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第百四十六話 テザン皇国の拒絶と驚き

サンクリットと話をしてから三日ほど経過したがリアクションがない。

他の冒険者と訓練していると言う情報も入ってこなかった。


何もないことにもやもやしながら今は【春の気配】を鍛えている。

神様の話では、セツナ以外の勇者と才能は同じくらいのはずだから。

何かあった場合は春の気配に頑張ってもらう。


そんな訓練の合間に教皇からの手紙があるとデーブンが訪ねてきた。


何気にデーブンは国の遣いもしているのか……


『黒猫は勇者育成から除外する。今後勇者様に関わることをテザン皇国として禁ずる。神様や皇国を侮辱したことは罪には問わぬが、国の恩恵は一切与えられない。


テザン二十四世』


――おっと……。何か一方的な通告が。

今までも恩恵はなかったけど、サンクリットの報告のせいかな?


勇者がつぶれなければいいけど……


そう思っているとデーブンがもう一通の手紙を差し出してきた。


『【春の気配】のダイチ、ヒミカ、グンジョウを鍛えてほしい。今世の勇者ではないかもしれぬが勇者だ。教皇は今世の勇者に関わることを禁じることを貴族へ伝達した。その中に春の気配は入っていない。しばらく私の元を離れることを許可する旨を手紙としてデーブンに託す。どうかこの世界の危機を乗り切るために力を貸してほしい。   


ファンフート・テザン』


……


――ファンフートが立派だ――

噂は当てにならないな。


春の気配もデーブンからの手紙を読んでいた。

その後手紙を読み終えたのか僕を見ている。


「ラウール……。皇国がお前たちを拒絶したようだな。なんとおろかな……。今世の勇者はあきらめと義務、期待にこたえなければと言う?プレッシャーで動いている。このままではつぶれるぞ……」


「僕もそう思ってる。だからこそ強くなるだけではなく、楽しみながら何かを達成するように導きたかったんだけど……。国として邪魔をしてきているから、しばらくは接触できないね。できたら同郷として力を貸したかったんだけど……」


……

……

……

……


ダイチにヒミカ、グンジョウが目を見開いている。


……

……




「「「え~~~~!!!」」」


何かあったのか?

驚くようなことを話したかな?


……

……


後ろからサクラが僕の肩をつついた。


「ラウール? やっちゃったね?」


ん? 何かやっちゃったのか?


「ど・う・きょ・う……同郷――」


………………

…………

……



あああああああ~~~~~!!


「――それは嘘でした!!」



「「「「――もう遅い!!」」」」


は~――

そう言えばまだ言ってなかったな……


「……ラウール? 同郷と言う言葉は、そのままの意味か?」


「――は~、口が滑った。うん、僕は日本で産まれたよ。それで死んでからこの世界に産まれ直した。あの異世界転生だよ!」


「……お、おう。俺たちが召喚されるように、あるんだなそんなことが。」


「あったんだよ。」


「……そうか……。じゃあサクラやソフィア、クロウにヤマトは? クロウはこの世界で見たことのない鴉だし、ヤマトは日本でもいる名前だし、サクラはそのまま日本人だし。」


「――私は異世界転移よ。ただし若返ったけどね。」


「――俺は! 違うな!」


「――我も違う。」


「――私も違いますね。」


二人と一匹は否定したが、念話の腕輪を通してだが、ラウールが話すなら事実を話してもいいと言われた。


「この際だから言っておくね。この話は僕の両親も知らないし、【黒猫】の中だけの秘密だったから、秘密を守れないなら聞かないでね? そこで聞き耳を立てているデーブンもだよ? どうする? このまま話してもいい?」


――僕の問いに全員が頷き同意を示した。


「さっきも言ったけど、僕は日本からの転生者だよ。そしてサクラは日本からの転移者で若返り付き。神様にも会ってるよ。」


「「「……俺達(私)(僕)は会ってない……」」」


「正式な召喚でなかったから会っていないと思うよ? だけど今世の勇者と同じくらいの才能を秘めているって神様が言ってたよ。そして僕たちはチート……。神様が特別に才能をくれた。」


「「「ずるい――」」」


「ずるいだろうけど、前世で死んだんだよ? 僕もサクラも……。死んで一からか若返るかの違いだけだったよ?」


……


「ダイチもヒミカもグンジョウもこの世界の中では最強になることが出来る才能はあるんだよ?」


「それは嬉しいけど……。私は最強よりもこの後は楽しみたいかな?」


「ヒミカはそれでもいいんじゃない? それで話は戻るけど、僕の仲間は転生でも転移でもないけどチートです。」


「ラウールは転生チートだけど、仲間もチートって……」


グンジョウも戸惑っている。


「――ヤマトから紹介します。ヤマトは龍――緑龍です!」


ヤマトは変化の術を解き龍の姿になった。

ちなみに結界で外には見えていない。


「よろしくな!」


僕たち以外は大きな口を開けている。


「次にソフィア! ソフィアはただのエルフではありません! ハイエルフです!」


特に大きなリアクションもせずにソフィアは頭を下げる。


「よろしくお願いします。」


「最後にクロウ。クロウはいつもの説明ですが従魔です。日本で言うと八咫烏! 神か神の遣いか――――不思議に何でもできます!」


クロウは僕の肩で羽ばたき話す。

羽が当たってちょっと痛かった。


「我をよろしく!!」


全員の紹介が終わると話を聞かされた人はなかなかこちらの世界に戻ってこなかった。

皆が無言で動きが止まっている。


しばらく沈黙が続いていたが、事情を知らないデーブンが一番に我に返り質問をしてきた。


そんなデーブンの質問に答えているとダイチたちも次第に話の中に入ってきた。


その夜は僕たちの家にみんなが泊ることになった。

前世の事を少しは話したが、まだまだ僕たちの能力には秘密がある。




――――そのうち話すことも来るだろうが、全員で日本の話題で盛り上がった夜だった。


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