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第百三十九話 親睦会後の一室にて

宮殿の一室に教皇、ガイア、騎士団長、バルモート、司会だったサンクリット、そしてデーブンが集まっていた。


「あの後の雰囲気は最悪でしたな、何故あんなことになっているのですか?ガイアさん、冒険者ギルドの質が落ちましたか?」



「申し訳ありませんサンクリットさん。我々も予想できなかった。あいつら破壊の鉄球はあんな性格ではなかったんだ――そうだろデーブンさん?」



「そうだな。俺たちのギルドの情報でも、面倒見がよく、後輩や更に後輩まで【破壊】を付けるほど慕われていると記憶している。」



「じゃあ何故あんなことになったんでしょう? 私の司会でも持ち直せませんでした。」



「俺が止められなかったばかりに……。冒険者ギルドの責任として必ず収めます。今後の勇者の育成に支障がないように。」



「我々の国の冒険者ギルドにも声をかけるか? 共和国はもっと支援できるぞ。」



「それには及ばん。我々の国でどうにかする。皇国の名に懸けて、神から預かった勇者様を一人前にする。だからこそガイアはきちんと収めてくれよ。」



「はい。我らも冒険者の名に懸けて。」



「俺たちのギルドももう一度情報を集めてみよう。何故破壊の鉄球があんな態度だったかを。」



「頼むデーブンさん。何故なのか? 変わったとしたらいつからなのか? 勇者育成を依頼した時にはあんな絡み方をするやつらじゃあなかったからな。」



そこからは今後の勇者の育成に話題が変わっていた。



~~~~~



――高級な宿にて――



「お父様――ラウールは何故そんなに怒っていたの? 怒ると怖いけど……たまに理不尽だけど――優しい冒険者なのに。」



「私は初めて会ったからわからんが、にやにやして馬鹿にしていたら冒険者がいたらしい。その後に『死ね』と攻撃しようとしたそうだ。」



「死ね――と言ったの? それは相手に殺される覚悟を持って言ったのかしら。私から見たラウールは、言ったからには相手にも言葉の重さをわかってもらいたい人に感じるけど……」



「おそらく勢いで言って、覚悟などない様子だった。」



「そうなのですか…………それでお父様――決闘はすることになったのですか?」



「決闘は避けられなかった。【黒猫】は決闘などしなくてもよいという態度だったが、相手が引かなかった。」



「は~…………ラウール達にかなうわけないのにね……」



「そこまで強いのか? 魔の森に籠っていたと言っていたが……」



「強いわよ。あの時でも強かったのに、魔の森に籠っていたなんてね……。私はファンフート様の勇者より強いと聞いているわ。」



「召喚されて日にちが経っている勇者よりもか――」



ポルフォ家の二人はしばらくラウール達の強さを話していた。



~~~~~



――別の宿にて――


「やっぱりラウール君は面白いね! バルモート様について来てよかった! だけどおかしいな? 【破壊の鉄球】はクランでないけど、他の冒険者ともつながりが強いパーティーだったんだけど? お前たちはどう思った?」



「我々も親睦会の様子を見ていましたが、何か不自然なものを感じました。黒様も見ていたと思いますが、あそこまで引かないのは、通常なら考えられません。冒険者ギルドの統括もいる。教皇だけでなくテザン皇国のお偉いがいる中での騒ぎは不自然です。Sランクの冒険者ともなれば、冒険者ギルドからの信頼も大きい。そして、依頼主となりそうな貴族の前では、騒ぎを起こさないのが普通です。」



「しかし今回は騒ぎを起こした。あの騒ぎがあったから誰も【破壊の鉄球】や【黒猫】に近づかなかった。ラウール君は何も気にせず仲間と談笑していましたけどね。他の人は誰も話しかけられなかった。」



「勇者様でもですね。勇者様が冒険者の人柄を見ることが出来ることも目的の親睦会で。あの騒ぎで、人柄どころではなくなってますね。」



「【破壊の鉄球】の拠点は、交易都市サザの十三都市だったよね?」



「そうです。交易都市を中心に活動して、ダンジョンも攻略したことのある実力者です。この依頼を受けた後に、期間が空いているからとダンジョンに潜っていました。」



「じゃあそのダンジョンの攻略のあたりが怪しいね? もう少し探ってみようか?」



そう言うと、黒いローブを来た人の周りから人間が消えた。


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