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第百十話 ララのお手伝い

僕は今日母様が勤めている治療院に来ている。

今日は母様も普段通り仕事があり、一緒に来た。

母様が働いている治療院は毎日忙しく、重症者もなかなか家に帰る事が出来ない。


重傷者を治せる程の回復魔法使い者がこの街に寄らない限り、対症療法で凌いでいるそうだ。


母様は重傷者のお世話をしながら毎日心を痛めている。

そういう状況であれば息子である僕の出番だ。

僕達が治したとは言わないように……他の人には知られないようにしてほしいと話す予定だ。



サクラとクロウも僕と同様の考えで、母様の為に一緒に治療院まで来た。


……


母様は治療院の院長に説明するため、僕達と一旦分かれている。


しばらくすると、説明を終えたのか母様が戻って来た。


「ラウール。ラウール達の事は秘密にしてくれるそうよ。それに重傷者にも口止めはするし、治るのであれば重症のみんなも約束は守ってくれるはずよ。……これでラウール達に回復魔法をお願いしていいかな?」



「いいですよ母様。僕が重傷者を……サクラはもう少し軽い人を治して行こう。クロウはどれくらいできるかわからないから、僕と一緒に来て。」



「わかったわラウール。じゃあ私はどっちに行ったらいいのララさん?」



「サクラはあの人について行って。」

そう、奥にいる人を指さした。


「じゃあ行ってくるね。私が駄目だったらラウールにお願いするから。」


「わかったよサクラ。じゃあ頑張ってね。母様、僕たちも早速行きましょう。」


僕と母様は一緒に奥の部屋に向かった。

そして院長も僕の回復魔法の強さを知りたいとついてきた。



ガチャ!



ドアを開けると目の前には、病気らしき人、大怪我をしている人、体の一部がない人等病気らしき人と重傷者が横たわっていた。


「じゃあさっそく始めますね。誰から治したらいいかな母様?」



「初めは病気の人を治して、次は大怪我の人。そして治った人は他の部屋に移ってもらってから欠損部位のある人でいいかしら?」


欠損部位がある人が治るのは確かに……人目を避けた方が良いな。


「わかりましたよ母様。じゃあさっそく取りかかりますね。」



僕は病気の人一人一人に回復魔法をかけて行った。

病気が治ったかどうかは、ユニークスキルの看るのおかげかなんとなくわかる。

これが前世で医師だったらもっとはっきりとわかったんだろうけどな。


一人一人治っているか確認しながら、病気の人は回復が終了した。

元気になった人たちは僕を拝んでいる人までいる。


次に大怪我の人達だ。

大怪我の人達は見た目で変化がある分わかりやすい。

回復魔法をかけると、怪我が治っていく。

みるみる治る傷を見て、回復魔法を受けた人も驚いていた。


次に欠損部位がある人だ。

さすがに欠損部位がある人も、古過ぎる傷と言うわけではないようだ。


まだ傷口が生々しい見た目をしている。

そう言う僕も前世では大怪我をした時がある。

エスカレーターに肘を挟めてしまって、肉をもっていかれたのだ……


まーー僕の前世のことはこれで置いておいて、回復魔法を強めにかける。



パパパパッパパ~



と目の前の人が光ると、欠損部位からは失くなっていた部分がニョキニョキと出てきている。

僕はもしかして今、回復と一緒に時魔法も使っている?

……深く考えないことにして、魔力を注いでいく。

さすがに欠損部位の回復は魔力の消費が激しい……


それでも三分も魔力を注ぐと、立派に欠損部位が元のように復活していた。


目の前の人は今までなかった部位を見て動きが止まっていた。


欠損していたであろう部位を見ながら……


そして欠損していた部位を動かして、動いているのを見て涙を流し始めた。


何人かの欠損部位を治して、重症者はこれで終わりのようだ。



「ーーありがとうラウール君。私は今奇跡を見たようだ……」



「本当よラウール! 回復魔法まで凄くなったじゃない!」



「……ラウール君。このことは絶対に秘密にする。そして君がいない時が不安だが、私達がこれからも頑張る!」



「そうですね。僕がここにずっといるわけでないですから。でもこの街にいる時は頼ってください。」



「ーーありがとう!!」



僕達がそんな会話していると、治療が終わった人が次々と近づいてきて、涙を流してお礼を言ってきた。

……絶対に秘密にすると誓ってくれた。



~~~~~



治療を終えた僕はある一室でサクラを待っていた。少し待つとそこにサクラも戻って来た。



「……サクラはどうだった?」



「私もあのくらいであれば治せたよ! 回復魔法もずいぶん上手くなってた。普段使っていなかったけど、魔力の運用がうまくなったらーー他の魔法も上手くなるのね!」



「あーーそれかな? なんか僕も回復がスムーズだったんだ。じゃあこれからも魔法はいっぱい使って行こうね!」



「うん! 環境破壊に気を付けてね!」



「そうだね……」



……


治療院でのお手伝いは終了した。

これでしばらくは重傷者も現れないだろうという事で、今後のお手伝いは不要とのことだ。


帰りに久しぶりに教会にもよった。

なぜか才能の神様と創造神様が二人で現れた。

そして重要なことを……という事もなかった。

今はまだ何事も起きていないという事で、世間話をして終わった。


ただ僕は予想以上に強くなっているという事と、サクラも僕まではいかないが強くなっていること。

クロウについては『内緒』という事だった。


もっとクロウについての事を聞きたかったが、いずれわかってくると言う返事で、それ以上は聞き出せなかった。


クロウを神様が僕の手元に遣わせたのか聞いてみたが、全くそう言った介入もしていないという事だ。


……


「さーー明日はどうしようかな?」


久しぶりの家族との生活で、今まで以上に楽しい気持ちのラウールだった。


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