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第百七話 カシマスさんへのお土産

一晩休んだラウール達は、宿を引き払い【希望の家】に向かった。




僕はお土産を迷っていた。

どんなお土産が良いのか?

希望の家のメンバーは僕を以前も受け入れてくれていたから、気心の知れた人も残っていると思う。

何か買って行くか?

それとも手持ちの物を渡すか……

希望の家までの道中は、サクラと相談しながら進んだが、結局何も買わずに到着してしまった。


「おはようございます! カシマスさんに会いに来たラウールです。ナダルに伝言がしましたが、今日は会えますか?」


門のところで掃除をしていた男の子は、僕が見たことのない子だった。

その子はちょっと待ってくださいと言って家に向かって走っていった。


……

……


そして少し待つとサブリーダーのフラロが現れ、拠点の中に案内してくれた。


フラロとも軽く旅の話をして、僕は冒険者ランクがSランクに昇格したことも伝えた。


フラロもSランクに昇格したと言う返事があって、お互いにおめでとうと言いあった。


そしてカシマスさんの部屋の前まで来て、フラロは後は僕達だけで良いだろうと立ち去った。


カシマスさんの部屋のドアをノックをして「カシマスさん! お久しぶりです。入ってもいいですか?」と声をかけた。



中からは懐かしい声で「良いよ。入ってラウール。」と返事があった。



返事を聞いてからカシマスさんの部屋に入った。

カシマスさんは笑顔で出迎えてくれ、どちらともなく手を出し、固い握手を交わした。

僕はサクラを紹介し、クロウにも話しても良いと許可を出し挨拶させた。


カシマスさんは流石にクロウが話すことには驚いていたが、ひとまず椅子に座り話し始めた。



「ラウール達は元気だったみたいだね。ナダルに聞いたよ。」



「はい。ナダルには冒険者ギルドであったから、少し話しました。」



「私も会えて嬉しいよ。それでーーどんな旅だったんだい?」



そう聞かれた僕は転生や能力以外の事をカシマスさんに話をした。

僕は話をしていて楽しかった。

サクラも楽しそう話している僕達を見て微笑んでいた。

カシマスさんも頷いたり相槌を打ったりと、楽しそうに返事をしてくれた。

……クロウは眠そうだった。


「それで今回はこれをお土産にと思ったんですが……断るのは無しでお願いします。」


そう言って僕はアースドラゴンの肉を大量に取り出した。

アースドラゴンの肉は、買うとなると高い。

Sランク冒険者なら買うか、手に入れることが出来る……


しかし希望の家にいるクランメンバーは、みんなが高ランク冒険者ではない。

だからドラゴンの肉の旨さを感じて、今後頑張ると言う意欲を持ってほしいとラウールは考えた……今出すときにつけた無理矢理な理由だ。



「ラウールの好意だから受け取るよ! ありがとう!」


「そう言ってもらえて嬉しいです。カシマスさんは、僕が勝手に親の次にお世話になった人物と思っていますから。」



「ラウールにそう言ってもらえるのは嬉しいよ。あの時一緒に体験した出来事は、僕の中でも強く印象に残っていることだからね。だからいつでも遊びに来てよ。ちょっと大きい兄とでも思ってよ!」



僕は嬉しかった。

自分だけがカシマスさんに対して一方的に大切にしている思いだと思っていた。

しかしカシマスさんも僕のことを気にしてくれていると感じた。

カシマスさんがいなければ、僕は今どうなっていたか……

今は転移もあり一瞬で遠くまで移動できるから、今まで訪ねられなかった分、これから恩を返そう。


昼食をごちそうになり、僕達は希望の家から街の門の方へ移動した。



~~~~~



門で移動馬車に乗った僕達は、王都サーシンに向けて出発した。



「サクラ、クロースからの手紙によると、クロースとクリスは今は王都サーシンにいるみたいだよ。それからクロースは父親に言われて、今も色々な所に出向き、その土地の状況を確認しているみたいだよ。それでもし僕の都合がよければだけど……帝国に行きたいから、一緒に行かないかと手紙には書かれていたよ。今までの手紙も、これから向かう所の地名を書いて旅立っていたみたい。」



「へーー懐かしいね。一緒に旅をするのは、気心は知れてるから良いけどね。今回はどうだろうね?」



「うん。手紙だと、今いる王都サーシンの次に向かうのが帝国のようだよ。書いている内容が間違いでなければ、一度クロースの父に会ってほしいそうだ。なんでも父親からせかされているみたい。カーシン伯爵って言うんだけどね名前は……」



「えーー! 貴族って言ったら貴族よね……。クロースの父親でもちょっと会うのは抵抗があるわね?」



「そうだね……。これも手紙によるとクロースは今王都サーシンにいる。クロースの父親のカーシン伯爵と会うとすると、南に戻りスタスデの街による。そこから更に南に行くと、サラシトと言う街がある。そこから帝国に移動できるみたい。そしてサラシトの街にカーシン伯爵の実家?になるのかな……家があるみたい。領都、都市ではないんだろうな……」



「何となく想像した。んーーどうしようかな?」



「今回の手紙もその前も、冒険者ギルドによった時は書き替えている文章みたいだし、いつ戻ってくるかわからない僕宛に何度も会いたいと書くのだから……。一度はカーシン伯爵に会う必要があるかな。クロースのためにもね。」



「そうね、友達のためね。」



僕達は移動中に妄想した……


貴族の家に行くことになった場合にどう立ち振る舞うか。

そしてクロースとクリスは色々な場所を見ているみたいだけど、今は何をしているのか想像した。


……

……


移動馬車は順調に進んでいる。

途中で魔物も出てきたが、護衛を兼ねて安く馬車に乗っている冒険者の仕事をとることがないように、警戒するだけにしておいた。

僕は結局警戒するだけで、魔物は護衛の冒険者だけでどうにかできており、僕達の出番はなかった。



この世界で旅をしていると「魔物より盗賊の方が厄介だね」とサクラと話していると、目的の王都サーシンに到着した。



やっと……久しぶりに……ようやく……父様と母様に会える。




そろそろ親の呼び方も変える年かな?

そう考えていたラウールだった。


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