味がなくいらない存在になったようだ。
はっきりと話してくれたわけではないけど、そういう事らしい。
最後に母様は産みの親を選ぶのであれば、私たちの事を忘れて、幸せに暮らしてほしいと言った。
無理だよ母様・・・。
記憶もあるし、詳しい事情を聞けば聞くほど・・・、無理だ。
僕はすぐ「それはないよ!」と言ってしまった。僕の両親はララ、ミックと言う。他に親はいないと言ったら、二人とも泣いていた。
そもそも僕が四歳のころ、高熱が続いたことがあった。現代でいう風邪だと思うけど、二人は寝ずに僕を看病してくれた。
二人とも僕が少しでも苦しそうにすると心配し、少しでも楽になるように頭をなでてくれた。そして元気になった時には二人とも気が抜けて寝込んでしまった。そんな二人を見て、「あ~この二人が親でよかった・・」と思い、それまで照れ臭かったからあまり呼んだことが無かったけど、父様母様と呼ぶようになった。
心から思う。
(長生きしてね・・・)
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それでも時間は過ぎていく。僕が旅に出ると言った予定の時間が近づいてくる。
僕は別れの挨拶を済ませ一人で街の外に立っている。
今日も門番はスコットさんだ。スコットさんは僕が門を出て街へ振り返ると
「頑張ってきなラウール!! 俺もだが、お前の知り合いはミックとララが困っていたら手を差し伸べる。お前はお前の人生を行け!!」
と胸に手を当て、見送ってくれた。
「ありがとうスコットさん! スコットさんが死ぬ前には帰ってきます!!」
と両親と同じ年くらいのスコットさんに叫び、僕は出発した。




