表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

114/153

第百十四話 二つの伝言

「では先にどちらの伝言をお聞きしますか?」


「んーーでは、クロースの伝言を教えてください!」


僕はクロースの伝言は、ここまでの事もあり面倒なのではないかと考えた。



そのクロースからの伝言は『この街に寄ったということは、俺は今はサーシンにいる。だから俺と一緒でなく、先に父に会っていても良いぞ。』だった……


ん?


「次はカーシン伯爵の伝言をお願いします。」


カーシン伯爵の伝言は『君とは話をしておきたい。是非一度我が家に来てほしい。』だった……


んっ?



……


……あっ、追い越した!

僕は失敗した……転移で移動したから数日はクロースより早く着いてしまった……


「カーシン伯爵は何度も伝言を変更しているの?」


「はい、だいたい一年に一度は更新しておりますね。」



やはりかーーこれは僕がサーシンに居ることを知らない時の伝言だ。

はーーもう数日待つか……


「おい! いつまでコロンを独占してる! 早くどけ!」


コロンさん?

この受け付けの人はコロンさん?

早くどけと……

まー用事がすんでるけどね。


「……すいません、今退きますよ。じゃあコロンさん? また数日後に来ますよ。」


「ああん!? また数日後に俺のコロンをくどくだとー!」


「誰が俺のですか……。ラウールさん、用事がすんだのであれば良いのですが?」


「今日はまだ来るのが早かったみたいで……。クロースが伝言に来たら、わかばにいると伝えてください。」


「かしこまり「あ゛ーー! なに俺を無視してるんだ!?」ました。」


「じゃあそういうことで!」


「あ゛ーー! 無視するんじゃねーー!」


結局絡まれた……

どうしようかな?

そう僕が考えていると、サクラからもの凄い殺気が放たれた!


「ん゛っんんんーー!」


絡んできた冒険者がヘタリ込んでいる。


「あ……ああ……」


気を失いそうか?

けど助けるのもな……


すると冒険者ギルドの入り口の方から叫び声が上がった。


「止めてやってくれ! そいつは限界だ!」


そこには……カーシン伯爵の姿があった。


「門番から聞いて来てみれば、なんだこれは! そこにいる冒険者は俺の知り合いだ!」


へっ?

知り合いにランクアップ?

門番から聞いた?

さすが門番!

って、良い働きって言えない……

また面倒な……


「ラウール、久しぶりだな!」


「……はい……お久しぶりです。」


「そこの女性は初めてだな。仲間か?」


「はい。僕のパーティーメンバーです。クロースとも一緒に旅をしましたよ?」


「おーー! ではサクラか? 話は聞いているぞ! だが、クロースが着く前になぜここにいる?」


「移動手段が良かったのですかね?」


カーシン伯爵は顎にてを当てて考えている。

そして豪快に笑いだした。


「そうだな、お前たちほどの冒険者に聞くことではないな! しかしクロースから話を聞いていないのなら、先に俺が話しても良いか?」


「いいですけど、場所は変えてくださいね?」


「もちろんだ!」


僕達とカーシン伯爵はさっさと冒険者ギルドを出た。そして、待っていたカーシン伯爵の馬車に乗ることになった。


……


その後の冒険者ギルドでは……

「あいつは何者だ?」

「あの姿はきっと【黒猫】だぜ!」

「黒猫!」

「今話題になってきている!」

「おう! 俺もデーブンから聞いた話だが、絡まない方がいいぜ!」

「ほーう、あのデーブンが言うのか!?」

「おう、あの荷物運びの伝道師のな!」

「じゃあ気をつけよう。」


デーブンはこんなところでも有名になっている。

Sランク冒険者よりも……

デーブンはどこに向かっている……



~~~~~



馬車に乗った僕達……カーシン伯爵一行は街の中心の領主館に着いた。

カーシン伯爵は何も言わず馬車に乗っていた。

その後執事のセバスと名乗る人物が現れて館を案内され、一つの部屋で待った。


通された部屋で待っていると、カーシン伯爵が現れ目の前の椅子に座った。


「久しぶりだなラウール?」


「はい、お久しぶりです。よく名前を覚えていましたね? 言葉遣いはこれくらいでご勘弁を……」


「言葉遣いなどどうでも良い。俺が招いたんだからな。そしていきなりだが、お願いがある……」


なんだこの固い雰囲気は……


「……王国のために力を貸してほしい!」


王国のため……

とうとう国のイベントが僕にも……


「この頃魔物が増えている。街道まではなかなか到達出来ないはずだが、そこまで出没するようになった。はじめの伝言はクロースの旅の助けになってもらいたいと残していたが、違う依頼になってしまうが……」


魔物?

確かに増えていたけど、まだ冒険者でも余裕では?


「最近の急激な魔物の増加は、人為的な工作が疑われる……。普段なら魔物の討伐依頼で良いのだが、今回は……」


「何か引っ掛かるものが?」と僕は聞いた。


貴族が引っ掛かる?

面倒事?


「帝国が怪しい雰囲気を漂わせている……。Sランクとはいえ冒険者に依頼する事も異常かもしれないが、国としてはまだ動けない。だから頼む! クロースと一緒に何が起きているのか探ってくれないだろうか? 何もないなら一番良い。」


「僕たちは何を探る依頼を出されるのでしょうか?」


「魔物の増加の原因、理由を先ずは探ってほしい。そして出来るなら討伐をしてほしい。そこに人為的な何かを疑わせる何かがあったなら知らせて欲しい。少しでも怪しい物があったなら……俺に教えてくれ。」



僕は考えた。この国は両親が住んでいる大切な国。出来ることなら両親には平和に暮らして欲しい。僕が出来ることであれば解決したい。


だが……気になることがある……



「依頼は受けましょう。ただ、今気になることがあります。それは……」


……

……


……



「……EXランクの冒険者の名前です……。聞けずここに移動したので気になります!」




ラウールはマイペースだった。

依頼は受けても良い。

だけど名前を聞けず、ずっと気になっていた。

だから先ずはEXランク冒険者の名前を聞いていた……




「今の会話でそれか……」


……

……


「EXランクの冒険者が現在いる場所はわからない。しかし、名前は……イーアス・ノエビア……単独でSランクの魔物を討伐できると言われている強者だ!」




……ようやく知った!

イーアス・ノエビア。


そして待つ!

クロースの帰還をね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ