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第百四十七話 【春の気配】と特訓


この世界では訓練することで技術が上がる。


魔物を討伐することで経験値? 魔力を取り込む? ことで全体的に強くなる。


場所によって強くなり方が違う。

魔素量の違いがあるのか、僕たちは今までで一番強くなったのが魔の森だと感じている。


そこで今日は転移が使えることを暴露し、魔の森に来ている。


もちろん拠点はそのままの状態で残っている。


今後は僕やサクラがいなくとも移動できるように、魔の森の拠点とテザン皇国の拠点をつなげるつもりだ。

よくある転移陣? ゲートを設置し、門をくぐり移動できるようにする。


なぜか創造を鍛えているときに作れるようになっていた。


魔の森の拠点は僕たちの部屋だけなので狭いため増築する。

別宅にしてもいいのだが――万が一、億が一にも魔物が結界を超えてきたときの保険だ。


「ラウール? ここは魔物がいないけど、本当に魔の森なの? 僕たちでもこの森で生き残れるの? ダイチやヒミカは平気そうだけど、僕は怖いよ……」


「俺はそうだな――楽しみだ! ラウール! 俺を強くしてくれ!」


「私もそうね~、興味深いものが現れてほしいかな?」


ファンフートの勇者は三者三様の反応をしている。


「大丈夫だよ。僕たちがついて回るから。まずは魔物を倒して強くなろう! 技術は僕たちが教えることが出来る範囲になるけどね?」


「俺も助けるぞ! 俺は素手の格闘だがな!」


「そう言えば僕達で一番ましな剣術は僕? ソフィアはどう?」


「私は長く生きているのでなんでも教えることが出来ますよ? 私には誰が付きますか?」


「私はサクラかな? ねえサクラ? 日本人同士仲良くしましょ!」


「僕はソフィアかな? 器用貧乏なタイプだから色々と挑戦してみたいよ。」


「じゃあ俺はパワーなヤマトかな? 色々と教えてくれよ!」


結局僕が余ったので、僕とクロウは日替わりで誰かについて行くことにした。



~~~~~



元々シチランジンの人より才能がある勇者。

日々強くなって行く。

僕たちがついていることも大きいが、Aランクの魔物まではすぐにパーティーで倒せるようになっていた。


……


僕たちは今、テザン皇国と魔の森を行ったり来たりしながら生活している。


テザン皇国本体からのリアクションは今のところない。


いざとなれば変化の術で姿を変えてもいいが、まずはファンフートの勇者を強くしよう。


――ダイチは剣の他に格闘術と魔法を。

――ヒミカは魔法の威力を上げながら棒術を。

――グンジョウは器用貧乏と言うように、様々な武器や色々な魔法に挑戦している。



~~~~~



――ある日テザン皇国に戻り、僕たちが拠点で過ごしている時にデーブンがやってきた。


「ラウール久しぶり! ようやく捕まえたぞ。あの日から三か月たっているが、ファンフート様の勇者はどうだ? 強くなったか?」



「だいぶ強くなったよ。今世の勇者より早くこの世界に来ていたとはいえ、実力はかなり引き離したんじゃないかな? 今世の勇者はどうしてる?」



「……それを言いたかったんだ。」



デーブンはやや言いにくそうにしている。


「あれから勇者たちは立ち直ってはいないが、訓練を受け始めた。しかし【黒猫】がいないことに一時反発した。それでもテザン皇国が国を挙げて勇者に訓練をさせようとしてやや威圧的な態度をとり、十八歳の勇者は断り切れなかった。」



「じゃあ、半分無理やり訓練してるの?」



「いや、勇者も思う所があるのだろう。訓練自体はまじめに受けている。ただ、冒険者からの訓練を終えた時は、勇者でパーティーを組んで、他の人がついてこないようにしてほしいと言っている。」



「へ~。いいんじゃない。勇者だけなら危ないこともあるだろうけど、気楽な所もあるでしょ。」



「そうなんだが、テザン皇国がそれを良しとはしない。勇者の動向が把握できないからと、冒険者について歩くか、騎士を共に付けるように説得している。」



「ん~、勝手にさせたらいいのに……」



「そこはテザン皇国の勇者と見せつけたいのだろう。魔王を倒した後に国の戦力としても考えているようだ。そしてここからが話の本番だが、お前たち黒猫を排除しようする動きがある。」



「何で僕たちが? あれからは勇者に接触していないけど?」



「しかし勇者が単独で行動したいと言い出したのは、黒猫がいらないことを言ったからだと言う方向に話が進んだ。サンクリットがあることないことを言って、教皇も比べる情報がないからその動きに同調したそうだ。」



「ん――」


「ファンフート様だけは一介の冒険者の言葉だけでそうなるわけがないと擁護している。勇者も十八歳。彼らも考える事があるだろうと言って、居場所だけを報告し、自由に旅に出してもいいのではないかと意見している。」



「――へ~、ファンフート様がね。」



「あっ、ポルフォ家もだな。ポルフォ家は勇者が望むなら自由に旅するように準備すると言った。もしセツナ様が旅に出ないのであればポルフォ家に留めておくとも言っている。」



「テイセキ様も言うね。」



「――話は戻るが、どうするラウール? 力で追い出そうとしてもお前たちなら負けないだろう。だけど権力も使いそうだぞ。」



「ん~、権力はめんどくさいね。僕たちがこの国を出て行けばいいの?」



「そうだな。最低の条件としてはテザン皇国から出ていくこと。そしてテザン皇国にとって最良なのは、黒猫を亡き者にすること・・・。」



「ふ~ん……僕達を倒せると?」



「ただのSランク冒険者と侮ってるぞ――」



「まあね。僕たちの戦闘力は、王国の一部の人だけ知ってるけど、見せてないからね?」



「俺は知ってるがな。俺の情報網にも入ってるからな。」



「デーブン――――すごい男になったね?」



「だろ~!」



「もっと謙遜してよ!」



「それでだな、どうする黒猫としては?」



「あっさりだな~。ん~、最悪は姿をくらまそうかな? 僕たちの味方に誰がなってくれそう?」



少しデーブンが考えている。


……

……



「ガイアは味方になる。ガイアは勇者をもっと自由にした方が良いと考えているし、ソフィアを裏切れないはずだ。」


「冒険者ギルドの偉い人か……。ん~ちょっとだけ考えておこうかな、次の手段を。」


「ああ。殺されることはないだろうが、面倒は嫌いだろ?」




僕のことをだいぶわかっているデーブン。――デーブンと話をして僕は次の行動を考えた。




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