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第百三十三話 ポルフォ家の勇者

一緒に旅をするとして、僕たちの秘密もあるし……


僕たちにも考える時間も必要だろうと言われ、僕たちは宿をとり一室に集まった。


ソフィアとヤマトとサクラに任せると言った。

クロウもどっちでも良いと。


「サクラはどう思ってる?」


「私は……私たちの事がばれなければ受けてもいいけど……長期の依頼になるでしょ?」


「そこなんだよね~。一緒に旅をして、他の依頼もこなす。勇者を魔王と戦えるようにする。依頼達成が魔王討伐にもなりそうだしね。ん~、やっぱりばれるかな?」


「そうね……ただクロースとクリスは気付かなかったし……」


「少ない人数の勇者で……戦闘力は別にして、人柄で選べるならいいね。」


「あっ! お前は勇者ではないって言われた人はいないかな! 後から最強になるような!」


「あ~! いいね! 聞いてみて決めようか!」


ラウールとサクラは、テンプレに流されてしまった。



~~~~~



次の日に冒険者ギルドに行き、条件付きで依頼を受けるとウールに伝えた。

できたら少人数の勇者の集団か……落ちこぼれか……勇者ではないと言われた人がいないか確認した。


ウールは依頼を受ける前提で話をした僕たちに、更に勇者の情報を教えてくれた。


今回の勇者召喚では十三人召喚された。

過去最大の人数が現れた。

年齢は十八歳で、現在の肉体強度とこれからの成長を考えると、ちょうど良い年齢だった。

過去の文献にもあるように、同じ服を着た集団。


皆が光の神様に会ったと言うなかで、誰にも会わなかったが、白い空間に長時間いたと言い出した者がいる。

その一人は勇者ではないと言われたため、ポルフォ家で保護している。

ポルフォ家はその一人だけを抱えたそうだ。


四人はファンフート・テザンの所へ。

四人は公爵が後ろ楯に。

四人は教皇が後ろ楯に。

その周りには……無数の貴族がまとわりついている。


「じゃあ、ポルフォ家の勇者であれば依頼を受けます! キソには悪いことをしたって言う負い目もあるしね。」


「そうね! キソの所の勇者ならいいわね。白い空間に長時間いたって言うのもポイントが高いね!」


ウールは不思議そうにサクラの会話を聞いていた。


「ポイントが高い? 神に会っていない勇者が?」


「あ~、こっちの都合なんで気にしないでください。それで僕たちは何をしていたらいいの?」


「少し報告と審査があるので、この街で待っていて欲しい。こちらから言っておいて何だが、ポルフォ家の勇者だけ同行者が決まっていなかったんだ。こちらからお願いするつもりが、ありがたい。」


外れと思われている勇者以外は、すでに同行者が決まっているようだった。


僕たちが依頼を受けたことで、報告、審査、決定の流れになる。


一週間で結果がわかり、その後に全員で顔合わせがある。

今回は教皇、位の高い貴族、勇者、依頼を受けた冒険者、冒険者ギルド関係と人数が多くなるそうだ。


一週間後に冒険者ギルドに顔をだすことにして、僕たちは街に繰り出した。



~~~~~



僕たちは街の酒場に入り休むことにした。

ヤマトは酒を飲み始めている。


「ラウール? 白い空間に長い時間いたってことは、力は貰ってるわよね?」


「そうだと思うけど、何で神様が出てこなかったんだろう? たしか長い時間あの空間にさらされるのは良いことだったわよね?」


「ん~? そう言っていたと思ったんだけど……私たちは今……神様たちに会えるかな?」


「ん~? 腹ごしらえしたら祈ってみようか。」



……



僕たちは食事を終えて外に出た。

誰からも見えない所で転移し、魔の森の拠点に移動した。


そして簡易的な神殿を取り出し、神像に祈りを捧げる。


すると何時もの白い空間に移動していた。今回はヤマトも一緒にいる。


「――ヤマトははじめまして。才能の神です。」


軽い感じで挨拶を交わし、本題に入った。

ヤマトは初めての事で驚いていたが、流石に龍……。すでにヤマトはこの場をうろちょろとして、才能の神に「落ちつけ」と言われていた。


……


今回わかったのは、神と会わなかったことで、能力はランダムに選ばれている。空間に限界までいたので、僕たちほどでないがチートがついていると思われる。


他の勇者は神と話し合って方向性を決めている。しかし能力は分散され、ダイチたち程度の能力(中途半端)なっている。だから努力しないと強くなれない。


今まで出現した魔王の平均的な強さなら、十名の勇者が成長して協力したら倒せる。

召喚で欲張りすぎて、力が分散して、圧倒的な一人が召喚されていない。


光の神が今回会わなかったのは、会ってしまうと白い空間にいる時間が減るためであった。


悪い予感がした光の神がとった、苦肉の策だった。



~~~~~



才能の神と別れ、ニジュールの側に転移した。

ニジュールの街の門をくぐり、なかに入ろうとしたとき、門番から声をかけられた。


「【黒猫】!活動再開ありがとう! お前たちの動向が魔の森に行ったところで消えていた。心配した荷物運び情報網の代表、デーブン氏が総力を上げて調べていた。」


「代表? デーブン……」


「そうだ! その時からデーブン氏の快進撃が始まったんだ! 【黒猫】を追いきれなかったことを後悔し、改善につぐ改善で、この一年で世界的組織になっているぞ。冒険者ギルドも今では協力している。――だが誤解するなよ。今回声をかけたのは、お前達を見つけた会員が教えてくれたんだからな。今頃【黒猫】発見の情報は世界を飛んでいるぞ!」




世界を……って、デーブン……代表なのか、会長なのか?

――何か締まらないぞ、荷物運び情報網……


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