第十七話 初めて受ける依頼
ラウールは今日も冒険者ギルドに向かっていた。
両親から離れる前に、もっといろいろな経験をして、準備を整えて旅に出たいと考えてるので毎日でも通いたいと考えている。
冒険者ギルドの扉を開けると、いつものマッチョが手を挙げて『よっ』と気楽に声もかけてくれる。
あの煽ったマッチョが何かある毎に僕にちょっかいをかけてきてくれ、最近では他のの冒険者も気楽に声をかけてくれるまでになっていた。
初めは何してくれるんだこのマッチョ! と恨んだが、長く付き合ってみると良い人物だった。第一印象は大切だが、長く付き合ってみるのも大切だと前世以来に考えさせられた。
それはさておき、ラウールは何かめぼしい依頼がないか依頼票を見てまわった。
すると、一つの依頼が目についた。今まで受けたことが無い護衛依頼だ。護衛依頼は街から長い期間離れることが多く、受けたことがなかった。
しかしこの依頼は、七日間で簡単な食事付きでテントも準備してくれるようだ。報酬は少なめだが、Dランクから受けることが出来るようだ。行き先も北にある浜辺までで、魔物は出て来るが、そこまで強いやつもいないはず。
ただ、まれに盗賊が出現している道でもある。合計十名を募集しているから、今まで他の冒険者と依頼をこなしたこともなかったので、ちょうどいいと考えた。
善は急げとラウールは依頼票を持ち、アリサさんの受付の列に並んだ。
人気があるアリサさんの受付の列は通常通りでは中々前に進むことが出来なかった。
しばらくしてからアリサさんから声がかかった。
「いらっしゃいラウールさん。今日はどんな依頼を受けのですか?」
ドキドキしながら聞いてみる。
「おはよう、アリサさん。今日は初めて護衛依頼を受けたいと思うんだけど、これは受けれる?」
僕は手に持った依頼票をアリサさんに渡した。
「見せてくださいね~。ん~と、ちょっと確認しますね。」
そう言って何かの綴りを確認した。
「今九名まで集まってるみたいなので大丈夫ですね。ちょっと調整ミスで、五名と、四名のパーティーの申し込みを受けてしまってるみたいで、ソロは大歓迎だと思いますよ。」
「じゃあ、この依頼をうけます!」
即答だ。
「わかりました。それでは、今は長期間の依頼を受けないでください。それで、毎日一回は冒険者ギルドに顔を出してください。出発の日がハッキリしたら、声をかけますのでよろしくお願いしますね。」
やはり勝手が違ったな。今までなら依頼を受けて直ぐに出発出来たけど、開始日が定まっていない場合は毎日冒険者ギルドに来る必要があるのか。
これが高ランク冒険者になるとギルドから逆に遣いが来るようになるのかな?
先の予想は後でも良いとして、置いていかれないように毎日来て、受ける依頼も護衛依頼に影響が無いものにしよう。
「わかりました。よろしくアリサさん。」
依頼を受けたけど、初めての護衛依頼だから、父様に色々聞いて準備を始めよう。
僕は父様の居るところに向かった。
~~~~~
父様に護衛依頼の事を話してみた。すると「食事が出るっていうが、ラウールは保存食とか大丈夫か?」。そういって、丸くて黒い球を目の前に出してきた。前世でいうミートボールみたいな見た目だから、一口で食べてみた「しょっぱ!!」ん~~~。
無理だ僕にはこれは食べれない。
その姿を見た父様は
「ラウールはアイテムボックスXがあるから、荷物は持ち放題だろ? だから、ララに言って目立たないくらいの食べ物を持ち込んだらいいよ。もちろん誤魔化すためのバックは持って歩けよ」
そうだった!僕には便利なスキルがあった。このことは両親しか知らないけど、依頼ではとっても役に立っている。今まで長期間街を離れることが無かったから、作りおきの食べ物を入れて歩くことは思いつかなかった。
そのあとラウールは母様に道中に食べられるものを作ってほしいとお願いに行き、無事にアイテムボックスXに保管することが出来たのだった。
~~~~~
【アイテムボックスX】
チートアイテム:容量無限:時間停止:解析と組み合わさり、フォルダ分けができる。さらに解析と解体が加わり、なんと、自動解体ができる優れものに進化していた。手の届く範囲で目視で保管でき、取り出しも、手の届く範囲で有れば出せる。触れる必要もなく、とてつもなく便利だ。
~~~~~
冒険者ギルドから聞いた出発日は思っていたよりも早かった。出来るだけ早く出発したいと依頼主が言ったようで、父様に護衛依頼のことを聞いた次の日には「明日出発ですが大丈夫ですか?」と言われ承諾した。
依頼主はこのまま九人でも出発しようか考えていたようだ。
そして出発の日になった。
さあ、初めて顔を合わす冒険者だ。護衛依頼中心で街を回っているパーティーと最近首都に到着パーティーと軽く説明を受けていた。いい人だったらいいな~。




