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第二十一話 反省と貝殻採取

僕は朝まで眠れなかった。いくら両親を悪く言われてもやりすぎた・・・・。



ビルンは朝まで眠れなかった。テントでようやく意識がはっきりしてきて、あんな子供になんてことを言ってしまったのか反省していた・・・。



フルートは朝まで眠っていた。起きた後は・・・『僕が口を挟むタイミングがなかった・・・。』



ロドリコは朝起きて思った・・・。この依頼は失敗したか・・・。



『『「『は~~・・』」』』



それぞれのテントからため息が漏れていた。



~~~~~



朝食の時間になり、みんながテントから出てきた・・・。





「ラウール!悪かった! この通り許してくれ!!」


いきなりビルンさんが僕に頭を下げてきた・・・・。僕が先に謝ろうと思ったのに・・・。



「悪かった、本当に悪かった。さすがに殺されるのは勘弁だが、俺の口が悪かった・・・。親の為に怒れるなんて・・お前の親はいい親なんだな・・・。」



急にそんなことを言われると、中々反応できなかった。


そこへラエラさんが来て、謝り始めた。



「ラウール君、昨日は本当にごめんなさい!! ビルンも反省してるから許してください。もともとビルンは口は悪いけど、人は悪い奴じゃないの・・・。ビルンはちょっと親と言う存在について色々あったの。」



そこからラエラさんはビルンの事、パーティーメンバーの事を説明してくれた。


【破壊の斧】のパーティーはみんな孤児院出身だった。四人全員が親を知っている。けれどもひどい虐待にあって、最後は売られそうになっているところを憲兵さんが親を捕まえ、そのまま孤児院に預けられたという。

偶然にも四人とも同じ状況で、孤児院の中でもよく一緒に過ごすようになったそうだ。四人のいた孤児院は十二歳になったら何か仕事をして、金銭的にも支え、十五歳には出ていかなければいけなかったという。

そこで四人は一緒に冒険者登録をして、僕が産まれたスタスデの街より南のズウデンと言う街から少しずつ移動してきたそうだ。


冒険者登録をしてみんなが十九歳でDランクになり、割のいい仕事を求めていた。

そこで首都サーシンまで移動し、拠点とすることにした。ラウールを見て、馬鹿な親がお金の為に働かせていると思ってしまったビルンは、つい初めからあんな態度をとってしまったようだ。

そしてああ言って、少しでも危険な役割を受けないように仕向けていたと、パーティーメンバーが話してくれた。



それを聞いて僕は恥ずかしくなってしまった。僕のことを考えてくれた人になんてことをしたんだ、と・・けど



「わかりにくいよビルンさん・・・、嫌われてると思ったよ・・・、僕も謝ろうと思ってたけど・・・。わかりにくかったから殺そうとしたのは許してね!」



・・・・

・・・・



「おい! 殺そうとしてって! 軽いな・・・。 今回は俺が悪かった。お前が強くて一人前の冒険者だという事もわかった。今回の依頼も頼むぜ! あと、冒険者ギルドで会っても無視するなよ!!」



とグーを向けて来る



「よろしくビルンさん! 一緒に頑張ろう!!」



グーパンチを手にぶつける。



「いてーよ!」



と単純な男たちはあっさりと仲直りした。そして、意外に相性が良かったことに今更気づいてしまった・・・。



その様子を見ていたロドリコは安心した。これで今回も稼ぎが確定したと・・・・。



~~~~~



貝殻集めは順調だった。海岸掃除をするときに使う熊手のような道具を引っ張り集める。

貝殻の形はどうでもいいので、とにかく量と言いながらに・・・。

そこで意外なことに【放浪の羊】のデーブン(荷物運び兼道具使い)が活躍した。よく言えば動けるデブ。持ち前の馬力で道具を引っ張りまわし、採取の箱がみるみる埋まっていった。採取は依頼にはなかったが、デーブンが張り切ってしまったため、結局は役割分担し活躍した。



護衛はみんなで交代で行い、いろんな組み合わせで戦ってみた。魔物の数は多くなかったので、色々な連携を僕も体験させてもらった。



ここでも意外に、パワーファイターの大斧使いのビルンさんとは相性が良かった。僕が剣で牽制し、隙を見て力いっぱい斧を叩き付ける。


魔法でチマチマ牽制している横から、力一杯斧を振り回す。タイミングもバッチリで、仲良くなれて良かったと思う瞬間だった。



~~~~~



護衛時間以外で、ロドリコさんに海や船について聞いてみた。


この世界の船は風の力を利用することや、魔石で動いていると説明してくれた。

海には時々大型の魔物が出現し危険はあるものの数は多くなく、比較的航路が開発されているという。

海産物の保存は、干物程度はあるが、内陸には海の魚は入って来ても高価なようで、庶民は中々新鮮な魚を食べることが出来ないようだ。


この話を聞き、広大な海で魔物に船を攻撃される確率は、確かに低いな・・・と思えた。

ピンポイントっで攻撃された場合は不運と言うしかない。

僕は海は魔物だらけで移動し辛いと思っていた。

いずれ旅をする時は船の旅も楽しいかな~と想像する事が出来た。



そして、カニ、エビ、貝柱と言ったものを食べる習慣もあるようだ・・・。カニガタベタイイ・・・。



~~~~~



なんだかんだと三日間で貝殻採取は終了した。ロドリコさん曰く「今までで一番採れた・・ぐふふ。」だそうだ。



これでようやく街に向けて出発する日となる。ちょっと肌が痛いけど、楽しい初体験の海だった。



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