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第百四十八話 ガイアとの話し合い


僕たちは【春の気配】の特訓を続けた。

今世の勇者と会い、四か月が経過している。


デーブンから話を聞いてから数日すると、テザン皇国にある僕たちの拠点を探る気配が増えてきた。


僕達に危害は加えられていないが、うっとおしい。――やはりデーブンに頼んで、ガイアを連れてきてもらおうかな?


春の気配の特訓は進んでいる。


さすが魔の森、強くなる。――魔の森で経験を積めるほどの人がいないから、比較はできないが、かなりのスピードで強くなっていると感じている。


ダイチは大剣と格闘がメインで、攻撃魔法を少し混ぜ込む型になっている。


ヒミカは攻撃魔法をメインにし棒術で身を守る。回復魔法と補助魔法も使えるようになった。


グンジョウは結局は器用貧乏に行くと宣言したが、メインは二刀流での接近戦で様々な威力の弱い魔法を織り交ぜる型に落ち着いた。


三人だけではまだSランクの魔物は倒せないが、傷を負わせることはできるようになってきている。



~~~~~



春の気配の特訓の合間に僕はガイアと話し合う機会をデーブンに作ってもらった。

僕は変化の術で姿を金髪の男に変え、デーブンの手伝いとして冒険者ギルドに入った。


もちろん変化の術を使う前にテザン皇国の隠密だろう人からはわかられないように隠蔽している。



僕たちは冒険者ギルドに入りデーブンが受付で用件を伝える。

受付の人はデーブンと僕をギルドマスターの部屋に通す。



――ギルドマスターの部屋にはウールはおらず、ガイアだけが椅子に座っていた。


「デーブンよ、よく来たな。そこに座ってくれ。そっちの隣の奴は誰だ?」



「俺のお手伝いだ。口が堅いからこの場に一緒にいることを許してくれ。」



ガイアは僕を見て何かを考えている。

じーと目を見られ、ちょっと恥ずかしい……



「よし! 一緒にいることを許そう。」



「ありがとう。では話し合いを進めるぞ。」



デーブンとガイアはお互いの近況を話し合った。


そして勇者の話題になると、僕達黒猫のことを言い出した。



「ガイア……、お前は黒猫をどうしたい? はっきり言うと黒猫はこの国に邪魔にされているぞ。」



「その事か……、俺もそう思っている。実力行使に出ないと思うが、俺の組織に敵対されるのはイライラするな。」



「もし黒猫をこの国に渡せと言われたらどうする? 冒険者ギルドとして黒猫を売るのか?」



「は~!? 俺が仲間の冒険者を売るかだと!! これが犯罪を犯した者だったら俺たちが罰するが、黒猫は何もしてないだろ? そんな黒猫を売るかだと! 俺をなめるなよデーブン! 仲間は守る!」



……

……



「悪い悪い。だけどまだそこまでは言ってないだろ? どうするか聞いただけだ。」



「それだけでも俺たち冒険者ギルドを馬鹿にしてるんだ! 俺らの冒険者ギルドは正当な理由がないときは、国にも従わない独立した組織だ! 歴史が短いとは言え、お前らの組織もそうだろ!?」



「もちろんそうだ。そして、俺は黒猫の敵には絶対にはならない――あいつらが何か間違っていることをしたのなら、俺が止める。」



「お前もいい男だな! その通りだ! 俺も自らが止めよう。黒猫が悪さをしたのなら――」



……

……



「――そう言う事だラウール? この言葉を聞いてお前はどうする?」



僕に話しかけてきたデーブン。

そして何のことかわからないガイア。


――ガイアがじーと僕を見ている。


……


……


「――ラウール? か?」


「そうです。僕は黒猫のラウール。今回はお願いがあってデーブンについて来てもらいました。」


「お……う――その姿は魔道具か?」



「いや、違うよ? この調子で話させてもらうけど、秘密は守れる?」



「おう。俺は仲間の秘密は守る。お前が冒険者ギルドの敵にならない限りはな。」



「ん~。敵にはならないけど、ん……、ま、何かあれば実力行使でいいか!」



「「――それはやめてくれ!」」



「冗談だよ。それで初めに言っておくけど、これは魔法? 術だよ。体を変化させることが出来る。」



「――そんなことが出来るのか? 聞いたことがないぞ?」



そう言われると思い、一度狼の獣人の姿に変化し、また金髪の人族に戻った。


その姿を見てガイアはもちろん、デーブンも驚いていた。


デーブンにも話していなかった……



「僕たち黒猫は、一時的に姿をくらまそうかと思っている。だけど、僕たちがどこかに引きこもっていると、巷の情報を得ることもできない。だから、姿を変えて、黒猫ではない冒険者として過ごしたいんだけど、そんなことが出来るか聞きたくて今日は冒険者ギルドに来た。」



……

……



「無理だ! 冒険者プレートがそれを許さない。」



「――あ~、やっぱりだめか~。じゃあ、何か誤魔化しやすい方法はない?」



「――無い! どうしても冒険者プレートの性能で、プレートをかざすとうその情報にはできない。」



「名前も変えられない?」


「無理。」


「パーティー名は?」


「それはできる。」


「リーダーを変えてパーティー名を変えるのは?」


「できるが、結局はお前たちの素性はばれてるぞ。」


「ん~、ソフィアをリーダーにして、黒猫のまま冒険をして、僕たちは冒険者プレートを見せずに過ごすことは?」


「街に入る時にばれるぞ?」


「あーーーー。僕の考えが甘かった……」


僕は頭を抱えてしまった。


……

……



「ラウールはどんな姿になれるんだ?」


デーブンが何かを思いついたように話してきた。


「今なら大人の猫にはなれる。」


「――予想以上だ――」


「何かいい案があるの?」



「いや、今の話を聞く前の案ではないが、猫になれるのなら、飼い猫になったらいいじゃないか? 今回は黒猫を追っている奴がいるかもしれないが、ハイエルフのソフィアには敵対しないだろう。だから、ソフィアをソロに戻す。そしてしばらくソフィアは一人でいる。」



「――うん――続けて。」



「――お前たちが姿をくらます。そして猫の姿で冒険者のソフィアについて回る。ハイエルフが動物と一緒に旅をしていても不思議でないだろう? エルフでも同じだ。従魔ではなく、自分の飼っている動物として一緒にいるのだ。そうすると街に入るのも身分証明書はいらないだろ?」



「――うんうん、続けて。」



「必要なら春の気配とも連携するのもいい。春の気配にソフィアが入るか、黒猫のソフィアに春の気配が入る。それだけで十分旅をすることが出来るんじゃないか?」



「うん、デーブンやるね! いい案だ。ちょっとみんなに相談するから、一度戻るよ。ガイア、これはできる事かな?」



「おう、普通に手続きできるぞ。」





――僕は金髪の人族として冒険者ギルドを後にした。


――今後のことをみんなに相談するために。


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