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誰か助けて!


 意味がわからん!と、叫んでも許される!!いや、許さんとか認めない!!


 

 目の前に転がる、時々呻き声を上げるおっさんの山。 

 その数十七匹?正確に数えたわけじゃないから、なんとなくそのくらい。

 

 あれからわらわらと出てきた山賊姿、コスプレだと思いたかった。は、先ず私を捕らえようとした。が、異臭を放つおっさんども、しかも弓放って、刃物向けてる上に顔つきが、顔つきがヤバいの!!私を意志ある人間と見てないって、こうなんだ。と、理解できたくらいに、酷い顔つきだった。

 捕らえられるとか論外!せめて一矢報いん!手足失くなろうとも、最期まで思い通りにはさせん!!と覚悟までしたのに!!


 弓を砕いてしまった後、一番手近にいたおっさんに蹴りを喰らわせた。これで、後ろの二人までは巻き込まれるのは計算してたけど、計算ミスしたのか、この異常な状況での火事場の馬鹿力なのか、ごっそり吹っ飛んだ。十メートルは吹っ飛んだ。

 私の脚力だと、成人男性は飛んでも二メートル、だいたい一メートルくらいのはずなのに。

 一瞬、それに意識を取られたけど、横から聞こえた怒鳴り声に反射的に脚を振り抜く。と、かする程度の手応え。しまった!と、思ったけど、これでもおっさんは軽く浮き上がって、尻餅状態に。即座に追撃をする前に、自分の馬鹿力を信じて襟首掴んで他の奴等にぶん投げた。



 それでどうなったかって言えば、今の私が無傷で立っていることで説明とさせてください。じゃ、ダメか。

 おっさんは軽々と片手でぶん投げれ…なかった。

 服が千切れたのよ。


 おっさんはあらぬ方向に転がっていき、その後はわからん。

 とりあえず目に付いた動くおっさんどもをぶちのめしていったから、多分もう動いてるのはいない。

 殺してはない、と思うし、殺したくはないと、親の顔を思い浮かべて、おっさんどもに死ぬなと思う。殺人犯が身内とか親の仕事上困るから。

 命のやり取りは二度目だけど、やっぱりトドメは刺せないや。

 こんな人数に狙われたのは、子どもの喧嘩以来だったし、命の危険はまだ二度目だし、今頃震えてくる。


 怖がってもいいじゃない!私はまだ十七の特殊能力もない小娘なんだから!!

 と、涙目になってたら、くぅっとお腹が鳴った。

 私らしい。

 怯えてても、何でも、お腹は空くんだ。


 母さんのごはん食べたい。コロッケ食べたい。餃子でもいい。今すぐ母さんの顔見たい。反抗期真っ最中で、いつもツンツンしちゃうけど、絶対の味方って一番信じてるのは母さんだから。

 今すぐ母さんに抱きつきたいのに、

 

 「本当、ここ、どこなのよ…」

 

 涙出てくる。

 家を出たのは朝の9時。いつも通りに何も考えずに「いってきます。夕飯は食べるから。」って、鞄持って出て、ナンパ野郎を蹴倒して、優希と遊ぶはずだったのに、いきなりコスプレみたいなおっさん蹴倒して、見知らぬ場所で、刃物や飛び道具突きつけられて、全然見知らぬ場所で。おっさん追いかけて小屋?納屋?の外まで出てきたけど、森?なの?山の中なの?なんで、月らしきものが大小あるの?星座とかサッパリな私でも分かるのがあったはずなのに、煌めく星々が多すぎて?見たことあるのがあるのかすらわからない。


 茹だるような夏が過ぎ、涼しくなってきた気候は変わらないけど、理解したくない。




 ラノベ好き、というより、活字中毒の気がある私は、幾つものラノベも読んださ。異世界転生、異世界転移、どちらも結構な作品数読んだと思う。だけど、だけどね、転生なら、トラック事故か、神様の不注意、転移なら、召喚か巻き込まれが主流でしょ?!

 私は死んでもないし、生まれ変わってもない!腰までの自慢の黒髪も、動きやすさを重視の、ちょっと女の子らしくない、可愛いファッションなんて興味ないのが丸わかりの、カッターシャツにネクタイ、黒のジャケットに黒いパンツスタイルで、少しでも背を高く見せるための、十五センチの踵のブーツ。それも変わってない。

 召喚なんてされてないし、巻き込まれてもない。

 ここに元からいた人っぽいの以外見てないし、何よりナンパ野郎すらいないじゃねーか!!





 誰 か た す け て !!




 

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