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そんな物騒は求めてない!!

 

 とりあえず、朝日が眩しい。

 昨日、おっさんごとぶち抜いた壁は、ダイレクトに朝を伝えてくる。


 ってか、ちょっと意識飛んでたわ。

 さすが私、こんな危険な状態で寝ちゃうとか、図太い通り越して、人間としてどうなの?と思ってみても、いきなり訳のわからない状態に陥って、殺されかけて、覚悟決めて、なのにぶちのめせちゃって、子どもに怯えられて、こんなにハードなことがあれば休息を体が求めるのは当然だよね?私がおかしい訳じゃない。

 よし。自分で納得できたからオッケー。


 それにしても臭いわ。そろそろ慣れてもいいと思うけど、ここまで臭いと慣れないものなんだなぁ。


 部屋を見回してみると、相変わらず子どもたちは怯えた表情で檻の中にいた。

 そんな怯えてるなら、逃げればいいのに。檻もひしゃげたままだし、私が通れるようにひしゃげさせたんだから、子どもなんて二人一緒でも通れるだろうに。寝てる私の前で動くのすら怖いか。そうか…。子どもにここまで怯えられるのって、精神的にクるなぁ…。

 だがしかし!この子たちに聞かないことには現状がさっぱりわからない。これっぽっちもわからない。わからないこともわからない。本当、コレどうなってるの?


 ちなみに言葉がわかるのは確認済み。

 だって山賊っぽいおっさん共の言葉の意味がわかったから。

 聞くに耐えない言葉ばっかだったけど、言葉で意思疎通が出来ることがわかったのは収穫だった。


 コレが所謂、言語チートってやつなのか?

 

 だが言いたい!チート要らんから、お家に帰せ!衛生的で、快適な現代社会に帰りたいの!切実に!!お腹も空いたままだし、またぐぅきゅる鳴りそうだし、とにかくお家に帰りたい!!


 異世界ものの定番で、帰れませんとか、本当やめてね?私、暴れちゃうよ?暴れて帰れないとか、体力消費と空腹の増加になるから、今はやんないけど、本当、ナニコレ、ここは誰?僕はどこ?状態辛い。でも、何より今すべきは現状把握!とりあえず一晩経ってもこのボロくて汚い建物の中とか、これが続いたら生命に関わる!!

 怯えられようと関係ない!今までもボコボコに反撃してやった奴等から怯えられてたじゃないか。逆に脅してでも情報引き摺り出さなきゃ、私が詰む!子どもたちよ、すまんが、私にありったけの情報ください!!

 


 決意して、檻に向かって笑顔を作る。

 脅してでも、と、決めたものの、できれば子どもにそんなことしたくないからね。なんとか喋ってくれないかしら。


「おはよう。朝日が眩しい、良い天気だね。」


 やっぱ返事はないか。

 しかし私はめげないぞ。


「君たち、喋れないとかではないよね?喋れないなら、頷くだけでいい。とりあえず、お姉ちゃんにお返事して欲しいんだけど。」


 子どもたち、後ずさらないでー。私、泣いちゃうよ?

 あ、でも、一人、他の子を庇うように前に出てきた。この子はお返事してくれるかしら?


「君たちに痛いことや怖いことする気はないよ。ただ、聞きたいことがあるだけなの。お願いだから、教えてくれないかな?」


 意識して優しい笑顔?を作ってるから、頬が引きつりそう。だけど、頑張れ、私。ここが正念場だ!

 すると前に出てきた子が、涙を流し、ガクガクと震えながらも、蚊の鳴くような声を出してくれた、のはいいけど、なんとか聞き取れた言葉が。


「直答などという、思い上がりをお許しくださいます栄誉は、身に余りますれど、一思いに楽にさせてくださる、その慈悲深いお気持ちは大変有難く存じますが、そのお手を煩わせる価値もなき、下々でございます。どうぞ、どうぞ、お捨て置きくださいますよう。ご気分を害されたのであれば、街長の子である私が、高貴な御身のお目汚しにならぬよう、刃物のひとつもあれば、自裁致します故、どうか。」


 言ってるの、檻の中では確かに大きい方。でも、十歳くらいじゃないか?なんでこんな小難しい言い回し、ってか、最初の一思いに楽に、の時点で思考停止して、反応出来なかったんだけど、自裁?自裁って、自殺だよね。いや、なんでそんな物騒なの?!



 ちょっと待て!

 

 そ ん な 物 騒 は 求 め て な い !!


 

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