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第十六話 冒険者引退が近い

僕、ラウールは十歳になった。


孤児院の双子カインとシリンとは時々街の外で採取しているときに声をかける程度には仲が良くなった。

実は時々孤児院に遊びに行っているんだけどね。

冒険者として依頼を受けていると、意外に動物も狩れる。動物は、大物であればギルドに卸すけど、小さいものなら孤児院に寄付しても良い。偽善でも誰かが助かる行動は気持ちが良い。


院長ともそれなりに話をするようになった。ずいぶん感謝されたが、そこは中身中年の子供。うまくかわして程よい距離で付き合っていると自分では思っている。

院長先生、コリンさんと言うが、良い人だと思う。珍しく黒髪でお揃いだ。



それとまだ変化がある。もう一年で、父様母様は冒険者を引退すると決めていた。この数年一緒に依頼をしたり、訓練をしたりしていたけど、そろそろ衰えを感じてきたと言っていた。父ミック三十八歳、母ララ四十・・・永遠の十八歳。今は就職活動中だ。


いくら貯蓄をしていても、この世界も地球と変わらない位の長寿を誇る。短命な人は魔物や盗賊に襲われたものが多いが、無事に生き延びられたものはさすが魔法の世界、長生きする。


怪我や病気は魔法で何とかなる。もしかして、地球より病気や怪我を治すことは上かもしれない。その分なのか化学が発展していないことで、病の予防の観点がまだまだだ。

だからこそ小さな頃に病気になりやすく、魔法での治療が間に合わなくて早死にするのだ。



今のところ母様は回復魔法を活かして治療院。父様は力を活かして、何かできることが無いか探している。


そして、父様母様はここサーシンに定住することを決め、家を購入した。


僕に対しては、近くにいてほしい様子があるが、もう少し年を重ねたら、旅に出ても良いと話している。色々な世界を見て見聞を広げて良い大人になるように願っているようだ。



~~~~~



この世界は僕が現在いるサーシン王国があり、その南にはラシーア帝国がある。サーシン王国の東にはフイエウ共和国があり、その南にはテザン皇国がある。テザン王国から海を南に渡ると交易都市群サザに辿り着く。


そして、人族がほとんど踏み込んだことのない土地、フイエウ共和国の東には魔の森と呼ばれる難所がある。


そこを抜けると海に出て、更に進むと、魔大陸と呼ばれる大陸があるそうだ。魔大陸については良くわかっていないようで、過去の文献ではそう言われていると言う程度の話だ。


ただ、人族がすんでいるこの大陸は一度は全て回ってみたいと考えている。


魔大陸も移動できる実力がついたときには一度は行ってみたい。



~~~~~



そして今より前の話になるが、九歳を迎えたころ、冒険者ギルドのギルドマスターと面談する機会があった。

ギルドマスターが会いたいと言っていたが、なかなか会えずにいたところ、とうとう呼び出されて会うことになった。


ギルドマスター、ギルマスはどこの世紀末といった格好をしていた。スキンヘット、革ジャンの肩にトゲはないが金属カバーを付け、大きな斧を担いで威圧してきた。ま~僕は威圧を無視して普通に挨拶をしていたら、苦笑いしていたが。何かあったら頼むと言われて分かれたが、子供に何を期待しているのか・・・。


偉い人だろうからお願いされたときには、無下にはできない。



だからこそ僕は一緒に旅する仲間が欲しいと思っている。できたら僕はもう二年位この辺りで依頼をこなし、旅に出たいと思っている。

十二歳くらいはまだ子供だけど、中身は中年。この広い世界を旅するのは長い時間が必要だと思う。


この世界でも時空間魔法はあるみたいだが、伝説になっている。覚えることになったら移動時間は短縮できるけど、必ずできるとは限らない。前世で色々なところに出かけることが出来ない生活をしていたからか、今は自由に旅したいと考えている。



両親の冒険者引退まであと一年。一緒に依頼をこなしつつ旅の準備をする。現在Dランクまで上がった。これでも異例の速さらしいが、出来たらもう少しランクを上げておきたい。



冒険者ランク上げ、旅の準備、出来たら仲間をつくる。そして一番重要な、父様、母様との思い出作りをすること。その先に、前世については・・・・語ることができるかな・・・・。


前世の僕と今の僕の年齢を合わせると両親の年齢を越える。

魔法もない世界から来た中年の記憶を持つ子供。もし僕が両親なら受け入れる事は出来ないな・・・。


前世では冴えない人間が今は天才って思われるほどの活躍を見せている。


うん、やっぱりダメだな。

今話すべきではないな。



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