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第二十三話 護衛依頼達成そして

いつの間にかサーシンの冒険者ギルドにいた。


僕は今、盗賊と・・・・。


混乱して何が何だか、状況もわからない・・・。




ん? 何処からかいつもの聞きなれた声が聞こえた気がする。


『依頼達成です。盗賊の討伐を確認しました。現在までの冒険者ギルドへの貢献ポイントを合わせて、ラウール君はCランクへ昇進します。おめでとうございます!』


あ・・・、いつものアリサさんの声・・・。遠く聞こえる・・。



『よー坊主、10歳でCランクはおそらく最速レベルだぞ!』



ギルマスのギルバートの声も聞こえている気がする・・・。



「ありがとうございます・・・。うれしいです・・・。」

相手は冒険者ギルドの人間。話しかけられたら答えなくてはいけない・・・。

なんとか声を振り絞り答えた・・・、と思う。



『おい坊主、ちょっとランクアップの手続きをしに、こっちにこい。』




そう聞こえたと思うと僕は力強い何かに連れられて移動した感じがする。



~~~~~



『まずはラウール、Cランクへランクアップおめでとう。これで親のミック、ララとランクは並んだな。魔物が大量発生していない状況で、ここまで早いランクアップはおそらく他の国でもそうはないぞ。』




誉められているんだな。お礼を言わないと・・・。


「ありがとうございます・・・・。」


聞こえたよね・・・。



『もっと喜んだらどうだ。Cランクと言えば、Aから数えて、上位三番目のランクだぞ。それこそ、ほどほどに働いても、食うのに困らねーぞ。』


僕に言ってる?

「ありがとうございます・・・。」



『ん~反応が薄いな。何か不満でもあるのか?』



今の僕の不満?何だろう?


「いえ、不満なんてありません・・・。人を殺して、お金を稼げるのですから・・・。」



ふむっ、こいつも人の子だったんだな・・・。これはCランク病か?人を殺したことが無いやつが悩む・・・。

俺はなかったがな、良いことでもないから威張れないがな!



「おい! 人を殺すのは何がいけない?」



急に死について聞かれた僕は直ぐに答えることが出来なかった。




人の死についてか・・・。


前世では人の死は穏やかなものであった。不意に奪われる命ことはまれであり、それもほとんどが老化や病気が原因であった。


事故もありえたが、人が人を殺すことなど前世で四十二年は生きていても見たこともなかった。


僕がそんな事を考えているとギルマスが話し始めた。

「聞き方を変える!悪いことをしている人はそのままにしてもいいのか?」



考え事を僕の頭が少しハッキリし始めた。


だからギルマスの質問について考えた。


悪いことをしていても、人は生きている。生きている人は殺してはいけない。



「人が人を殺すのはいけないと思います。」



「そいつを殺さないと、そいつ一人以上に二人三人四人、十人二十人と増えて行ってもか?」



・・・・・



一人を殺すことで、二十人が助かる・・・。数字でいえば一人を殺したほうが生きている人は増える・・・。


しかし、数字ではない何かが心に引っかかる。命を長くする世界と、命が安い世界・・・。



僕にはまだ考えられない・・・。


ギルマスは続ける。

「親が殺されても、そいつを放っておくのか? 親でなくても大切な人でもいい。大切な人と、その人を害する人・・・。どっちを選ぶ?」



「・・・それは考える事もなく大切な人です。」



「だったらそれでいいじゃないか。命という事を考えすぎても答えが出ることはない。俺も一度は考えたしかし、命ではなく、大切な人と害する人。どっちをとるか? それだけでもいいじゃないか。」



・・・・・・・



「人は単純ではない。価値はそれぞれだ。自分の痛みを我慢して産んでも、子を殺す、売る親もいる。自分から生まれた子、血のつながっていない子でも、真剣に叱ってくれる親・・。自分の大切なものを守ることだけ考えてもいいじゃないか。難しく考えるな坊主。まだまだ若いんだから、突っ走れ!!」



僕はその言葉に目が覚めた感じがする。事情は分からないであろうギルマス。


しかし、その言葉には、重みを感じる、


今まで幾人もの人生を見てきた大人だからこそ言える事なのか?



でも少しすっきりした



「ギルマス! ありがとう! 悪いけど家に帰っていいかな? 両親にCランクに上がった報告をしたいから!!」



ふっ!



ニヒルな顔をしてるつもりだろうがどや顔になっているぞギルマス!



「行ってこい! ランクアップもそうだが、男も上がっているぜ! ミックもララも喜ぶだろう! 俺もうれしいぜ 『漆黒の翼 ラウール』!」



僕は自分の帰る家に向かい走り出した・・・。そう、大切な人のところへ。



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