第十八話 初めての護衛依頼開始
ラウールは待ち合わせの場所に歩いている。まだ時間は十分に間に合う。
「あー、楽しみだし不安だな~。どんな人たちなのかな~。」
護衛依頼を受けるにあたり、顔合わせと言うものが無かった。ランクさえ条件に達してたらいいと言うスタンスのようだった。比較的安全とはいえ、少し不安もある。
そう考えながら、待ち合わせの場所に到着した。そこには一台の馬車が止まっていて、外に一人の男が立っていた。見たまま商人のようで、おそらく今回の依頼者だ。
「おはようございます!護衛依頼を受けたラウールです。あなたが依頼主のロドリコさんですか?」
僕は元気に丁寧に挨拶したつもりだったが、ロドリコさんと思われる人がこちらを見て一瞬動きが止まった。
しかしそこは流石に商人。上手く動揺を静めたのだろう。直ぐに動きが戻り僕に返事を返して来た。
「おはようございます。私はロドリコですが、あなたがラウールさんですか? Dランクと聞いていましたけど・・・。」
やはりこの見た目は不利かな。だけどこれはどうにもならないからな~。
「そうです。ラウールです。まだ小さいですけど、ちゃんと依頼をこなしてDランクになっています。オークくらいなら余裕ですよ。」
「・・・・そうですか、ちょっと驚きました。もっとごつい男が来ると思ってましたから。そういえば、冒険者のランクだけ聞いて、年齢は聞いていませんでした。今回はよろしくお願いしますね。」
ちょっとだけ迂闊な商人だね。
急いでいるとはいえしっかりと確認しないなんて。だけどそのお陰で断られなかったんだろうから良しとしよう。
「はい!頑張ります」
ロドリコとあいさつを済ませ、他のメンバーを待つ。さすがに話題がないから、少し離れた場所で街を行きかう人を見ながら待つ。少しすると、五人と四人のパーティーを組んだ冒険者も現れた。
その冒険者パーティー達ロドリコさんと挨拶を済ませたタイミングで、僕も合流した。
僕が近づいていくと冒険者たちは一斉にこちらを向いた。
「はじめまして!ラウールです。今回ソロで依頼を受けました。よろしくお願いします!」
・・・・・・・
・・・・・・・
ロドリコが先に口を開く
「ラウール君はDランクの冒険者です。今まできちんと依頼を受けてきていると言っていました。今回はこのメンバーで進みたいと思いますので、よろしくお願いします。」
・・・・・・
「おいおい、本気か?俺たちとこいつらの九人のほうがいいんじゃないか?こんなガキは足手まといで邪魔になるぜ。」と斧を担いだマッチョが言い出した。
「子供ですか・・・?足手まといかはわかりませんが・・・、ん~どうしたものでしょうね?」と剣を持った男が、パーティーメンバーであろう四人に向かって話しかけていた。
ん~、やはり子供の見た目がネックか。一応口では実力を示しておこうか。
「大丈夫です。ロドリコさんにも言いましたけど、オークくらいなら余裕で倒せますので。不安なら、サーシンの冒険者ギルドのギルマスに聞いてみてもいいですよ、少し時間の無駄になりますけど?」
時間と言う話をしてみたところでロドリコさんが反応した。
「今回はきちんと冒険者ギルドが受理したからここにラウール君がいます。時間もあまりとりたくないので、このメンバーでよろしくお願いします。」
「けっ!足を引っ張るなよガキ!俺たちは手助けしないからな!!」と言葉を吐き捨てながら、斧使いはパーティーメンバーに話をしに行った。
「僕たちも、危なくなっても助けることが出来ないかもしれませんので、自分の身は自分で守ってくださいね。できる限りは、力を合わせて依頼を達成したいと思っていますからね。僕はフルートです。【放浪の羊】とパーティー登録しています。僕がリーダーをしていますので、何かあったら声をかけてくださいね。」
そういいながら、フルートさんもパーティーメンバーと話し始めた。
・・・・・
みんなのことは何もわからない・・・。ロドリコさんに聞いておかなければ。初めての護衛・・。前途多難だな~。
僕が聞いてロドリコさんが教えてくれたことは
まとめるとこういうことだった。
五人パーティー:【放浪の羊】リーダー:フルート(男)剣使い ニック(男)短剣使い 気配を探るのが得意 コーフット(男)槍使い クーフット(男)弓使い デーブン(男)荷物運び兼道具使い Cランク。
護衛依頼を生業にして、街から街へと移動する根無し草なパーティー。
四人パーティー:【破壊の斧】リーダー:ビルン(男)マッチョ;大斧使い ハーシン(男):盾使い 盾で攻撃を防いだところを、ビルンが攻撃するスタイル ラエラ(女)回復魔法使い ビビアン(女)剣使い 遊撃 臨機応変に立ち回る Dランク。
拠点をサーシンに移した。その為、サーシンの地理や特徴を知るため、色々な依頼を今は受けているパーティー。
そんな簡単な説明があった。僕の事も相手には教えておいてくれると言っていた。
「さー出発しましょう。今回は薬に混ぜる貝殻の入手が目的です。時間があるほど採れますので。できるだけ移動の時間は少なくしたいです」
そうロドリコさんが話し、いつもの門を抜けて浜辺につながる道へと進んだ。
ちなみに今日もスコットさんが門番だったから、冒険者の中で僕にだけ「ラウールがいれば大丈夫だろうけど、無理はするなよ!ドラゴンが出た時だけは逃げろよ~!」とスコットジョークが飛び出した。
そのスコットジョークの意味がわからない他の冒険者の不思議な視線を浴び、先に進み始めた。




